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ひらめきの月曜日
 
ご飯を干したら旅に出よう!

多摩川河川敷を出発して更に西へ進みます。この辺りでは国道246号線に平行して通る古い街道を途中まで走り、適当なところで高架式になった246号線に上がります。上がったらまた246号線沿いをひたすら西へ。直線の長いアップダウンが続き道は比較的単調です。


そんな時は花でも眺めつつ進みましょう。枝垂れ桜満開。

無防備過ぎる猫。多分野良かな?けど、あっさり触らしてくれました。


この間、時々ザックを下ろして糒をそのまま食べながら進んでいます。長い距離を走る際には小まめな補給が重要。しかし、食べづらさは変わらず。何かもう少し食べやすい方法はと考えながら進むことおよそ1時間。横浜市青葉区へ差し掛かったあたりで食べ方を少し変えてみました。


青葉区を見るとア・バオア・クーとつい言ってしまうのは30代後半男性の特長だろうか。

より大きな地図で 青葉区境 を表示

ただいまこの辺り。出発地点からおよそ30km。


昔の人は糒を食べるときにそのままか、水と一緒に口に含んで食べていたそうです。やはり乾いたままでは食べづらかったのでしょう。ということで、水と一緒に口に含んで食べてみます。これで食べづらさ解消。


相変わらず乾いています。ついでに硬い。

口に放り込んで。


水を口に含む。

んー、先ほどより食べやすくはなったけどねー

確かに水と一緒に口に含んで噛むと、水分を吸収してそのまま食べるよりかは硬さがやわらぎ食べやすくなります。先ほどよりか食感が向上して美味しく感じる。

しかし、当然ながら米の味のみ。連続して食べていると味気なく感じます。もうしばらく走った後に、しっかりとした食事として大量に食べるとなるとこのままでは辛いです。そろそろ奥の手を出さないといけないでしょう。

奥の手とは何か。米に水気と味を与えてサラサラッといけるようにするアレです。分りましたか?そう、お茶漬けです。糒をお茶漬けにして食べてみます。その為には熱いお茶が必要。湯沸かし器は持ってきてないので途中の自販機で購入します。それを探しつつ先へ進みましょう。

 

奥の手に必要な物がみつからない。

先ほどの地点からはまだ西を目指します。若干昼には早く、空腹感も無かったので熱いお茶を真剣に探すのはもう少し後から。あまり早く購入してしまうと冷めてしまいます。


まだ意外に桜が咲いていました。
横浜青葉IC付近。下から見上げると要塞みたいで割りと好きです。美しい撮影方法は私ではよく分らない。

やがて大和市に入る。
そうこうしていると片瀬江ノ島海岸まで続く境川に出る。ここから再び南下します。

境川に出たあたりでスタートから大体40km。旅も後半戦です。境川沿いにはサイクリングロードがあって途中住宅街を抜けつつ半分ぐらいは田園風景の中走ることになります。


サイクリングロードには距離表示もあります。走りやすい。他のランナーやサイクリングの人多数。
半分葉になった桜。この前の週にはきっとこの下で宴会が行われていたことでしょう。

 と、まあ、こんな感じの長閑なコースを走っていてそろそろお腹も空いてきた。ここらで熱いお茶を購入しようと真剣に探し始めたのですが2つ問題が発生しました。

  • サイクリングロード沿いは自販機やコンビニなど飲み物を買えるポイントが少ない。
  • 季節的に「暖かい」お茶が終わっていることが多い。

田園地帯になると自販機、コンビニがすぐ近くには見当たらなくなります。そして、まだ4月中旬というのに30度近い気温となったこの日。自販機を見つけたとしても、全部「冷たい」に入れ替えられているものばかり。それでも横道に入って探してなんとか「暖かい」で売られているお茶を発見。お茶漬けの素を舐めながら糒を食べることは回避されました。


お茶漬け用にザックに茶碗とスプーンとお茶漬けの素を入れていました。通常こういう物を持って走りません。

より大きな地図で サイクリングロード休憩 を表示
ただいまこの辺り。スタートから50kmを越える。時刻は14時近く。腹減った。

スタートから50kmを越えたところ。サイクリングロード途中の休憩所で昼食です。では茶漬けを作りましょう。


糒を茶碗に入れます。こうやって見ると普通のご飯にも見える。
さけ、うめ、のり、野沢菜の4種類からまずはさけをチョイス。

お茶漬けの素を入れたら。
お茶を注いでしばらく待てば完成。

と、ここで重大なミスを犯していることに気づきました。お茶漬けの素を使うときに注ぐのは「お茶」ではなく「お湯」でした。お茶をかけたら濃い茶色というのか緑色というのか。なんとも不気味な色になりまして・・・

ちょっと映像的にお見せできません。あれだけ熱い茶を探して回ったのにこんな結果になってしまいました。もっとも、単なるお湯は更に手に入りづらいと思われます。まあ、香りなどは問題ないので見なかったことにして食べましょう。


サラサラと食べやすい。硬さも気にならないね。


味があって美味い!

予測どおり、糒だけど違って水分でいくらか柔らかくなり、お茶漬けの素の塩気で無理なく食べられます。普通のお茶漬けに比べればかなり硬いと思いますが、そのままの状態で食べ続けていたのでこれだけでも劇的に美味しくなった気がします。


一気に完食。このあと梅茶漬けも食べました。


 糒の食べ方は先に紹介した、「そのまま」、「水と一緒に口に含んで噛む」の他に「煮て食べる」というのが有ったそうです。武士が戦場で食べるような場合は、火をおこして煮ている暇などないからそのままや水と一緒となるのでしょう。けど、保存食として家で食べるような時は煮れば通常の米と変わりなく食べられたと思います。昔の人の保存の知恵。凄い!

 

シメは海辺でお茶漬けです

こうして腹が満たされ、お茶漬けにして食べれば糒は美味いということが分ったところで最終目的地の江ノ島を目指します。残すところは20kmほど。先を急ぎます。


猫がいるかのように見える壁。猫好きの家庭でしょうか。
サイクリングロードは柵を繋ぐ金具にも自転車マーク。自転車専用道路であることをアピール。ランナーもいるけど。

上は切られていたけど、下ではフェンス食いちぎっている木。ちょっと顔に見える。
サイクリングロードが終わって藤沢市内に出ると道路標識にも江ノ島の文字が。

サイクリングロードが終わると藤沢市内に出てきます。ここまでくれば江ノ島はすぐそこ。ゴールは近い。


境川の河口付近。潮の香りがしてきます。

片瀬江ノ島に到着。海はいいですねー


そして一気に江ノ島の反対側まで走ろうとするとこの人の波。両側のお土産屋や干物屋は大変な賑わい。

人ごみを抜けて島の反対側へ続く道へ。そろそろ日が傾いてきた。


江島神社奥津宮を通過。あとは階段を下って江ノ島の裏側へ。そこがゴール。

猫がお出迎え・・・はしてないな。江ノ島には猫が沢山住み着いています。



より大きな地図で 江ノ島 を表示
最終目的地の江ノ島に到着。撮影時間など含めておよそ10時間の旅。

こうして東京23区北部から江ノ島までの旅は終わりました。シメは海を眺めながらの糒茶漬けです。 


夕日に照らされる茶碗とお茶とミリン干し。


途中の土産物屋でミリン干しを買っておいたので、糒の上にそれを乗せてお茶をかけます。


海とお茶漬け。食べ終わって気づく。ミリン干しは焼いて食べる物だった。けど美味かった。腹も壊しませんでした。

1日ぐらいならオニギリのほうがいい

糒は十分な携帯性があり、エネルギー補給の有用性が今回の走りでよく分りました。急いでいる時の簡単な栄養補給にはその能力で十分に答えてくれます。しかし、どうにも食べづらいのが難点。そこはお茶漬けにすれば問題なし。是非、糒を持ち歩くときは茶碗とマイスプーン、熱いお茶を忘れずに。会社の机に糒を忍ばせておけば、朝食を食べられなかった日も会社でお茶漬けを食べられます。

もっとも、1日ぐらいの行動ならばオニギリを持って行った方が機能的でしょう。美味しいし。ただ、より長期の保存に関しては糒にかなう物なし。これからは、炊きすぎたご飯を冷凍保存するのではなく、糒にするという選択肢も日々積極的に取り入れたいと思います。その時は、糒の新たな食べ方も更に模索してみます。

走り終わって江ノ島にある温泉施設で食べたシーフードカレーとビール。やはり乾燥してない暖かい米はうまい。走り終わって汗を流した後のビールもうまい。

 
 
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