つくば市にムクドリという鳥が大発生しているらしい。
夏のこの時期、ムクドリの大発生はさほど珍しくなく、実はつくば市以外でも全国各地で問題になっているようなのだが、中でもつくばは特にすごいと聞く。
大発生ものとしては少し堅実路線に寄りすぎている感がなくもないが、個人的につくばという場所に思い入れもあったため(後述します)見に行ってきました。
(安藤 昌教)
つくば、近!
つくばは東京からだとTXというかっこいい電車に乗って45分くらいで行くことが出来る。そう考えると僕が今住んでいる家から会社まで通うよりも近いわけだ。そんな手ごろな場所で大発生が見られるとは。
TXのつくば駅に隣接する中央公園にはロケットが目印のエキスポセンターがある。これはつくば万博の記念施設だ。この施設には何度か行ったことがあるのだが、中には科学グッズをたくさん扱うお店があったりしてすごく楽しいです。
久しぶりなのでゆっくり見学したいところなのだが、ここはぐっとガマンしてまずは公園内でムクドリの大群を探すことにした。大群というくらいだからすごい目立つのだろう。見つけたらさっさと写真撮ってエキスポセンターで宇宙食とか買いたい。
と簡単に考えていたのだが、いないのだ。なぜこうも大発生を見に行ったライターは同じ目にあうのか。
というのも先日編集部工藤さんが大阪までカタツムリの大群を見に行った。しかし一匹も見つけられずに(駆除された後だったのだ)絶望して帰ってきた、という記事を書いていたばかりなのだ(参照)。あのときは
「でもこれ逆に面白いからいいじゃん!」
と気楽に読んでいたのだが、立場が変わってみるとあの時の工藤さんの焦りがリアルにわかる。
ムクドリいない。
被害が出るほど発生していると聞いていたのだが、見事にまったくいない。事前に調べてきた資料と比較するに、たまにチチチッとかわいい鳴き声をさせながら飛んでいる鳥がムクドリのように思うのだがどうだろう。しかしまったく群れてない。
ここはやはり別のものを見に行って都合つけるしかないのだろうか、それともさっさと帰るが吉か。
というわけで思い出探しに出かけることにしました
この先まったく関係ない話になるので覚悟してほしい。
僕は就職してしばらく茨城県に住んでいた。実は当時つきあっていた彼女がここつくばに住んでいたので、週末のたびにつくばに訪れていたのだ。
当時のことを思い出すと、いつも強烈に記憶に残っている出来事がひとつだけある。
ある夏、関東地方を台風が直撃した。結構大きな台風でここつくばでも少なからず被害が出ていたように思う。心配して電話した僕に彼女は言った
「私は大丈夫だが、木が倒れて車が潰れている」
と。いやそれはさすがに大げさだろう、そんなのニュースでもやってないよ。と冗談半分で見に行ったら本当にでかい木が途中から折れて車の上にのしかかっていた。
あの現場が今どうなっているのか見に行きたい。もちろんそのアパートに彼女はもう住んでいないが(今の妻なので横浜で一緒に住んでいる)、あの夏の台風の爪あとがまだ残っていたりしないだろうか。
かすかな記憶を頼りに当時の彼女が住んでいたアパートの周辺を散策してみた。
そうしたらあっさり見つかった。
かれこれ10年近く前の話なのだが、あの時車にのしかかっていた倒木の切り株はまだそこに残っていた。
今ではキノコが生え、新しい命をはぐくんでいるのだ。そっと触れたら雨のにおいがした。なんだかいい話だ。
***
確かにいい話だが、ムクドリの群れを無かったことにするほどのインパクトがあるかといわれると自信がない。というかまったく弱いだろう。どうしたらいいのだ。
そうだ、地元の人に聞いてみようか。
お願い、地元の人! >