デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ひらめきの月曜日
 
酒粕料理で酔ってみる
アルコールチェッカー。これで呼気中のアルコール濃度を測定。


日本酒を製造する過程で酒粕というものが出来ます。米、水、麹、酵母を混ぜて発酵させて出来上がった酒と固形物の混合物(「もろみ」と言います)。それを圧搾して酒を分離した残りかすが酒粕です。

粕汁とか、粕漬けとか料理に使われる酒粕は、かすとは言うもののまだ結構アルコール分が残っています。小泉武夫教授の著書「くさいはうまい」によると、酒粕には8%程度のアルコール分があり、江戸時代には「手握り酒」とも言われていたそうです。

今回はそんな酒粕でどのぐらい酔えるものなのか検証してみます。

吉成



まずは酒粕の調達

日本酒作りは通常秋から冬にかけて行われ、大体12月末から2月末ぐらいまでに新酒と言われるものが出てきます。クリスマス、大晦日、正月、節分、バレンタインとイベントの絶えない時期に新しく出来上がってきた酒が呑めるとはなんともうれしい。

そして、新酒の時期には出来たての酒粕も出回るので、香り高いフレッシュな酒粕も入手しやすいのです。今回は3種類の酒の酒粕を各1kgずつ。どーんと3kgほど酒粕を入手してみました。


山口県旭酒造「獺祭(だっさい)」の酒粕。ここの酒は結構好きでよく飲みます。
福井県吉田酒造「白龍」の酒粕。こちらは板粕です。ここのは初めて。期待大。

静岡県三和酒造「臥龍梅」の酒粕。ここの酒も割とよく飲みます。

 入手した酒粕は袋に詰められていてもほのかに酒のいい香りがしてくる。これだけで幸せな気分になれます。かなり酔えそうな予感。

では早速酒粕で酔っていきましょう。まずは直接酒粕を食べてみてどの程度酔うのか検証です。

 

いきなり驚異的な数値計測

どの程度酔っているかは簡易のアルコールチェッカーを使って呼気中のアルコール濃度を測ってみます。


ウェブマスターの林さんにお借りしました。色々な測定器を持っている方だ。まずは食べてない状態で計測
何もアルコール分は摂取してので当然数値は0

 続いて、一つの酒粕を100gほど皿に取り出してみました。それほど多くは見えません。1回100g程度を1種類ずつ食べていってその味の違いとどの程度酔っているかアルコールチェッカーを使って調べていきます。


小皿にこのぐらいの量で100g。湿り気があるので見た目より重い。

まずは半分ぐらいまで食べてみる。

 まずは半分ぐらいまで食べ進んでみる。一口目、二口目ぐらいまでは酒の香りと米の甘さを鮮烈に感じ、サッと食べ進んでいけます。しかし、どうも三口目あたりから酒粕独特のクセのある味を感じ始め、酒の香りも強すぎて辛くなってくる。ひとまず半分ぐらい食べたあたりで食べるのを一旦止めました。

ここで15分ほど間を空けてアルコールチェッカーでアルコール濃度を測定。すると驚くべき結果が・・・


0.63!酩酊レベル?

 0.63mg/lと、いきなりとんでもない数字がでてしまいました。0.15mg/lを超えると酒気帯びとなるのですが、そんなレベル遥かに超えている。この数値だと既に酩酊状態ぐらいでしょうか。

しかし、酔っている感覚は全くありません。あの程度の酒粕でこれだけ酔えるなら酒を売るより酒粕売るほうが儲かるぞ。単にアルコールチェッカーの異常か?とにかくもう一度計ってみましょう。


0.70。.増えた・・・

 0.70mg/l。微妙に増えています。これはおかしい。いくらなんでもこんな数字が出るはずがない。もしやと思い軽く口を水で濯いでみました。すると・・・


0.13.あっという間に下がった。

 数値が一気に5分の1ほどに下がりました。どうやら固形物なので口の中に付着して残ったもののアルコール分が検出された模様。更によく口を濯ぐと数値は0まで下がりました。どうやら食べたあとには口を濯いでから計測するのが良いようです。なんとなく口の中に酒の感じが残ると思っていたけれどもやはり酒粕のアルコール分が残っていたか。

ということで、続けて酒粕を食べて酔ってみましょう。しかし、ここで問題発生。


どうもこのままはねー

 酒粕をそのままではちょっと食べづらいのです。一口ぐらいは良いけれども、沢山食べるとなると酒粕のクセのある味とアルコールの香りが気になりどうにも箸が進まない。

このまま無理やり食べていても辛いので、せっかく沢山ある酒粕を色々料理して食べることにします。調理してもそこそこアルコール分は残るはず。それを食べていけば料理だけでも酔えるかもしれません。となれば早速酒粕料理を調理だ!。


甘酒、粕汁、キムチ酒粕、酒粕のせバケット、板粕カナッペ、イカの酒粕味噌和え、鮭の粕漬けの7品目。

 どの料理も混ぜるだけとか、塗って焼くだけ簡単な物。酒の肴はササッとつくらねば・・・

いや、これは酒の肴ではなく、これらの酒粕料理を食べて酔う予定でした。では続けて食べて計測していきましょう。


 酒粕料理を続けて食べていきます。 >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.