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ひらめきの月曜日
 
カビキラーと大根おろし器でTシャツを一新する
色抜けしてさらにだらしなさが増した部屋着

カビキラーはすごい。普通にこすって落ちないお風呂場のカビ汚れがいちどきに落ちる。面倒だと伸ばしのばしにしていた浴室の掃除も、一旦はじめるとその汚れ落ちの素晴らしさに夢中になってしまう。

すばらしきカビキラー。

しかしですよ。掃除が終わってきれいになった浴室を眺めながらふと着ていたシャツに目をやるとだ。黒いTシャツがところどころピンクになってたりしやしませんか。

そう、カビキラーが付着して塩素の力で色抜けしてしまうことが(うっかり者のわたしには)よくあるのだ。

元に戻すにはもう一度染めるしかなく、素人には難しい。どうでもいいような部屋着とはいえ、やっぱり「あーあ」という寂しい気分になる。

カビキラーによるシャツの色落ちに一矢報いたい。いっそ、わざとカビキラーでTシャツの色を抜いてみてはどうか。

古賀及子



カビキラーで抜染しよう

染物というと趣味ジャンルのなかでもわりと敷居の高いもの。染める前の下準備から染めたあとの色どめなど、初心者には知っておかなくちゃいけない知識や準備しなくちゃいけないこともたくさんある。

とくに染物の色を抜いて模様を出すことを「抜染」というそうで、場合によってはかなり高い技術を要するらしい。

カビキラーならTシャツに吹き付けるだけで手軽にこの抜染ができるのである!

うわあ、なんだこのパラダイムシフトは。


タイトルにもある大根おろし器については後述!

カビキラーカビキラーと連呼していますが、自宅にあったのはルックの「速攻バスター」だった。ごめんルック。

カビキラー(イメージ的に「カビキラー」なので、やっぱりこの商品名で進めちゃいますね)を吹き付けるだけ、とはいえ、単に吹き付けただけでは不測の色抜けのようなだらしない模様になってしまう。

今回は故意に抜染するのだ。何か模様を浮かび上がらせたい。あわよくば、着古したTシャツをちょっとオシャレな1枚にリフォーム! 的な奇跡を起こしたいと思う。

家じゅうを捜索し、夏場の部屋着にしているタンクトップと夫の3枚1パックの安い下着(これは新品)を見つけ出した。

よしよし、きみらをかっこよくしてやろうじゃないか。


古着を探していて出てきたハンカチがすごかった メモってなんだ。あとバスケットって

塩素対策も万全です

本当だったらガレージだとか屋外で作業したかったのだが、都合により自宅の居間で行う。

カビ取り材は効果がすごいだけにかなり気を使って扱わないと危険だ。

ガンガン扇風機を回して換気、シャツは色を抜く度にベランダに出した。写真では畳の上で作業してますが、液が畳にかからないように、染みないように十分注意しております。

なんでこんなにびびっているかというと、実際私はカビ取り材を使った風呂掃除でちょっとクラクラして足をすべらせそうになったことが一度あるのだ。

「ふつうに店で売ってるものなのに、怖い!」と、世界の自己責任について初めて実感したのだった。


手袋、眼鏡、マスク。風呂掃除の万全のスタイルです

蚊取り線香でうずまき模様を

さて、ではではどんどん抜染していきたい!

布を染めて柄を出すには、絞り染めのように一部に色が入らないように絞ったり型で押さえてマスクする。

今回の場合は、既に全体が染まっているうちの一部の色を抜くので、その逆の発想をやるわけだ。

何かでマスクすれば、その場所の色が抜けないわけである。手じかに、マスキングできるいい模様のものが何かないか探してみてパッと蚊取り線香が目に付いた。きれいな渦巻き型だ。

これでマスクしてカビキラーをシュシュッとスプレーすれば、色が抜けた中に渦巻き模様が残って浮かび上がるようになると思われる。お、なんかよさそう。


こうやって置いて、上からカビキラーを吹き付けると……

手始めなので、とにかくやってみたいという気持ちただ1つで吹き付けてみた。ぶちゅっ。


ギャッ

分かったことは次の通りだ。

カビキラーで抜染するときの豆知識

・カビキラーはシュッと吹き出るのではなく、ブチュっと出る

そうなのだ。カビキラーの正しい使命「お風呂のカビ落とし」にはシュッではなく、ぶちゅっと出なければ役に立たない。

Tシャツに浮かび上がったのは、カビキラーで服をおしゃれにしようなんて、そうは問屋が卸さないぞ、という結果だった。


地獄

とっさに「地獄」という言葉が思い浮かんだ。平和な世の中に生まれて30年、何かを見て、「地獄」と思ったのは、これが初めてじゃないか。30年間地獄のような目にあったことがなかったのだ。

いい時代に生まれたと思う。

おかげで私はとても幸せだが、Tシャツの方は大惨事だ。思い通りにマスクされている部分もあるが、ブチュッと大量に出たカビキラーはマスク部分の下で染みてしまったのだった。

マメ知識をふまえた対策

・布の下に染みないように、マスク部分は太くしよう

というわけで、今度はビニールの太いテープでしっかりとマスキングして、吹き付けてみよう。


マスクどおりにシマシマになったらいいなあ

なかなか問屋が卸してくれない >
 

 
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