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ひらめきの月曜日
 
爪楊枝は箸の代わりになれるのか

いざ、勝負だ

持参した食べ物は他にもある。デパ地下で、有名料亭が作った高級行楽弁当を買ってきたのだ。


1,600円のお弁当。ふだんの昼食のほぼ3日分相当。

この弁当にはチマチマした物がない。まるで爪楊枝で食べることを前提としたかのような、見事なまでに立派なおかずしか入っていなかった。

そして当然のことながら、どれもこれもうまい。


一口サイズで上品です。 焼き魚でさえヒョイっと。 薩摩芋に至っては串が刺さってた。

ごはんコーナーのお稲荷さんも、このサイズ。
もちろん爪楊枝でいける。

通常サイズのお稲荷さんならアウトだったかもしれない。でもその場合は手で食べたっていいわけだし、割り箸にご足労願わなくとも事は足りるに違いない。

ああ、もう戯れ言はたくさんだ。ごはんだ。ごはんと勝負しようではないか!


グググと持ち上げようとしたらポキリと音がして、
あっさり負けが確定したかに見えたが、

屍を乗り越えた新しい楊枝が仇を討ってくれた。
ま、これだけ取れただけで良しとするか…。

ごはん、取るには取れた。しかし量がちんまりすぎて、とても満足のいく結果とは言えない。

そこへ声を荒げたのが古賀さんだ。「高瀬さん、それじゃ駄目ですよ! こうやるんですよ! こう!」


楊枝で取り出す部分にクッキリと切れ込みを入れて、
「ほらーっ!」とごはんを持ち上げる古賀さん。

さすがだった。よく「白いごはんが好き過ぎる」と言っているが、好きこそ物の何とやら、であろう。ごっそりとごはんを取り、口へと運ぶ表情のなんとイキイキしてることか。


ここまで嬉しそうに物を食べる人を見るのは初めてかもしれない。

「取ったどー!」という雄叫びとともに、ホラ貝の音まで聞こえて来そうな写真が撮れてしまった。

とにかく、根性さえあれば爪楊枝でごはんも制覇できることが立証されたと言えよう。これからの行楽シーズン、箸がなくても爪楊枝でなんとかなるかもしれない。

 

注意したい点

そうこうしているうちにお酒が進み、食べ物も減り、辺りがだいぶ冷えてきた。そろそろお開きにしようか、となった頃の私の首元が、ちょっと危険なことになっていたのでお知らせしておこう。


爪楊枝が4本ほど刺さっていた。
こういう首輪をした獰猛な犬っていますよね。

自分がどこに爪楊枝を刺したか探し当てるのが面倒で、新しい楊枝を使い続けた結果がコレである。いくら先端が外を向いているとはいえ、これは危ない。うっかりマフラーを巻き直しでもしたら首に刺さりかねない。

「ますます馬鹿に見えますよ」という周囲の声に、今回ばかりは「その通りだ」とシャッポを脱いだ私である。

おまけ

ここで終わってもいいのだが、どうしても検証しておきたい事案を思い付いてしまったので、先を続けます。


398円弁当。金銭感覚が一気に日常に。

このへんは、 爪楊枝だけで 完全にいける。

やはり、ごはんとの対決に思いを残したままなのだ。私も「取ったどー!」をやりたい。しかも、型を取ってない普通のごはんでやりたい。

そのためには、普通の爪楊枝ではやはり歯が立たないだろうと思い、ちょっとした小細工をすることにした。

その効果を、是非とも試してみたいのだ。


包丁で、ちょいと切れ込みを入れるわけですよ。
これぞ小細工。
果たして、ごはんはくっついてくれるんだろうか?
まあ、麦入りごはんだったことを考えれば合格か。

俗に言う「かえし」を付けてみた。ツルツルの時よりごはんが持ち上がる量は増えたが、それでもまだまだだ。

しかも何度か繰り返すうちに切れ込み部分がヘタってきてしまい、どうもうまくない。


羽根が閉じたように、元に戻ってしまう。

こういう時、さっさと諦めて結論を出す人間と、諦めずに事態をエスカレートさせる人間がいるとしたら、紛れもなく自分は後者であろうと思う。


かえし部分を深く、大きくしてみました。

よく「ギャンブルは止め時が肝心」と言うが、私はズブズブと深みにハマるタイプなのかもしれない。

ともあれ、口の中にしなくてもいい怪我などはしてませんから、安心して結果をご覧いただければ幸いです。


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