「お地蔵さんは赤い前掛けをつけている」 必ずではないにしろ、イメージのひとつとしては納得してもらえると思う。それでは逆に、 「赤い前掛けをつけていたらお地蔵さんだ」 というのは納得がいくだろうか。 訊ねるまでもなく、ぼく自身が納得できてない。でも試してみようと思うのは、悪い癖だと思います。
(櫻田 智也)
お地蔵さんの愛らしさ
さて、お地蔵さんの赤い前掛けは、どこかで売っているものなのだろうか。インターネットの通販サイトをみたら、何件かの仏具屋さんで取り扱っていたので、なるほどと、町内の仏具屋さんに電話をかけてみた。
以前コネタ城にも投稿した、岩手の天台寺にある愛らしいお地蔵さん
「あの、そちらで取り扱っているか、お訊きしたいものがありまして」 「はい。なんでしょう」 「あのですね、お地蔵さんがつけてる赤い前掛け……」 「うふっ。ないですね」
訊いたら笑われてしまった。あんまりそういうのを買いにくる人はいないのだろうか。
『全国のお地蔵様に!!』と、力強いコピーで前掛けの販売をしているお店から通販で購入しようとも思ったが、数日では届かない見込みだったので、家にあった赤い布でつくることにした。
「前掛けどうしよっかな〜」とゴロゴロしていて 座布団に使った赤い布が余っていることに気づいた
前掛けをもって街にでよう
一辺おおよそ20センチほどの赤い前掛けが完成した。テーブルに置いただけで、もうテーブルがお地蔵さんにみえてくる。赤い前掛けの持つポテンシャルなのかあるいは軽いノイローゼか、とにかく街にでて検証してみよう。
レストランの店頭に置いてあったソフトクリームの模型。こんなものでも赤い前掛けひとつでなんと、
ここで記事を書いてきた経験上、こういうのは断言したら勝ちである。
ただ、赤い前掛けをつけたことで、ふつうのソフトクリームにはない慈しみの心が感じられるのは皆さん賛同いただけるものと思う。「最近冷たいものが歯にしみる」そんなかたは、ぜひ一度、このお地蔵さんをお参りしてはいかがだろう。
つづいては、
なにかと思って近づいたら、ニホンカモシカの石像とのこと。カモシカは道路脇などでたまにみかけることがあるが、なんとも精悍な顔つきをしており立ち姿も美しい。 そんなカモシカであるが、これまた赤い前掛けを着せてやれば、
これはもう、「カモシカ地蔵」という名前がついていてもぜんぜんおかしくない。ありがたさと可愛らしさ倍増。このまま置いてこようかと思ったくらいだ。 だいたい同じようなのが神社にいるし。
こんな具合に、赤い前掛けの持つポテンシャルの限界に迫っていきたい。