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ロマンの木曜日
 
飛び地のアイデンティティ

お土産から見える県の色

北山村で話を聞くなら道の駅だ。観光センターや温泉などがあり北山村に来たならばここだ。役場で話を聞こうとしたらこっちへ行ってくれと言われたのは特に関係ない。やっぱり道の駅だ。


観光するなら観光センターへ。

記念写真もばっちり。僕しかいなかったけど。たまたま。


道の駅へ行くとまずお土産コーナーが目に入った。お土産、これは県の色が顕著に現れる。その品揃えでそこが何県かわかるといっても過言ではない。

さぁ何があるんだ。何県なんだ北山村


じゃばら。じゃばら山積み。


じゃばらだらけ、あぁ、じゃばらか。って何県だ。
全然解らない。というかじゃばらとはなんぞや。
レジのお姉さんに聞いてみよう。

僕「すいません。このじゃばらって何ですか?」
お姉さん(以下姉)「んー?じゃばらはねぇ、ゆずみたいなスダチみたいなもんよぉ鼻炎とか花粉症に効くんやで。それにこの辺でしか取れんのやよ」
僕「この辺だけ!?凄いですね」
姉「凄いんかねぇ。わからんわ。ハハハッ」

家に帰ってからネットで調べるとじゃばらを生産しているのはこの北山村だけ。世界で唯一北山村だけに生えている植物だそうだ。すごいなじゃばら、北山村。


じゃばら製品の品ぞろえがすごい。
じゃばら以外何も見えない。

じゃばらジュースにじゃばらワイン。じゃばら飴やらじゃばら果汁。じゃばら一色。何県かというよりじゃばらだ。もう独立国家な勢い。

と思っていたら、あったぞ。じゃばら以外の土産物。


じゃばら9割7分黒飴3分くらいの割合。


那智黒飴。和歌山県南部を代表するお土産物。店の隅っこに肩身狭そうにしてたけどちゃんとあったぞ和歌山名物。やっぱり和歌山県なのか。

 

ビックリするくらいの和歌山県民っぷり

僕「那智黒飴とか和歌山土産置いてるんですね。」
姉「そりゃあ和歌山県やからねぇ」
僕「回り全部和歌山以外で囲まれてるわけじゃないですか。それでもここは和歌山県だなって思いますか?」
姉「飛び地言うても和歌山やからねぇ。やっぱり和歌山やよ」


飛び地であっても那智黒飴!



迷うことなく和歌山。凄いぞ、住民はここを和歌山としか思ってない。根っからの和歌山っ子だ。でもこの村には高校が無い。そこはどうしているのだろう。

僕「この村って高校が無いじゃないですか?どこの高校に行ってるんですか?」
姉「ここいらの子は新宮高校か木本高校のどっちかやね」
僕「木本高校って、三重県ですよね。通えるんですか!?」
姉「そうやよ。私らのときは新宮だけやったんやけど通えるようになったんやよ。奈良県の高校にも行けるんやで」

学区超えられるって凄いな。と言うか、木本高校は僕の母校だ。遠い存在に感じていたが一緒に過ごしてたのか、驚いた。



右上のポイントが木本高校。左上が北山村、左下のが新宮高校、その近くのが僕の地元だ。こう見ると僕の実家よりも北山村の方が木本高校に近い。それに対し新宮高校の遠さよ。そりゃあ学区超えるわ。

姉「まぁでもみんな新宮高校か新宮商業に行くんやけどね」
僕「えっ。でもかなり遠いですよね。どうやって通うんですか?」
姉「うーん、通うのはしんどいからほとんどの子が寮に入るんやけど」
僕「木本高校なら通えますよね。それなのに寮に入ってまで新宮行くんですか?」
姉「だって和歌山の子やからね。」

うおー、和歌山だ。根っから和歌山県民だ。中学を出たばかりの子供がみんな親元を離れる寮生活を選ぶ。その理由が和歌山県民だから。驚くほどの愛県心。凄い。その溢れる和歌山への愛を聞きたい。語って欲しい。

僕「凄いですね。やっぱり和歌山が好きなんですか?」
姉「いやー、別に好きとかそういうんじゃないけどね」

えー!好きじゃないのか!?どうなんだ一体。和歌山というより北山か、北山村愛か。

僕「あー、北山村が好きなんですね。何か良いとこありますか?」
姉「うーん、まぁそうやね。良いとこねぇ、温泉位しかないわ。入ってきぃ」

やはり北山愛か、和歌山視点から見れば難しいな。お姉さんに感謝を伝え、じゃばらジュースを買って店を出た。


じゃばらジュースは酸っぱく苦い。大人な味わい。


お姉さんの話だと北山村民の和歌山県民っぷりはすさまじい。みんながみんなそうなんだろうか。他の人にも聞いてみよう。お姉さんに勧められた温泉に行ってみよう。誰かいるだろ。


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