大賑わい
きっと始発のフェリーなんかには、乗客は少ないと思っていた。 夏休みとはいえ、今日は平日だ。 平日の早朝にこの路線を利用する人などそうはいないにちがいないと思いこんでいた。
乗船
改札でJRの切符を見せて乗船した。 船内には、キャディバッグ(というのだろうか)を置く専用のスペースがあった。 ひょっとしたらたまたまこの日が「ゴルフの日」かなにかで特別込んでいるのかと思ったが、こういう設備があるということは、いつもこんな感じなんだろう。
客室には、すでに缶ビールを酌み交わしているグループがいくつもあった。 きっと本気のゴルファーではないんだろう。 このくらいの気持ちでできるなら、ゴルフもいいなと思った。 ビールを飲んでいる人を見るとすぐにうらやましくなってしまうのだ。
出港を待つ
せっかくなので、景色を見ながらと屋外のデッキに座った。 かなり霧が濃い。 景色は見えそうにないが、海の風は気持ちがいい。 早起きした眠気がまたやってきて、少し目を閉じようかと思ったところ、大きな汽笛が鳴り、エンジン音が高くなった。
いよいよ出港
船は、後ろ向きに進みながら岸壁を離れた。 ディーゼルエンジンの煙のにおいが強くなり、少しずつ岸が遠くなった。
エンジン音がいちど静かになり、進行方向が前向きに変わった。 向きを変えて港を離れるのだと思ったのだが、だんだんまた岸壁が近づく。 どうしたんだろうと思っているうちに、もういちど着岸してしまった。
視界の回復を待ちます
船内のスピーカーが鳴った。 先行したタグボートから、沖合の視界が悪いとの連絡が入り、天候が回復するまで運航を見合わせるというアナウンスだった。
こういうことがあるのだ
時刻表で見る感じでは、たぶん3周くらいできるのかなと想像していた。 ちゃんとシミュレーションしたわけではないが、ざっと見たところでは3周はいけるはずだった。 しかし、理論上何周できようと、天気で船が止まってしまっては1周もできない。 そういうことが起こり得ることは考えていたが、実際にこうなるとは。
このまま終日欠航してしまったら記事はどうしよう。 心配ではあるけれど、どうしようもない。 そういえば昨日の夜からなにも食べていないのを思い出し、売店でフランクフルトを買って、食べた。
回復の兆候なし
1時間ほど船内のテレビを見ていた。 外の霧は濃くなっているようだ。 待ちきれない人が船を降りてゆく。 本当にこの運航しないのだろうか。 もうすぐ8時になる。 かれこれ2時間だ。 つぎのページからは「久里浜ぶらり旅」になるのだろうか。