レンズがいっぱい並んでいる様もグッときちゃう!
さて、いよいよ映写機の説明をしてもらうことに。
まずは、とてつもなくカッコイイ映写機の顔ともいうべきレンズ部分から。
この、三つレンズが並んで……みたいな配置はよくイメージとしてあるけど、スクリーンはひとつなのに何で三つもレンズが必要なのかな? と思っていたら、これはそれぞれのスクリーンサイズに対応しているとのこと。
小さいレンズから順に
スタンダードサイズ
アメリカンビスタサイズ
シネマスコープサイズ(シネスコ)
予告編の後とかにグゴーッと両脇の幕が動いてスクリーンのサイズが変わってるのは知ってたけど、これを切り替えていたのかー。
ちなみにシネマスコープは、一番左右の幅が広いんだけど、使っているフィルムは他のサイズと一緒のもの。どうやってこんなに横長な映像が収録されているのかというと……
これが、まあ大雑把に横縦比2.35:1のシネマスコープサイズの絵だとすると
このように、ムリヤリ左右を縮めてフィルムのサイズ内におさめて、上映する時にレンズによって左右の幅を元に戻しスクリーンに映し出すという……へーっ! へーっ! だからそれぞれのスクリーンサイズで別々のレンズが必要なのかな?
ちなみにこの部分に音声の情報が収録されている。こちらはアナログの音声データ。
フィルムに目で見える形で、音の波形が書かれているとは! これを読み取ってちゃんと音は鳴るなんてフッシギー。
こちらの、フィルムの穴と穴の間に収録されているのがデジタルの音声データ。「ドルビーデジタル」とかそういうのに対応した映画館で使うのはこっちのデータみたい。
さすがにデジタルの方は目で見てもワケがわかんないですね。
映写機が僕の思いのままに!
さて、こちらはフィルムがスルスルーっと通っていく部分。
うーん、狂おしいまでにメカメカしい構造! ワクワクしちゃうな。
しかし、どうしてこんなにクネクネと複雑にフィルムを通さなきゃいけないんだろうか?
フィルムを送り出すリールは一定のスピードで回転しているのに対し、フィルムを映写する部分では一瞬カクッと動きを止めなくてはならない。
一本のフィルムなのに場所によって動くスピードが違うという、その辺の矛盾を調節するため、こんなに複雑な構造が必要なんだそうな。
そして、メカメカしい内部構造からすると意外なほどシンプルな操作盤。停止、正転(再生みたいなもん)、逆転(巻き戻しみたいなもん)程度のコントロールボタンのみ。
でも、この必要最低限の機能しかないっていうのが逆に業務用って感じがしてカッコいい。
ものすごい音とともに映写機が回り出したーッ!
これだけでっかい機械が動いているんだから、ある程度音がするのは分かるけど、それにしても工場みたいにすごい音だ! ビックリしたッ!
それにしても、直径1メートル以上もあろうかというリールが高速でギュンギュン回ってる様は大迫力! DVDはコンパクトで便利だけど、それだけじゃ割り切れないパワーがここにはある!
そして……
う……映ったーーーーッ! (写真じゃものすごーく分かりづらいですが)
指先ひとつであの巨大なスクリーンに映画を映し出せる……というのは口では言い表せないくらい、とてつもない万能感があるぞ。
これはお客さんがいない時にやらせてもらったんですが、お客さんが満員に入っている時だったら、「俺の指一本でこの映画停められるんだぜ……」とか思っちゃうだろうな。
ちなみに、今は映写機もタイマーで制御されているので、わざわざボタンを押して上映スタートさせているわけではないとのこと。
映画がますます好きになった!
非常に手間暇かかったアナログな作業を経て上映されているフィルムの映画って、プロジェクターでDVDを観るのとは、同じスクリーンの大きさだったとしてもやはり違うような気がする。
段々と映画にもデジタル化の波が押し寄せてきていて、フィルムなしで上映するような映画館も出来ているみたいだけど、やっぱフィルムだよなー、そうだよなー……。と思ってしまう僕はノスタルじじぃなんでしょうか?
とりあえずこれからは、映画館で何かトラブルが起こって上映が中断したとしても罵声を飛ばさないようにしようと思います。
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