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ひらめきの月曜日
 
ケンタッキーからいいダシが出るか

フライドチキンを煮るという行為

生の鶏肉に水を注ぐのは、日頃よく行う作業なこともあり、なんの躊躇もなく出来た。

一方のフライドチキンである。衣が付いたままなこともあり、水を注ぐにはちょっとした勇気が必要だったことをここに告白しよう。


衣が水を吸ってブヨブヨと膨張するフライドチキン。いいのか、こんなことしていいのか。

ま、そんなことを思ったのも最初のうちだけだった。グラグラと煮えてしまえば衣はどんどん剥がれ、肉がむきだしになる。そうなってしまえばこっちのもんだ。


フライドチキンのアクは、出てもこの程度。
一方、生の肉は当然のようにどんどこアクが出ます。

途中から野菜を適当に入れて、一緒に煮込もう。
こちらも同様に。

生手羽肉を煮た鍋からもいい匂いは漂っているハズなのに、ケンタッキー鍋から発せられる「どや、どないや!」と言わんばかりの凶悪な匂いに邪魔され、いまいち分かりにくい。ケンタッキーの例の匂いは、煮てもなお健在であることがここに証明されたと言えよう。

それぞれを約1時間煮たところで、火を止めた。今回も味付けはシンプルに塩コショウのみである。

まずは、生の手羽肉を煮た鍋から食べてみよう。


スープにほどよく色が付いて、おいしそう。
さすがに1時間も煮れば肉もホロホロです。

うん、こういうのは何度か作ったことがあるが、素材の味が前面に出てるというか、全体的に優しい味がするというか、つまり、いくらでも食べられそうなスープになってくれていた。ホッとする味ともいえる。

一方、フライドチキンを丸ごと煮込んだ鍋はどうなっただろうか。


どっろー。
衣が溶けて、トロミどころの騒ぎじゃなくなっている。

こうなることは予測がついたものの、考えていた以上にドロドロになってしまった。途中で水を足せばシチューっぽくなった可能性もあろうが、ま、これはこれで良しとしよう。

パンチの効いた味もいい。ただしさっきのシンプルな鍋とは違い、そうたくさんは食べられそうにない。どうしても「パンを下さい。さもなくば飲み物を」と言いたくなるほど、全体的に濃厚なのだ。スープではなく完全に「おかず」と化している。

以上2つを食べ比べてみての感想は、これは「どちらがおいしいか」ではなく「どちらが好きか」しか言えない食べ物だと思った。

 

では中間はどうか

スーパーで「骨付きローストチキン」なるものを見つけたので、上の2つと同様の工程で作ってみた。


揚げてないので衣もない。
ってことは、うん、ドロドロしなかった。

でもスープの味は深みがあって、
肉は骨ばなれがバツグン。肉自体の味もしっかり残っておりました。

これはいい。生と揚げのいいとこ取りみたいで、まさしく中間の味だろう。

そして、これがいいってことは、結局は何でもいいってことになるのだと思う。

えー、いつにも増して乱暴な結論で申し訳ない。


ってなわけで、当然のように全てをミックスして終了。

いや、あの、なんでもいいというか

つまり骨付きの鶏肉というのは、生はもちろんのこと、揚げあっても焼いてあっても、煮れば煮ただけきっちりうまくなってくれる食材なんだな…、ということが言いたかったのだ。

あまりの有能っぷりに「なんなら骨なしの唐揚げでもおいしく煮上がってくれるんじゃないの?」と怪しんでいる。

あ、でも骨のみで手軽にダシを取りたいんだったら、やっぱりケンタッキーのチキンの骨が一番かもしれない。そう思わざるを得ないくらい、最初に飲んだスープはおいしかったのでした。

ミックスしたものにトマトやニンニクを加えたら、一気に最強になりました。

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