デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ロマンの木曜日
 
ジェームス・ボンドがバンジーしたダム

Albignaダム

クールからロカルノに向かう途中、だいぶ遠回りなのですが寄り道して、どうしても見たかったダム(そんなのばかりですが)に行きました。それがAlbignaダムです。



より大きな地図で スイスのダムめぐり を表示
ひとつだけかなり外れにあるAlbignaダム(右下)

なぜこれほど遠回りしてまで行きたかったか。それはスイスのダムについて調べているとき、こんな感じの写真を見つけてしまったからです。実際行ってみたら、ほとんど同じ写真が撮れました。


こんな異様な雰囲気のダム見たことない(クリックすると大きな画像を表示します)

あの皇帝Grand Dixenceと同じように、そしてそれをはるかに凌ぐ高い崖の上に造られたAlbignaダム。

とても現実の光景とは思えず、合成かCGではないかとも思ったのですが、実際行ってみたら確かにそこに存在していました。

雰囲気としてはもう「悪魔の棲むダム」とか言ってもいいんじゃないでしょうか。ダムのある谷と右の谷で天気が違うし。


ぜったい何か棲んでる、コウモリとか飛び交ってる

このダムにアプローチするには、崖のふもとからロープウェイに乗ります。まさか切符のかわりに血判でも・・・ということはなく、ロープウェイ乗り場はとても明るくて、陽気なお兄ちゃんが「ダンケダンケ〜」と言いながら切符を売ってくれました。

そして、出発して約10分、ものすごい高低差のロープウェイがダム下の駅に着きました。


ダムの雰囲気に反してロープウェイ乗り場はかわいい 4〜5人乗りの小さなゴンドラ
あっと言う間にものすごい高度に上がる ダムが近づくにつれてやはり不穏な雰囲気
ダム下の駅に着く 息を切らしながら歩いてダム上に到着

しかし、下から見た雰囲気とは打って変わって、ダムの上は静かで気持ちのいい場所でした。周囲の山肌がロッククライミングのメッカのようで、思ったより人も大勢います。そして、何よりダムからの眺めがすばらしい。なんだ、すごくいいダムじゃん。

そしてもうひとつ、重大な発見をしてしまいました。事前に調べたときは「重力式」と書かれていたこのダム、天端にある案内板や建設記録写真によると、どう見ても中空重力式なのです!(ものすごくどうでもいい情報)

 

上流から見た堤体は小さいがGrande Dixenceにそっくり もっと氷河の多いときも見てみたい
あれだけ高いところから見下ろせるので景色は文句なし 管理所、というより山小屋
この断面図、中空重力式じゃない? 中空に間違いない、ダイヤモンドヘッドだ!

というわけで悪魔の棲むダムはとても雰囲気のあるいいダムでした。

この貯水池沿いを歩いていくと、さらに上流にレストランがあるらしいですよ。どんだけ山奥まで行くんだスイス人。

 

Contraダム

いよいよ最後のダム、Contraダムに向かいます。南スイス、イタリア国境に近い温暖なロカルノという街のすぐ北。ヴェルザスカという谷をさかのぼってすぐの位置に、一度見たら忘れないものすごいインパクトのアーチダムが建っています。


いきなりお見せします、どーん!(クリックすると大きな画像を表示します)
上から見下ろしても、どーん!

ここが、映画「007ゴールデンアイ」のオープニングで、ソ連の秘密基地(このへん曖昧です)としてジェームス・ボンドがダムの天端からバンジージャンプ、ダムの下にある入口から侵入する、という衝撃的なシーンで使われた高さ220mのContraダム。別名Verzascaダムとも言われています。個人的には造型から別名のVerzascaダムの方が似合う気がします。


スイスで見たダムでいちばん観光客が多かった やっぱりこの洪水吐の造型のお陰だろうか
こういう部分もほかに類を見ないかっこよさ 北のほうとは湖の雰囲気も違う

何と言っても特徴は両側に造られた洪水吐の造型。この「美しく、しかし無骨で、かつ悪そう」なデザインがソ連のダムっぽいイメージとして使われたのでしょう。では僕もバンジー直前のボンドの気分を味わうために天端の真ん中に行ってみよう、と思ったら。


バンジー、営業中でした!

なんと、まったくその通りのコンセプトでバンジージャンプ、営業中でした!

しかし、ダムの壁をクライミングしたりバンジージャンプしたり、スイスのダムは自由だ。自由すぎる。

誰か飛ぶのを見たくて、しばらく待っていたのですが誰もチャレンジャーは現れず。


仕方ないなあ、じゃあ僕が。
バンジー!

ダム観光立国を目指して

というわけで、3回にもわたって、スイスダムめぐりの記事を書かせていただきました。

初めてのひとり海外、そして初めての海外ダムでしたが、個人的にはかなり密度の濃い、満足のいくダムめぐりができました。

これが北米だと、対テロでかなり警戒されるんじゃないかと思うし、それ以外の地域だと、そもそもの治安という意味で非常にハードルが高いと思います。そういう意味では、スイスという国は日本と同じかそれ以上に、自由に気兼ねなくダムめぐりができることが分かりました。

水力発電はスイスの重要な産業だし、そのためのダムは国を代表する施設。向こうに行かれた際は、そんなダムにひとつでも足を伸ばしてみてください。

「ダム」目当ての観光客が来るんだ、と向こうに気づかせましょうよ。


あと、ダムの記事だとなぜか肩肘張ってしまって、固くて余裕のない文章になってごめんなさい。

ぜったいまた行くぜ!

< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.