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はっけんの水曜日
 
宇宙エレベーターへの第一歩!競技会を見てきた


「宇宙エレベーター」、詳しくは知らなくともその名前を聞いたことのある人は多いだろう。「宇宙に?エレベーターで?」と、その2つの単語の組み合わせが生み出す驚き。一度聞いたら忘れられないインパクトである。

一般人にはどこからどう考えていったらよいかわからない、そんな宇宙エレベーター。そんな折、千葉でアジア初の「宇宙エレベーター技術競技会」なるものが開催された。何がどんなふうに競技するのか。サイバーでフューチャーな光景が見られるのだろうか。

とにかく宇宙時代の新しき幕開けとなるかも知れぬこのイベント、み、見ておかねば!というわけで船橋まで行って参りました。

乙幡 啓子



宇宙エレベーター 原理は意外とシンプル

競技会レポートのその前に、今回の競技会主催者である「一般社団法人 宇宙エレベーター協会」からお借りした、宇宙エレベーター(=Space Elevator、以下SE)のイメージ画をぜひ見ておいていただきたい。最終目標はコレですよ。夢や妄想じゃ、ないんですよ。


クライマー(昇降装置)がテザー(リボン状の紐)を伝って宇宙へ昇っていく。
(credit: Space Elevator Visualization Group)

地上の基地。赤道付近の穏やかな海域を想定とか。
(credit: Space Elevator Visualization Group)
静止する、到達地点のステーション。
(credit: Space Elevator Visualization Group)

SEは 2000年にアメリカで初めて研究がなされた構想である。こういう着想、アメリカがさすがに一歩先を行っている。当地では早くもその建設を目的とした会社ができているほどで、これらイメージもアメリカで制作されたものである。

初めて見た方は「えー!!本当なのこれ?」と思うだろう。私もそうだった。あんな上空(というかほぼ宇宙)から紐をまっすぐに垂らせるものなのか?細そうな紐はどれだけの重さに耐えられるんだ?だいいち紐の材料って何だ?本当に上空のステーションは静止していられるのか?自問に次ぐ自問、謎だらけで頭がパンパン。

しかし、例えば静止衛星。宇宙エレベーターもこれと同様だ。静止させたステーションから地上に向けテザーを垂らしていけばよい。

そのとき重心もそれに伴って下がっていくので、反対方向にもテザーを伸ばしていってバランスを保つのだという。ちょうど、川面に魚を発見して、岸から網で掬いたいというとき、手は魚に向かっていっぱいに伸ばすが落ちないように足を思い切り踏ん張る、みたいなものか。身近な例でこちらもバランスをとってみた。

問題は、強度があってかつ軽い素材の研究だが、近年カーボンナノチューブが発見されたことで、かなり現実味を帯びてきたという。がぜん興味が増すではないか。私の生きてるうちに、エレベーターで「宇宙に参りまーす」なんてことになるかも?

 

ロボコンのようなすがすがしい雰囲気

さて話を宇宙から船橋市に戻そう。今日の競技会は、SEに絶対必要な技術を向上させるための、試金石ともいえるイベントである。


SEだったらこれだろ!とタイポグラフィがキマっている。
グラウンドの果てに・・・あの玉が、その場所か。

テザー吊り下げ用バルーンが待機中。ちょっと興奮してきた。

日本大学所有のグラウンドに、巨大なヘリウムバルーン。このフーセンがいきなり宇宙エレベーターです、なわけない。このバルーンにより、テザーを150mの高さまで吊り上げて、レールとするのである。

バルーン打ち上げもまたドラマがあるので次ページで見ていただくとして、それまでの間、参加チームのブースを見て回ることにしよう。

今回は8チームがエントリ。ほとんどを大学の研究室単位での参加が占めている。どうりで、以前見に行った高専ロボコンに雰囲気が似ている。成果物もそれに近いからかもしれない。ギア、モーター、プーリーといった、それらしい言葉が飛び交っている。


グラウンド脇に各チームのテント。お互いのチームを視察しあったり自由な雰囲気。
調整に余念がない。

それぞれ自チームのクライマーのアピールにも余念がない。
見学に来た少年が、熱心に各チームに取材して回っていた。後継者。

ドイツからの参加も。下馬評ではBMW並にすごいらしい(実際、世界最速)、
本番と同じテザーで試験中。

自然に囲まれた、郊外の静かなグラウンド。草木の鳴る音、遠くには虫の声、そして宇宙エレベーター。いい俳句ができそうである。

競技内容はいたって簡単だ。「吊り上げたテザーを、バッテリー駆動のクライマーで昇る速度を競う」31文字で書けた。短歌だ。

いっけん単純そうに見えるが、各チームが各々工夫を凝らしたクライマーの説明ボードを読むと、よくわからないなりにも何かこう、一筋縄ではいかなそうな雰囲気を感じ取ることができる。


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