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フェティッシュの火曜日
 
薬膳ラーメンを食べに…
たとえばこういったものを、薬膳ラーメンと呼ぶらしい


このところ体調が良くない。

身体に悪そうな加工食品ばかり食べているからだろうか。

そんな折、薬膳ラーメンというものがあると知った。これは身体に良さそうだ。しかもラーメンだ。

ラーメンは油っぽくって、しょっぱくて、身体に悪いイメージが僕にはあるんですが、この薬膳ラーメンなら後ろめたさはなく、もりもり食べられる。

自分の家から行ける範囲で、『薬膳ラーメン』と銘打たれたものを食べてみることにした。

(text by 梅田カズヒコ



ラーメンセットで1,500円は高いが、本格中華が1,500円となれば安いかも。絶妙な値段設定。
結構本気の緑色で、これは果たして僕らがいつも食べているラーメンと同じメニューとしてカテゴライズして良いものなのか?という疑問がわいてきます。でもうまい。
ルーロー飯(はん)。うまいっすよ。しかも見た目以上にコクがあるんですよ。じーっと見ててください。おなかすくはずですから。

今回は前口上はカットします

はい。写真左、いきなりこれがこれが一杯目のラーメン、世田谷区は二子玉川にある『薬膳火鍋専門店天香回味 玉川高島屋S・C店』(本店は日本橋)の、薬膳翡翠湯麺セット(辛口)、ランチに食べたらこれに飲み物がついて1,500円というメニューです。

始めに白状しますが、今回は3杯しかラーメンを食ってません。少ないです。ということは、ラーメンにたどり着く前に、いろいろとイントロというか、前口上を述べたり、文章を引き延ばす技術が必要とされるのですが、『どうにか薬膳ラーメンを都内でいろいろ探して実は5軒見つけたけど、行ってみたらうち1軒は長期閉店中、うち1軒は薬膳ラーメンをメニューから外していた』という至極面白みのない理由なので、一コマ目でいきなり1杯目のラーメンを紹介させていただきます。どすん、と。

2枚目の写真、この麺の特徴はなんと言っても緑の麺でした。『翡翠(=ひすい)湯麺』だそうですよ。翡翠といえば、もちろんあのちょっと緑がかった宝石の翡翠ですが、確かにこの麺もちょっと緑色。なぜ緑かって言うとクロレラが入っているそうです。お店の説明によりますと、クロレラには免疫力を高め、コレステロールや糖の吸収を抑える効果があるようです。ふーん。(説明を読んでいるときは少し懐疑的でしたが、その後の自分の体調を思えばこの説明文はたぶん間違いではないはずです)

ラーメンの具はエリンギ、シメジなどのきのこ類が豊富に含まれていること、キャベツなどの青菜がえいやっと豪快に入っていることでしょうか。逆に豚の角煮などは友達の家に遊びに来た転校生みたいに控えめにぽつんと、可愛く1個入っているのみです。

さらになにやらスパイス系のものがたくさんスープに入っていました。僕の舌では、どのスパイスが入っているのか判別できなかったのですが、自宅に戻ってインターネットの力を駆使しますとターメリック、クミン、ナツメグ、クコの実などが入っているようです。

セットのルーロー飯も、アジア万歳! って感じで非常に美味でした。僕は台湾系の料理が好きなのでわりとルーロー飯をよく食べるんですが、あの、ほろ苦くてやや甘い屋台風の味付けはこういった本格派の店で食べても同じで、やや固めに炊きあがったご飯との相性はばっちりでした。

薬膳火鍋専門店天香回味 玉川高島屋店

東京都世田谷区玉川3-17-1玉川高島屋SC南館10F
03-5491-7888
ランチは11:00〜15:00まで

通常のラーメン屋と違って漫画雑誌を片手にジャージとか作業着とかで行けないような雰囲気ですが、お気に入りの服を着てお店に遊びに行ってみてください。

 

休憩中


スタバのコーヒーをかかえ、満腹感を味わい中

どこからがラーメンで、どこからがラーメンでないのかという愚問

すっかり身体が良くなって健康体になった(気がしている)僕は、コーヒーを片手に先ほどの薬膳ラーメンのお店のある玉川高島屋の屋上で、休憩した。

そして、先ほどはお店の雰囲気に紛れて気がつかなかった、ある疑問にぶち当たった。さっき食べたあの食事は確かに身体によさそうなメニューであった。しかし、あの上品なメニューは、僕が普段食べている日本式のラーメンと同一の料理と捉えて良いのだろうか。もっと簡単に言えば、あれはラーメンじゃないような気がしてきたぞ。

ゴールデン街のようなくたびれた酒場で、「○○というバンドはロックであるか? ロックじゃないのか?」みたいな議論をしている男性を見かけることはたまにあるのですが、あれにも似た、多くの人にとってはどうでも良いかもしれないけど、当人にとっては重要な問題が生まれてしまった。

そもそもラーメンってなんだろう? どこからどこまでがラーメンで、どこからどこまでがラーメンでないのだろう? そもそもこの疑問は有用なのだろうか? どうして高島屋の屋上はこんなに気持ち良いのだろう?

いろいろ考えたら数時間が経過して、おなかが空いてきたので2軒目のお店にワープします、とりゃ!

 

らあめん花月には「ベジラーメン」なるメニューが!
これが件のベジラーメン。

どうしてこんなメニューを考えたのでしょう

そう簡単におなかが空くはずもなく、おなかが空く頃にはこの通りすっかり日が暮れました。

この「らあめん花月」お店の期間限定メニューとして「ベジラーメン」という野菜だけで作ったラーメンを発売しているそうです。これまた、健康に良さそうですね。写真左のチラシには「No Pork, No Chicken, No Fish」と銘打たれております。かの有名なタワーレコードのコピー風に言えば、ノーミートノーライフな僕からすれば信じられないです。肉はともかく、魚もつかえないなんて、それならどうやってダシをとるんでしょうか。

ところが一口食べてみると、確かに通常のラーメンよりパンチにかけるところはありましたが、「どうして野菜でこの味が出せるのか?」というぐらいコクがありました。あなたの周囲に菜食主義者が居たら教えてあげてください。

つまるところ、トマトやにんにくに、バジル(大きなバジルの葉っぱが浮いてます)を使った、スープパスタのようなラーメンになっていましたが、それでもダシの感じは、何をつかっているのか想像がつきません。

ただ、スープを繰り返し飲んでみて気づいたのは、クローブがスープの中に入っているということだった。なぜ気づいたかと言うと、この記事の体験でクローブがどんな味であるか知っていたから。

うん、なるほど、これはクローブを利用したダシですね。なんてお店のバイトの人に偉そうにコメントしながら、このサイトへの執筆のおかげで、食に対する知識もすこし増えていることに感謝しながらお店をあとにしたのでした。

らあめん花月

・全国各地にあるようなので住所は割愛
・期間限定メニューはサイトによると4月12日までは発売されている模様

 

休憩中


写真は僕のお気に入りのお店のとんこつラーメン

しつこいようですが…

異論があるかもしれないが、ラーメンというものは多かれ少なかれ「匂う」ものではないだろうか? それが豚の香りであれ、煮干しの香りであれ、鰹であれ、鶏ガラであれ、多少は匂い立つものだと思っている。

でも、先ほど食べたラーメンは野菜しか使用していないので、動物的な香りはしなかった。だから本日2杯目にも関わらず抵抗なく食べることが出来たのですが、それにしても、これはラーメンなのだろうか。汁と麺があればそれはラーメンか。スープスパみたいでも、麺が緑でもラーメンなのか。

と悩んでいても仕方ないので、ラストのお店にしゃれこみます。とりゃ!(←薬膳が効いて元気になってきている)


 

 
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