昨年「車両基地めぐり」という記事を書いたのですが、なんとその企画が本になることになりました。それで、その後もたくさんの基地をめぐり、1年前よりは基地鑑賞スキルがついたので、僕が行った中からいろいろな基地を紹介しつつ、車両基地の魅力を語りたいと思います。
ものすごく細分化された鉄道趣味界にあって、車両基地を鑑賞するというジャンルは、刈り取られずに残った貴重な大木の芽だと思いますよ。
(萩原 雅紀)
線路の分岐がすごい
僕はそこそこ鉄道好きだと思いますが、車両というより、どちらかと言えば線路が好きです。とくに、複雑に分岐や合流をしているような線路を見かけると、軽く体温が上がったりします。
この写真の場所は、実は基地ではなくて駅から基地に入る部分なのですが、どうですか、ちょっとイキかけませんか?
車両基地は、多くの列車を留め置いたり編成を組み替えたりするので、こういった複雑な線路ワークが行われています。できることならトロッコかなにかで、たくさんのポイントの上を思う存分通過してみたいとさえ思います。
分岐っぷりを見て楽しむなら、基地の入口付近を通っている踏切からの鑑賞がお勧めです。電車に乗っているときに窓の外に目を凝らしたり、グーグルマップでチェックするなど、ふだんから基地の情報収集する癖をつけましょう。
架線のぐちゃぐちゃ感がすごい
線路が複雑に分岐しているということは、列車に電気を送る架線も、その上空で同じように複雑に張りめぐらされているわけです。
しかも、線路と違って架線は分岐したり合流したりせず、1本1本が独立しているので(この表現分かります?)いっそうぐちゃぐちゃ感が引き立ち、ずっと眺めていると、なんだか脳がトランス状態になりそうな気がしてきます。電線だけに。
電線のぐちゃぐちゃ感については、以前T・斎藤さんが記事にしていますが、まったく同じ感覚だと思います。
逆に、電化されていない基地は架線や架線柱がなく、開放感があったり跨線橋からの眺めがよかったりします。
というわけで、架線はあってもなくても魅力的なので、たまに「この架線柱がなければ...!」と思うこともありますが、どんな状態であれその基地の「味」として受け入れたいところです。
広さと奥行きがすごい
鉄道の車両はだいたい1両が全長20mくらい、つまり10両を停めるとすれば200mは必要です。さらに、1本の線路上に縦列で何編成も停められる基地もあって、そんな場合は全長が1〜2kmにも及びます。つまり基本的に車両基地はものすごく広大な土地に造られていて、そこにびっしりと線路が敷かれているわけです。周囲の景色と比べると明らかに異質で、そんな光景を見たらオラなんだかワクワクしてきますよね。
ただ、僕もまだ車両基地鑑賞歴3年目の初級者なので、どうしても大きな基地に目が行きがち。城にしろダムにしろ、小さなものにも魅力を感じるようになってこそ中級ですよね(上級はもはや大きさとかの概念がない)。たとえば短い編成の路線とか路面電車とかの基地でも興奮できるように精進していきたいと思います。