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ロマンの木曜日
 
ジェームス・ボンドがバンジーしたダム

R※terichsbodenダム(※はaの上に")


翌日。今度はアンデルマットから北西の方向へ反時計回りにぐるりと一周するルートです。



より大きな地図で スイスのダムめぐり を表示
アンデルマットから反時計回りに一周

前半は何もないのですが、ちょうど向こう正面のあたり、かなり狭い範囲に発電ダムが連なっていて、只見川や飛騨川を彷彿とさせます。

R※terichsbodenダム(※はaの上に")は重力式ですが、下流から見ると壁面に巨大な絵が描かれていて、とても目を引きます。

また、上流側には巨大な朝顔式の洪水吐があって、この中に落ちたらヤバい、というものすごい迫力を醸し出しています。その洪水吐に流れ込んだ水は、流れ下りながら下流側で一瞬だけ外に出て、またすぐトンネルに入ってしまうという、ディズニーシーのセンターオブジアースのような導流部を経て下流に流されます。


誰のどういう意図の絵なのかはまったく分からない(クリックすると大きな画像を表示します)

松本零士さんの描く女性のようにも見える 見下ろすとすぐそこに顔
巨大な朝顔式洪水吐がついている 一瞬外に出るセンターオブジアースのような洪水吐

Grimselダム

次のダムはR※terichsbodenダム(※はaの上に")のすぐ上流。アーチ式の主堤体Spitallammダムと、その脇の尾根を補強する重力式のSeeufereggダム。これらを合わせて、通称Grimselダムと呼ばれています。

ここは以前にテレビで偶然見て、どうしても来たかったダム。ついに憧れのスターとご対面です。


まさか正面から向き合える場所があるとは!(クリックすると大きな画像を表示します)

Grimselダム主堤体、高さ114mのアーチ部分は、コンクリートのブロックを階段状に積み上げて造られていて、現在造られているアーチダムとはだいぶ異なる構造。それが下流面に階段状の段差を作り、ほかに類を見ないシルエットです。それもそのはず、このダムが完成したのは1932年、日本の年号では昭和7年で、世界的に見ても近代のアーチダムとしてはかなり初期の作品と言えると思います。

力学的には無駄の多い構造ですが、水平方向はアーチしているのに垂直方向には直角の段がついている、というデザインは現在の感覚で見ると非常に洗練されているような印象を受けました。ものすごくかっこいい。


こんなアーチダム世界でここだけじゃないだろうか

しかも、誰も行ってなかったけど 天端にも行けるんですよ!これは感動した
副堤体Seeufereggダムはいたって地味 天端の石畳もこれは新しく敷いたのではないだろうか

Oberaarダム

Grimselダムのさらに上流。あまりの細さに、時間による片側交互通行が行われている山道を走った先にOberaarダムがあります。

このダムの特徴は何と言っても重力式ながら大きく「く」の字に曲がった堤体。それと貯水池上流がすぐ氷河という点でしょう。こんな山奥ながら訪れる人はかなり多く、片側交互通行の待ち時間には車が長蛇の列を作ります。ただし、ほとんどの人はダム目当てではなく、このダムをスタート地点としてハイキングに行くようです。

僕が行ったときは急速に天気が悪化してきて、雨が強くなると同時に霧が出てしまい、一瞬しか写真が撮れませんでした。


行き、帰りとも1時間のうち10分しか通れない この細さで15分くらい続く、でもまわりは絶景

この直後土砂降り&濃霧&強風で半袖だった僕は見事に風邪引いた(クリックすると大きな画像を表示します)

湖の上流がすぐ氷河 下流はかなりの落差でGrimsel湖へ

さて、約10日間も走り回ってスイスのダムをめぐってきましたが、とうとう終わりが近づいてきました。めぐるダムはあと2つです。

アンデルマットからクールという街を経て南下、イタリア国境にも近いロカルノという街に向かいます。クールもいい街だったんですが、Oberaarダムで引いた風邪が完全に悪化、まったくホテルから出られずに一日寝ていました。ものすごく心細かった。しかしそのおかげでかなり回復、無事にロカルノに向かうことができました。


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