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土曜ワイド工場
 
愛のキューピッドとなって受粉させに行く

花を見に公園に来るなんて初めてです。

公園に賭ける

住宅地を2時間彷徨ったところで見切りを付け、袖ヶ浦公園にフィールドを移す。 公園はちょうど花のシーズンらしく、園内にはたくさんの人がいて、たくさんの花が咲いていた。

それすなわちビヨウヤナギの発見に有利に働くかというとそうでもない。言ってしまうと園内に咲いてる花でビヨウヤナギは一つもなかった。キンシバイさえ見あたらない。

シーズンだったのはショウブの花で、ショウブをバックにした夫婦のツーショットの撮影を頼まれるなど、ビヨウヤナギの入り込む隙がなかったのだ。


たぶん一人だけ心がくさってました。
こっちだって勝負花粉なのに。

それでも公園の奥の奥の方でビヨウヤナギっぽい花がたくさん咲いていたが、 それもまたキンシバイだった。すぐ分かったので近寄ったりせず無視して素通り。

こんなヤな感じの花の見分け方って他にあるだろうか。


人生に期待しなくなって何年が経つだろう。
そのときおもしろいと思って撮った写真です。

さらに歩くとアクアラインなるほど館という施設に着いた。 偶然にも今の時期は公園の花の写真を展示してるらしい。


ここでビヨウヤナギの写真がなかったら諦める。
ありませんでした。

虫に受粉を見せつけられる屈辱。

2ページ目の初めの方に載せた花が萎んでる。

ついに見つけた。駅前で。

再び駅前に戻ってきた。もう100%帰る気なのだが乗る予定の電車までは まだ1時間近くあった。つまり予定してたより1時間も早く諦めたのか。

「随分探し回っておれ頑張った」的な感覚が多少なりともあったのでショック。 花粉に申し訳ない。

とか思いながらトボトボ歩いてたら駅前10分のところでついに見つけた。


あの少ない数で寂しげは。
どこから見てもビヨウヤナギ。たぶん、絶対。

新宿御苑(左上)のと比べてもほぼ同じ。

ゾンビのように何時間も徘徊して探し回ったビヨウヤナギの花はこんな近くにあった。 見つけられてものすごくうれしい。うれしいけど、あまり素直に喜べない。

それはおそらくいままで何だったんだという気持ちがあるから。 だって公園までのバス往復代580円したんだから。

それでもここまで来たことが無駄にならなくて良かった。 花の様子を見ると、雄しべの先が茶色くなってたり、雌しべがどこにあるか分からなくなってる状況から、ひょっとして既に受粉後?と思ったけど、 そこらへんの知識はないのでさっそく愛の儀式を行います。


末永くお幸せに。

青い鳥は遠くにいた方がいい

果たして自分のしたことは愛のキューピッドと言えるのかどうかわからないが、 花のために頑張ろうと思ったし、花を見つけたときはうれしかった。 もうその気持ち自体がエンジェルと言って良いのではないだろうか。

あと「実は近くにあった」というシチュエーションはあんまりうれしくない。 見つけたうれしさより虚脱感の方が大きかった。

たぶん幸せの青い鳥を探して旅に出て見つけられず帰ってきて 実は近くにいたんだと分かっても、そのときの感想は「旅費を返せ」だと思う。

ここです。来年ここにビヨウヤナギが咲いたら それは僕の功績です。

 
 

 

 
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