大人になると「そんなこと言っちゃダメ」ということが色々とある。いや、子供にだってあるのだが、彼らは平気で「言っちゃう」のだ。うらやましい。 言いたいことを言えないというのは身体に悪い。口に出しては言えないけれど、手旗信号でなら、言っちゃってもいいんじゃないか。
(櫻田 智也)
手旗
手旗信号用の旗に、きまったサイズというのがあるのかはわからないが、とりあえず家にあった棒と布とで手旗を作成。
練習風景
練習といえば川原だ。自然の中にあってこその手旗でもあろう。
記事とはぜんぜん関係ない話なのだが、まっすぐ立っているつもりがやや左に傾いている。身体が歪んでいるのだろうか。怖い。
さて簡単に調べたところによれば、手旗信号は基本的なポーズ(原画)を組み合わせて仮名1文字ずつを表すようになっている。 たとえば、
この2つのポーズを連続でおこなうと「イ」をあらわす。ここで面白いのは、カタカナの「イ」を分解して、それを腕の格好であらわそうとしている点だ。つまり左の写真では、腕のかたちで「イ」の斜めの線を示し、右の写真では縦の棒を示しているというわけだ。 もちろん当てはまらないものもあるが、そんなわけで案外形を憶えやすい。ちなみに左の写真1枚だけなら「ノ」をあらわすし、右の写真1枚だけなら「ー(長音)」をあらわすことができる。 単独あるいは組み合わせでつくった1文字ずつの間には『原姿』と呼ばれる姿勢をとって区切りをつける。
ほかにも1ポーズ1文字をあらわすものとして、
「ハ」に関しては、なぜ腕が下向きではなく上向きなのかと文句のひとつも言いたくなるが、まあこれは仕方ないわけで、それぞれカタカナの形をなんとか腕であらわそうという努力がうかがえる。半分冗談みたいではあるが。
このとき遠くから犬を散歩している人が近づいてきた。犬が苦手な私はこの時点で手旗をつかい「コッチクルナ」と叫びたかったわけだが、まだ未修得であったため断念し、犬の接近を甘んじて受けた。 一刻も早く手旗をマスターしたい。練習に一層の熱が入る。
だんだんと熱を帯びてきた練習。
イジワルするのは好意の裏返し。鴨に対してもついそんな態度をとってしまう。 少年だった頃に言えなかった「好き」の一言。でも今なら手旗で伝えられる。もし答えが「ノー」だとしても、それは彼女が手旗信号を理解できなかっただけのこと。自分が傷つきたくない故の卑怯な告白。鴨よ、そんなおじさんを許しておくれ。
トイレの告白
それにしても外は寒い。寒いとトイレが近くて困る。
トイレである。
なるほどトイレには男子用と女子用の2種類がある。女子トイレをみる度、いつも思っていたことがある。この機に手旗で伺いをたててみたい。
いいわけない。 でも男は、夢を追わずには生きていけないのだ。