以前「メガネ作るなら手作りで」という記事を書いた。メガネを手作りすると好きなようにデザインできるし愛着もわくからとても良いよ。という記事だ。
それまで知らなかったのだがメガネはプラスチックの板をメガネの形に削り、成形して作られている。
削ってメガネの形にすればメガネになる。ん?じゃあ削れるモノなら何でもメガネに出来るんじゃないの?至って当たり前のこの論理、さて実際どうなったでしょうか。
(尾張 由晃)
まな板だって削ればメガネか?
最近はずっと自分で作ったメガネをかけている。愛着や思い入れがあり掛けていると何とも嬉しいのだ。しかも作る課程もすっごく楽しい。
そのため、またメガネが作りたい。メガネを削り出したいというメガネ作り欲が止まらない。
あぁ作りたい、メガネ作りたいと思いながらメガネ代わりに夕飯を作っているときに気づいた。
これ、削れるんじゃないか。いや、人参じゃなくてさ。
まな板って削れるよな?削れるんならメガネに出来る!?出来るに違いない!今回のメガネ作りの生地は決まった。さぁメガネ作り開始だ!!
一人で作る喜び
生地が決まればデザインを。元になる物が無いので自分の感覚で形を作る。案外簡単で、一から書けたことが嬉しい。
一人で作る不安
生地に型を張ると、生地とデザインが相まってメガネのイメージが現れる。ハズなのだが、メガネの落書きをしたまな板にしか見えない。出来るハズだと意気込んだものの、やっぱり感じる一抹の不安。
前はただの板が見事なメガネになったじゃないか!(職人さんの手で)今回も進めていけば見事なメガネになるさ!!
今回の企画で一番ダメだと思った瞬間。
ドンドンボロボロになっていくまな板。イタズラじゃない、絶対に良いメガネが出来るぞ!と自分に言い聞かす。そうじゃないと諦めてしまいそうだったから。
不安からは目をそらし、一心不乱に糸鋸を動かす。進むやいばに舞い散る木くず。部屋に広がる木工所の匂い。あの匂いは薬剤とかじゃなく本当に木を削った匂いだったんだ。自分の家でそんなことに気づきたくはなかった。
板から離すとメガネに見える
さぁ、どうでしょうか。
部屋が木くずだらけになり、下がっていくテンションと戦いながらも削り抜く。
どうだっ!!「あー、メガネかも?」ぐらいの印象か。だけども僕にはもう見えた。メガネが出来るビジョンが見えた。前もこんな感じからメガネになったんだ。これはイケる!!
イケるとテンションあがったが、木くずはどうにも勘弁して欲しい。次の日に持ち越して公園で作業を続けた。
屋外だと木くずが全く気にならない、イメージに近づいていくメガネに、手も木くずも止まらない。
プラスチックは平らな板に熱と圧力で曲線を付けるのだが木の場合はそうもいかない、厚さを生かして曲線に削る。ブリッジ(フレームの真ん中の所)や鼻当てなど自分の力で立体にする。
思った通りに立体化できたときの喜びといったら…うわぁー。あぁー。
後は仕上げだ完成だ
形取りが終わり、もうこりゃメガネ。どっからどう見てももうメガネ!
うりゃあ!どうじゃあ!!
結構自分でも驚く出来映え。あぁメガネじゃん。やっぱりまな板も削ればメガネになるんじゃん!
ちょっと奥さん!あなたが野菜切ってるまな板もメガネになれるんですよ、可能性は無限大ですよ!!
さぁさぁ更に細かくヤスリを掛けて仕上げて参りましょう。
仕上げて…しあげ…
折れた。ポキッて。スコッて。
削る前はガッシリしてたのに、削るとビックリするほど軽い。スッカスカだ。安いまな板だったからか、まな板はそういう物なのか。
アロンアルファ!凄い!一瞬でくっついた。失敗の穴埋めだけでなく作り始めるときに一番悩んだ蝶番の接着もやってくれたのはアロンアルファ!
アロンアルファ!に力を借り、ヤスリも終わり、ニスを塗り、蝶番を付けた。つまり、出来た。
さぁご覧くださいませ。まな板メガネ!
工芸品としてお土産屋さんで売ってそう。
レンズの溝は掘っていないがこれは十分メガネだろう。やっぱり出来る!削れる物なら何でもメガネに出来るぞ!よーし、他の物も削ってメガネにしてやる!