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ひらめきの月曜日
 
112kmのマラソンはとても楽しい

続いては距離が長いからこそある楽しさについてです。

 

その3 着替えがあったり途中で風呂に入れたりして楽しい

多くのウルトラマラソンの大会では、レース中に必要な荷物を決まった数箇所へ搬送してもらえます。着替え用のウエアやシューズ、テーピングや胃腸薬などの医薬品、防寒具など。預ける物は様々。


今回の大会では50km地点68km地点の2箇所に搬送可能。専用の袋にゼッケンナンバーを書いてスタート前に渡します。

朝から晩まで。長ければ数日走る大会ではウェアが汚れてくることがあります。そんな時に一度着替えてリフレッシュして走ることが出来るのです。気温の変化に合わせて防寒具を着込んだり、脱ぐことも可能。

また、コース途中で温泉に入れたり、仮眠をとれるような大会もあるので、風呂道具や歯磨きを入れておくなんてこともあります。このあたりも旅感覚なウルトラマラソンの楽しさの一つ。ただ、風呂上りについビールなんか飲んでしまうとリタイア率が上昇するので注意が必要です。


預けた荷物は所定のエイドに搬送されています。
奥の体育館で着替えが可能。横になって休む方もいます。

ちなみに、今回の大会はエイドが充実していて、何も持たなくても大丈夫。しかし、長い距離を走る際には何が起こるかわからない。預ける以外に必要最小限の装備を身につけて走っています。


補給用食料、サプリメント、摩擦防止クリーム、携帯電話、携帯用バッテリー、電池、バンドエード、携帯音楽プレーヤ、水、お金。あと撮影用カメラを手に持って走る。

摩擦防止用クリームはウエアと肌が擦れるのを防ぐためのクリームです。50kmを超えてくると股、腋、胸、尻などがウエアと擦れて出血してきます。それでリタイアする人もいるぐらい。このクリームを塗ると肌が守られ擦り切れることがありません。足につけるとマメの防止にもなる。必須アイテムです。

もし、ウルトラマラソンの大会で両脇を不自然に広げながら走っている人や、不自然な足の広げ方をして走っている人がいたら塗り忘れて大変なことになっている可能性の高い人です。助けてあげましょう。


塗らなかったため足が擦れて難儀していた方。私の持っている物を貸してあげました。ウルトラマラソンは助け合い。

そして、着替えポイントのあるウルトラマラソンですが、最初から特殊なウエアで走る方も時々います。例えばこちら。


私と大体同じペースで走っていた女性ランナーの方。

野球のユニフォームですね。割と普通。しかし、こんな方もいました。


伊達政宗姿のランナー。鎧の下は忍者の格好。

自作の鎧を着て走っている方です。かなり軽量化したとのことですが、それでも総重量は10kgあるのだとか。下は忍者装束なので、着替えポイントで鎧を脱いで忍者になろうかどうしようかと悩んでいました。ちょっと楽しそう。
そして、更にすごいウエアで走る方ともすれ違う。


あれは誰だ!デビルマンだ!

全身タイツにマスク。仮装もここまでくるとかなり楽しいかも。72km部門に参加していた方です。デビルウイングは飾りなので飛べません。


着替えポイントはゆっくり出来るので川柳も受付中。ついでに着替えポイントはリタイア誘惑ポイント。後ろに見えるは回収バス。リタイアした人はバスでゴール地点へ搬送される。

着替えに、風呂に、仮装に、特殊装備に。ウルトラマラソンは風変わりな出来事が次々と待ち構えていて飽きることがありません。スタート前からゴール後まで楽しめます。

 

その4 色々な応援が楽しい

ウルトラマラソンの大会はなにしろ距離が長い。しかも、山中など簡単に行けないような場所を走ることも多いのです。そのため沿道各所で待ち構えていて応援するというのはなかなか難しい。今回の大会では前日受付の会場で応援メッセージを書くコーナーがありました。応援メッセージはエイドに掲示されます。


選手の仲間の方が沢山のメッセージを書き込んでいました。
子供からお父さんへのメッセージもあります。

パパに、仲間に、恋人に。多数の応援メッセージが掲示されています。
仲間通しで応援メッセージ交換するためのホワイトボードを用意している方もあり。

この他にも、コース途中に住む地元の方や、宿泊した宿の方など色々な人が声援を送ってくれます。とても楽しい瞬間。そして、山間部を走っていると時々サルや野うさぎなどの野生動物が声援を送ってくれることもあります。声援というのかこちらが脅かしているだけかも。なにしろ見慣れない格好の人間が大勢走って行きますからね。

ついでに、今回の大会では距離表示の板に協賛会社の応援メッセージが取り付けられていました。こんな感じです。


別に走らなくても生きていけます。マグロは泳がないと死ぬらしい。

応援メッセージというより問いかけ。走っている最中にこんなこと聞かれても困ります。更に先に進むとこんなメッセージが。


メッセージ長いよ。改めてキツイ言われても・・・

そう言われても進まないといけないので困ります。河口湖と西湖の間の坂は確かにキツイ。そして更に進むと・・・


本栖湖付近。もはや駄洒落。

実際このリズムで走ると物凄く走りづらい。70km付近になるとかなり疲れてくるので、徹夜マージャンでの早朝の駄洒落のようにムダに笑えます。更に進むとメッセージは突然厳しくなります。


さっきまでの駄洒落路線でよかったのに・・・急に突き放された気分。

このメッセージボードの目的が走るほどに分らなくなってきます。ただ、いったい次は何が書いてあるのだろうかと疑問に思って先に進んでしまいます。それが目的か?ある意味楽しい応援方法でした。

 

その5 他にも色々あって楽しい

最後にウルトラマラソンのちょっと変わっていてところを2つほど挙げておきましょう。

道路を規制して行わないウルトラマラソンでは歩道を走ることになります。すると当然こういう状態が発生します。


信号待ち。交通ルールは守ります。

交通ルールに従って走るので信号待ちやコースを迂回する場合があります。待つといっても長い距離のうちの1分そこそこの時間。ストレッチなどしながら短い休憩として待ちます。こういう時も気持ちを切り替える楽しい時間。

続いてゴールすると貰える物です。


完走賞のメダル。完走した人だけ貰える。

今回の大会では完走すると完走メダル。完走者バスタオル。もらえるものはそのぐらいです。あと豚汁と水。完走者のなかから抽選で米100kg、または別荘用の土地なんて大会もありますが、基本的にほとんど何も賞品はありません。

ウルトラマラソンは参加費が100kmぐらいなら1万4、5千円。200kmを超える大会になると3万なんてこともあります。レース期間中のコースの安全を管理したりエイドを準備してくれるスタッフの方の労力を考えると当然の費用。物には変えられない何かを沢山貰えるのがウルトラマラソンなのです。その楽しさPrice Less。

何度でもやりたくなります

ウルトラマラソンの楽しい点をザックリとお伝えしましたがご理解頂けたでしょうか?恐らく「辛そうなばかりであまり面白そうには思えない」というのが普通ではないかと思います。非常に特殊な世界なので、やはり「一度やってみなければ分らない」というのが正直なところです。今回の大会だと、72km、100km、112kmの3部門合計で1900人以上の人が走っています。思い思いに一日走りを楽しむ。参加した人は完走できた人も出来なかった人も皆充実した顔で帰っていきます。

基本的に走るということは個人の競技なのですが、ランナー同士、エイドを手伝って頂くスタッフの方々、私設エイドを用意してくれる方や街の方々。そんな色々人との触れ合いがウルトラマラソンでは特に濃厚にあり、ただ走るのと違いとても楽しいのです。レースがスタートして10km、20kmと走ると「なんでまた、こういうバカなことに参加しちゃったかな?」なんて自問自答したりもします。しかし、走りきると「また来よう」とか「今度は何処の大会に行こう」という気持ちに必ずなります。理解されることはほとんどないですが、それぐらい楽しいものです。

全ての人にはお勧めはしません。けど、少しでも興味のある方はどうですか?

ゴールの瞬間。楽しい走りでした。ゴールタイムは13時間54分02秒。

 
 
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