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ロマンの木曜日
 
妖怪の専門家に話を聞いてみた

興味津々のおかあさん

妖怪本をめくる妖怪探偵

妖怪トークもたけなわだ

妖怪の話で大盛り上がりしているのが店の中で目立っているのか、中華料理屋のおかあさんも話の輪に加わってきた。

先日、地獄ラーメンの150丁目(メニューには100丁目までしか無い)を注文して、汗一つかかずに平らげて行ったお客さんがいたそうだ。

おかあさん、その人はきっと妖怪だと思います。

 

また、大島さんより記事掲載にあたっての注意もいただく。

大島「私は妖怪研究家じゃなくて、妖怪探偵ですので。それが正式な肩書きなので、よろしくお願いしますね」

言っていることがよくわからない。妖怪探偵の仕事については、この記事の趣旨ではないので、
深く突っ込まないで、流れで承諾してしまった。
大島さんも、キャラクターのエクセントリック具合は妖怪並みだと思う。


ここからは妖怪の本を見ながら、主に妖怪の最近の動きについて語っていただいた。
なお本の妖怪画をそのまま載せると、結構恐いので、前ページより引き続き、私がマネして描いています。なるべく恐くないように描きました。



女子の間で人気急上昇中の「ぬっぺっぽう」

さて、ここまで難しい議論が続いていて、今イチついて行けていない気がする。
不安そうな私の顔を覗き込んだ大島さんが、新たな話題をふってくれた。

大島「最近はかわいい妖怪が、やっぱり人気が高いですよね。」
斎藤「え?誰の間で人気が高いんですか?」
大島「妖怪好きの女子たち。ぬっぺっぽうと豆腐小僧が人気高い」
斎藤(妖怪好きの女子たち??そんなコミュニティーがあるのか!)
大島「特にぬっぺっぽうはかわいいし、食べられるのが人気」
斎藤(食べられる?!)

キャッチーと思いきや、一転して不条理な話に。やはり一筋縄では行かない。

これでも原典よりはおいしそうに描きました

 

今後、妖怪入りしそうな「テケテケ」は要チェック!

「女子の間で人気」とか、まるでファッション誌みたいな切り口はおもしろい。
例えば、最新流行の妖怪なんてのはあるのだろうか。
斎藤「今は妖怪じゃないけれど、今後、妖怪になりそうなものってあります?」
大島「口裂け女と花子さんは都市伝説というよりも、もう既に妖怪と言っていいかな、と思っています。彼女たちの着ている洋服がもうレトロな物になっちゃっているから。今後来る、といったらテケテケかな。テケテケは今は都市伝説だけれど、今後は妖怪と呼べるようになると思います」

テケテケか!私も小学生の時に聞いたことがある。
下半身がなくて、腕だけで素早く歩いて人を襲うお化けの話だ。

斎藤「妖怪になるのは、ずいぶん先になりそうですか?」
大島「『過去のもの』にならないと妖怪とは呼べないですからね。『妖怪事典化』されないと。」

誰も知らないような最新情報が出てくることを期待したのだが、逆に「口裂け女」「花子さん」「テケテケ」と、よく知っている言葉ばかりが出てきてしまった。おそらく、それは都市伝説が現在進行形で私の中に生きていることの証だろうと思う。テケテケとか言われるといまだにちょっと恐いし。

自分で描いたら、意外と恐くなってびっくり

 

妖怪研究の最前線!「ぬりかべ」は犬だった!

だんだんと興が乗ってきたのか大島さん、妖怪研究者達の中で一番ホットな話題を紹介してくれるという。
大島「最新ニュースがありますよ!ぬりかべの本当の姿がわかったんです!」
斎藤「本当の姿?」
大島「今まではぬりかべは姿が伝承として伝わっていなかった。平べったいのは、水木しげるの完全なオリジナルだったんです。ところが、ぬりかべの妖怪画がアメリカで発見されたんですよ!wikipediaにも載ってるんで、これはぜひ見ておいて下さい」
新しい史料が発見されたそうである。後日ネットで調べてみたら、なるほど、三つ目の犬みたいな絵が紹介されていた(リンク)。確かにこれはすごい!ぬりかべが犬だったなんて、妖怪研究家以外に誰も知らないだろう。こういう今までの常識が覆る所が、研究者としての醍醐味なんだろうなあ。

研究の結果、ぬりかべは全然違うことが判明(右の図はわりと正確にマネできたと思います)



妖怪が語源「どうもこうも」

「あと、面白い話なら、こんなのもありますよ」と、大島さんが手元の本をめくり出し、一気に解説してくれた。
大島「昔、『どうもさん』と『こうもさん』という天才外科医がいた。たがいの手術の腕を争うために、腕を切り落として繋いだりしていたのだが、なかなか決着がつかない。こんなことをやっている内にお互いがくっついてしまい、どうしようもなくなった。ここから、「どうにもこうにもならない」という言葉が生まれた」
絵を見ると、二つの頭が繋がっている妖怪がいる。
たしかにこれは、どうにもこうにもならない、といった風情。
こんなに切迫した状況なのに二つの顔はのんきそうで、そこが不気味だった。

大島さんと一体になったら私も妖怪に詳しくなれるのだろうか

 

妖怪探偵もお手上げ、なにがなんだかわからない「なんじゃか」

ここまで、妖怪をあますことなく語ってくれた大島さんだった。しかし、そんな大島さんにもわからない妖怪があるという。わからないが故に大島さんは、超オススメ、らしい。
大島「これはすごいよ!全然わからない妖怪があるんだ!ぜひ見て欲しい!本当になんだかわからない!」
大島さんが渡してくれた本の開かれたページを見ると…
こしまきと、膝までの脚。ビール飲んだ後みたいな腹。猫みたいな手。尻尾。これだけしか描いていない。べつに恐くもない。
斎藤「本当になんだかわからないですね」
大島「これは、妖怪好きの間で、一番わからないって話題の妖怪なんです。絵解きができないんですよね」
やっぱり大島さんは妖怪が大好きなんだ、と改めて思った。今回の取材の中で、一番大島さんが興奮していたのが、この一番意味不明の妖怪の話だったからだ。きっと四六時中、正体のわからない妖怪のことを考えているのが楽しくてしかたがないのだろう。

自分でも描いていてよくわからない


色々と楽しい話もしていただいたが、妖怪の話は基本的にむずかしい。解説を聴けば聴くほどにわからなくなってゆく。しかし、一つだけわかったことがある。妖怪図を見ながら妖怪の話をするのはめちゃくちゃ楽しいのだ。初っ端の質問の時は表情が固かった大島さんも、妖怪本を出した途端に口元がゆるんでいた。たぶん、昔の人たちも、恐くて、不条理で、ユーモラスな妖怪のことをこんな風に楽しく話題に出していたんだと思う。今日の私たちみたいに。

最後にサービスで、今後の人生を占ってもらう私。つい真剣に相談してしまったが、一体この人はなんなんだろう。


参考文献

wikipedia「塗壁」の項目(2009年5月18日現在)
・どうもこうも
京極夏彦文/多田克己編『妖怪図巻』(国書刊行会)
・なんじゃか
湯本豪一『続妖怪図巻』(国書刊行会)


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