偶然発見

先日、ネットの乗換え案内で東京駅の時刻表を調べようと「東京」と入力して検索したところ、鉄道の駅以外にバス停もヒットした。
そのなかに「東京道」なるバス停を見つけた。
どこにあるのだろうかと思い、「東京道」で検索してみたが、該当する情報は少なかった。
さらに調べたところ、東京の西の方にあるバス停だということがわかった。

「東京道」があるのは東久留米市前沢という住所で、近くにはひばりが丘団地という大きな団地もある、東京のベッドタウンだ。
いわゆる「東京」的な高層ビルや繁華街とは違って、大都会の喧騒からは離れている。
東京の都心へとつながるような大きな道路もなく、地図で見ても「東京道」という道は見当たらない。
僕は以前、自動車の運転を職業にしていたので、都内の道路には詳しいつもりだが、「東京街道」と呼ばれる道があるのは知っていたが、東京道という道路は知らない。
インターネットで調べていても、「なぜここに東京道が？」という疑問への答えが見つからないので、とりあえず向かってみた。

普通の住宅街

東京道バス停は、西武池袋線のひばりヶ丘駅から出発するバス路線にある。
ひばりヶ丘駅は池袋から快速で20分弱の場所で、駅前にはパルコと西友がある。
東京の周辺にあるごく普通の駅だ。

駅前のバスターミナルから目指す路線のバスに乗車した。
東京道バス停は、始発のひばりヶ丘駅から5つめにある。
バスの便数も数分おきと頻繁にあり、利用者が多いバス停なのだろうなという印象を受けた。

到着

バスに乗って数分で「東京道」に到着した。
道路幅は、バスのすれ違いが困難なくらいの狭さで、交通量もそれほど多くない。
住宅街にある、一般的なバス通りだ。
ちなみにバス車内アナウンスでは「とうきょうどう」と発音していた。

バス停以外の表示を探す

東京道バス停は、同じくらいの広さの道路が交わる交差点をはさんで上りと下りの停留所が立っている。
おそらくこの交差点のどちらかの道が「東京道」なのだろうと思い、道の名前を示す表示を探した。

地元の人に聞いてみよう

周辺を歩いたが「東京道」の表示は見つからなかった。
ちょうどその第五小学校の前で夏休みに学校で遊ぶ子供の交通整理をしていた方に、東京道はどの道かを聞いてみた。
ところが、その答えは
「東京道？そんな道路は聞かないねえ。」
というものだった。
少し離れた小平に東京街道というのはあるけれど、この辺に東京道というのはないというのが、この方の話だった。

いきなり途方にくれるような回答だ。
これは困ったことになった。
もう少し情報を得ようと、通りに面したお店に入って話を聞いてみた。
このお店の方は「東京道っていうのはこの道ですよ」と店の前のバス通りを指差した。
地元の人の通称で、昔からこの通りを東京道と呼ぶというお話だった。
なるほど。これで疑問は解決としていところだが、さっきの交通整理のおじさんとは違う意見だったので、もう少し情報を集めたい。

バス停近くの交差点で信号待ちをしていたおばあさんに聞いてみたところ、
「この通りが東京道ですよ」
と、お店の人とは違う方の道路を示した。

この通りには「南沢通り」という看板が出ているので、それを質問すると
「ここからこっちが南沢通りで、向こう側が東京道なんです。」
という答えが。
「でも、この先の六角地蔵までしか東京道とは呼ばないですね。」
と、さらに詳しい情報を教えてくれた。