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ロマンの木曜日
 
奥深き指貫の世界

日本の指貫、加賀ゆびぬき

日本の指貫では石川県の加賀ゆびぬきが有名だ。
GWに作品展が行われていたので見に行ってきた。
その入り口からいきなり凄い作品が!


指貫植物に一匹のテントウ虫

なんと指貫が植物に。さらにはそこにテントウ虫! 小さく、繊細な指貫に加えられた、思うがままの遊び心。 入る前から見せつけられた加賀ゆびぬきの凄さ。 もちろん、中に入ってもメロメロにやられましたよ。

指貫の色の洪水


春を感じるディスプレイ。明るい色は良いやね。

中に入ると花をテーマに作られた作品が所狭しと並ぶ。 そのどれもが鮮やかな色、綺麗な柄で彩られ、本物の花以上に 華やかな作品に。もう、どれを見てもわーわー騒ぎっぱなし。


同じ柄だけど色でこんなに変わる。どっちも良いですなぁ。

今回展示してあるのは指貫教室に通っている 生徒さんの作品なのだがそのどれもが本当に緻密で 綺麗に仕上がっている。

思い思いの展示方法に個性があり、見ていてとても楽しい。 小さな桐箱の中の指貫を見ていると大事にしている様子が 見て取れ、まるで宝物のようだ。


先生の作品。整然とした美しさ

無くなりそうだった加賀指貫

さぁさぁ、指貫教室の大西先生にお話を伺いましたよ。

僕「どれも色鮮やかで綺麗ですね。こういう指貫は加賀にしかないんですか?」
大西先生(以下大)「他の地方でも指貫自体は有ったようですがこういう風に糸でかがってあるのは加賀指貫だけですね」


指貫と折り紙。とても日本な組み合わせ。

僕「今でもこの地方ではこの指貫を使っているんですか?」
大「今は金属製の指貫を使っている人が殆どです。私の祖母の頃は実際に使っていたようですが金属製の物が出来てからは使われなくなりましたね。今では作れる人もあまりいなくなってしまい、無くなってしまうかも知れない状況でした」
僕「それを先生が復興させて広めているんですね」

技術の進歩で簡単に指貫が作れるようにはなったがこんな綺麗な指貫が無くなってしまうかも知れなかった。便利なだけが良い訳じゃないよね。


右の指貫は枝に合わせてかなり小さく作っている。
畳、指貫。あぁ、お茶を出しておくれ。

指貫の中にポケモンがいます。探してみよう。 

加賀ゆびぬきが綺麗で楽しいその理由

僕「指貫としての実用性はどうなんでしょうか?」
大「とっても使いやすいですよ。使えば使うほど指に馴染むし、表面の糸が針滑りを防いでくれます」
僕「糸でかがってあるのにはそういう理由があったんですね」
大「それも有りますし、お裁縫箱の中も綺麗だと嬉しいですからね」

あー、指貫がこんなに綺麗である理由が見えた気がした。同じ物を使うなら綺麗な物を使いたい、可愛い物を使いたい。女性の持ってるこの心理。 機能から生まれる形の美しさもあるが(新幹線の流線型とか) 機能以上に求める美しさ。そりゃあ綺麗だわ。


いろんな柄と鮮やかな糸。綺麗だなぁ

僕「これだけ細かくかがるのは大変じゃないですか?」
大「大変ですけど楽しいですよ。やってる間は時間を忘れちゃうくらい」

そう、楽しそうなんだ。見ていて楽しいのは作っている人が楽しんでいるからなんだろう。ディスプレイにも個性があってどうやって飾ろうか楽しんでいるのが目に浮かぶ。


なんだかおひな様みたい。やっぱり日本
あまり上手くないから桜貝でごまかしたのよ。って言ってたお母さんの作品。凄く綺麗ですよ。

他の作品や作り方、指貫教室など色々な情報が有りますので興味のある方は大西先生のホームページもどうぞ。 古い指貫について情報を集めているそうなので知っている方はお知らせください。

貴重な古い指貫も見せていただきました。

しんぶるじゃぱん
https://www.yubinuki.net/


こんなに素敵な指貫でも実際は縫い物で使う物。使い心地が気になる物。ということで使ってみよう。


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