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フェティッシュの火曜日
 
「ヘキサで20代。」業界別 定番ジョーク集

学生時代の話だ。ある授業で教授が、「レポートにカレーの作り方を書いてきた学生がいた」なんて話をした。その時はそんな話すぐに忘れたのだけれども、しばらくたったある日、またその話を思い出すことになった。別の授業で、別の教授がまったく同じ話をしたのだ。

よくよく調べてみると、この話は1960年代から言われている話らしい。僕は知らなかったが、大学教授の間では定番のジョークだったようだ。

こんなふうに、いろんな業界で働く人たちは、それぞれ他業種の人が知らないジョークを隠し持っているに違いない。独り占めするのはちょっとずるいぞ!というわけで、今回、読者のみなさんからアンケートを採らせていただきました。今回はそのアンケートの結果をつかって、皆さんに業界ごとの秘密のジョークをおすそ分けしようと思います。

(text by 石川 大樹



業界ジョークあつめました

業界ジョーク、今回はこう定義した。

・業界で広く使われていると思われるもの
・ほかの業界ではあまり使われていなさそうなもの
・ジョーク自体のおもしろさよりも、定番としてよく言われていることが重要

こんなポイントでジョークを募集したところ、なんと50通以上の回答をいただいた。残念ながら全てをご紹介することはできないが、この場でできる限りたくさんご紹介していきたいと思う。

それから、ジョークの合間に、ところどころプチインタビューをはさんだ。働く人の生の声を通して、各業界の空気感を感じていただけたら幸いです。

 

メーカー・流通編

 

水商売はいいよな (食用油メーカー)

「あいつら水商売は儲かっていいよな」

食用油を扱うメーカーにいるのですが、原価はそこそこ高いです。一方、飲料メーカなどは材料が水のため、原価が安い。そのことを指して「水商売はいいよなー」と言ったりします。 -- (じんべえ さん)


 妙にうまい掛けことばからスタート。営業マンのあいだでは「油売ってんじゃないよ」なんて軽口もありそうです。

 

カ□ーラでも180km/h (自動車業界)

(大衆車の)カ□ーラでも180km/hでるんだから(、おたくのシステムももっと使いやすくしてよ)。

私はシステムエンジニアをしていますが、自動車メーカに導入したシステムで、お客さんの要望通りの性能・機能がでなかった時にこう言われました。 -- (いとう さん)


 単位の違う比較はなんにでも応用できそうでずるいです。カローラでも180キロ出るんだから、俺だけカレー大盛りにしてよー。カローラでも180キロ出るんだから、30過ぎてもお年玉くれよー。

 

コピー機の隙間で寝てるよ (OA機器販売)

「コピー機の隙間で寝てるよ」

売上成績に計上されるタイミングが、契約を取ったときでなく、機械を設置した瞬間です。そのため、強引な営業マンたちは、期末に売れそうなところがあると、まだ契約が決まってないのに機械を設置したフリをして自宅に何台も保管してました。 -- (サラ さん)


 コピー機の隙間で…、というのは冗談にしても、そもそも家庭にコピー機がたくさんおいてある状況が冗談みたいです。でもほんとらしいんですよ、これが。


こういう普通の業務用コピー機の話だそうです。床抜けそう

 

しめごろしまど (サッシメーカー)

「新入社員のとき、『嵌殺窓(はめごろしまど)』を『しめごろしまど』と読んでしまったよ!」

昔、勤めてたサッシメーカーで、新入社員が配属される季節になると、おじさま社員のうちの一人(同じ人とは限らない)が必ず言い出してました。 -- (ナヲコ さん)


 読み間違いネタの定番、サッシ業界版。「しめごろし」ってずいぶんまがまがしい間違いですが、間違わなくても「はめごろし」の時点でかなりまがまがしいですね。

 

ウチは問屋やけどな (問屋)

「そうは問屋がおろさないっ!・・・ま、ウチは問屋やけどな」

婦人服の卸の会社に勤めていたころ、先輩方がよく言っていましたよ。 -- (mie さん)


 セルフ突っ込みがそのまま定番に。定番ネタって、もうみんな聞き飽きて「ハイハイ」ってなっちゃうから、自分で突っ込むしかないんですよね。

 

出版・印刷・メディア編

 

汁冷し (バイク専門ライター)

「バイクはやっぱ汁冷しだよな」
「いや油冷しだろ」

エンジンの冷やし方の種類で、空冷と液冷という言い方があります。液冷の中でも、油冷を「油冷し」、水冷を「汁冷し」とか言ってました。 -- (まるに さん)


 冗談が通称として定着しちゃったパターンでしょうか。冷やしとか汁とか、そばみたいですね。

 

このまま発行しちゃおう (出版社)

もう、このまま発行しちゃおう

締切間近になると、1ページ白紙だろうと、ダミー写真のままだろうと「もうこのまま発行しちゃおうぜ」と誰かが言い出します。毎月のお約束です。もちろん、そのまま発行すると、大クレームになるので、徹夜覚悟で乗り切ることになります。 -- (星夜 さん)


 追い詰められて冗談考えてる場合じゃないとき、定番ジョークがあると便利ですね。そういうときって笑う余裕もないわけですが。

 

memoって書いて入校 (編集)

記事が完成しないまま入稿期限が迫っているとき
「一番上に『memo』ってだけ書いて入校してしまえ」

超ありがちな、記事の進行が遅れているときに「いっそ白紙でメモページにしてしまえ」です。 -- (サラ さん)


 ひとつ上のと似てますが、白紙ページをなんとか有効活用しようとしてみたパターン。同じようなシチュエーションのジョークでも、会社ごとに個性があるのかも。


投稿してくれたサラさんに電話で聞いてみました

実はデイリーには一度だけ、実際にメモ欄が登場したことがあります。……すみませんでした

編集者インタビュー「そんなコーナー作ったら殺されます」

石川(以下、石):これは、「もう入稿なのに原稿が来ない!」みたいな話ですか?

サラさん(以下、サ):それもあるんですが、企画が決まらない時が多いですね。8ページの特集なのに、まだ4ページしか埋まってない、みたいな。

石:その分量だと、だいぶたくさんメモできますね(笑)

サ:バリエーションとしては、「メモ」以外に、「自分のお気に入りを書いてみよう」の欄とか。でもどっちにしろそんなコーナー作ったら殺されますから(笑)。あくまで冗談です。

石:実際そういうピンチな状態になった場合、どうやって切り抜けるんですか?

サ:実際にはちょっとコラムの隙間が大きくなったりとか、写真が入るはずだったところに無理やりイラスト入れたりとか、元々入れるはずだったイラストをちょっと大きめにして使うとか…。

石:ちびちびと余白を埋めていくわけですね。

サ:分量が少なければそれでしのげるんですが、たとえば記事をお願いしてた人と急に連絡が取れなくなって、記事一本まるっと全部できてない、みたいなこともありまして(笑)、そういう時に「ページ落として台割も組みなおすか、…それかメモだね」、と。

石:なるほど、そうやって修羅場の会話に、自然に定番ジョークを織り交ぜていくわけですね。どうもありがとうございました。

 

お金刷ればいいじゃん (印刷会社)

「うちの会社も最近不景気だからなあ」
「大丈夫、本当に潰れそうになったら、お金刷ればいいんだよ」

本当にお金を刷れるだけの技術があれば、不景気くらいで潰れないんですけどね。 -- (編集部・工藤 さん)


 「いざというときにお金を刷れるように技術を磨いてたら、いつの間にかトップシェアの印刷会社に」みたいな美談、ないでしょうか。怠け心が功を奏して。

 

「とんぼ」をうたう(印刷会社)

カラオケで「とんぼ」をうたう(印刷トンボじゃないっすよーとか言いながら)

会社の人とカラオケ行ったら部長は絶対歌います。以前、同業種の別会社との飲み会でも歌われていたのでよくあるんじゃないかとおもいます! -- (まゆ さん)


 意外なところで人気を集める長渕。「とんぼよ どこへ」って印刷業的には大問題ですよね。

 

テープ落としたら絵が傾くからな (ビデオ編集者)

「ビデオテープは大事に扱うんだぞ!落としたり、倒したりしたら、絵が傾いたりズレたりするからな!」

新人研修の時、テープを丁寧に扱わないと、録画されてる絵が歪むといって脅したものです。 -- (tunegone さん)


 新人も内心「うそだぁ」と思ってますが、もし本当だったら自分の知識不足ってことになるのでなかなか言い出せないんです。

 

カラーバーのほうが数字とるよ (TV番組制作)

O.A.した番組の視聴率があまりに悪い時
『カラーバー流しても、もっと数字とるよ』

深夜番組やお昼帯の番組でありがちですが、3%とかいう数字を取ってしまうと、こういう自虐が出たりします。費やした時間と労力が走馬灯のように思い返されます。 -- (チェン さん)


 TVのライバルはネットでも雑誌でもなく、カラーバーでした。カラーバーも、研究してみたら「視聴率の取れる色順」とかあるかもしれませんよ。

 

フォントフォント (WEB制作)

A:このフォント何使ってるの?
B:新ゴだよー
A:ウッソ!
B:ほんとほんと。(フォントフォント)

この業界なら誰もが一度は経験があると思っています。半年に一回位でます。(偶然若しくは故意に) -- (にゃー さん)


 編集部でもたまに出ます。もちろん偶然のほうですが、あとから気づいてなんだか無性に悔しくなるんです。

 


業界ジョーク、いかがでしょうか?

業界ジョークの楽しみ方のポイントは、ジョークそのもののおもしろさよりも、その背景に透けて見える、業界ならではの事情にあると思います。

飲料メーカーをうらやむ油メーカーや、コピー機を自宅に持ち帰る営業マンなど。ジョークの裏には、いままで知らなかった、その業界ならではの事情があります。そんなことも考えつつ、次ページからも読みすすめていただけたらと思います。

 

 

 
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