分かれ道の選択
話はかわらけを投げるために大山寺へと向かうスタート地点まで戻る。最初に出くわした分かれ道のところだ。「らくらく」と「きつ〜い」坂、さああなたならどちらを選びますか。
ここから先はあなたが「きつ〜い」道を選んだとして予想される事態を写真入りで紹介したいと思う。
ようこそ
この分かれ道の手前まで、あなたはおそらく「徒歩でお寺へ行く」くらいの心構えだったのではないだろうか。
残念ながら「きつ〜い」を選んだ場合、その時点であなたのおかれた状況は「参拝」から「登山」へと変わることになる。
もちろんそうとわかるのは先の話だ。
きつ〜いを登り始めた直後、あなたは目の前に立ちはだかる壁のような石段に圧倒されることになるだろう。
下の状態はあの分かれ道からおよそ5分後だ。すでに普通に立って歩くのが恐ろしいくらいの傾斜の中にあなたはいる。
しかし、まだ登山は始まったばかりなのだ。
しかしこのくらいで文句いってちゃいけない。さらに10分後にはこうなっている。
徒歩で35分と書かれていたはずなのだが、石段にはいつくばりながらよぼよぼと歩いていたあなたは40分経っても何も手がかりが見えてこないだろう。
そうこうしているうちに周りに霧が立ちこめはじめる。そういえば雨もひどく降ってきた。絶体絶命だ。
気楽な気持ちでやってきたあなたはもちろん食料とか持っていない。携帯が通じることを確認したので、もう少ししたら家に電話してレスキューを要請しようか悩むことだと思う。
この取材が終わった後、普通に出社していろいろ仕事するつもりだったのでノートパソコンとか一眼レフのセットなんかがカバンに入っているだろう。しかし残念、この雨にやられてたぶんどこか壊れたと思う。まああなたが生きているだけ幸せだと思ってもらいたい。
絶望的なことばかり予想してきたが、あと10分も登ると巨大な鳥居が見えてくるのでここでしばし安心してもらいたい。
しかしこの後もあなたは分かれ道の選択を呪うことになる。
社務所へ行って「かわらけ」はどこで買えるのか、と聞いてみるといい。
「ケーブルカーで下山して、そうすると途中で大山寺という駅があるのでそこで降りてください」
我が耳を疑う瞬間だ。
エー、ココジャナイノー?
そう、あなたはここまで登る必要全くなかったのだ。かわらけ投げたいならあのとき「らくらく女坂」を選んでいたらよかったことに気づく。たぶん今頃投げ終えて帰りの電車に乗っていただろう。
あの死にものぐるいの45分はなんだったのか、って話になるよな。