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フェティッシュの火曜日
 
リバーシブルかどうかは俺が決める

浮き彫りになった問題点

さてここで、ふつうの服をリバーシブル活用するうえでの問題を整理してみよう。
一部、(精神論を交えて)解決された部分もあるが、

  • タグによって裏面だということがわかってしまうタグ問題
  • ポケットがないから裏だと気づかれてしまうポケット問題

この2点が挙げられるだろう。
まずはタグ問題を解決すべく対応策を練ってみた。

 

木は森に隠せ

そういう言葉がある。要するに、気になるタグがあるのであれば、それを他の大量のタグに埋もれさせて目立たなくさせればよいのだ。


持っている服から回収されたタグ群

スゲー気になるメモ書き

これらのタグをまとめてつなげる。


紐に結わえていく(無邪気か)

そうして苦労の末できあがったのがコレだ。


タグセサリー(タグのアクセサリー)

さっそく試してみたい。


服についているタグから連なるよう
タグセサリーを装着

このタグセサリーをつけることで、服の裏面についていたタグがあたかもファッションの一部のようになってしまうのだ。


チェーンに飽きたらタグ

 

ポケットはつけてしまえばいい

つづいてポケット問題だが、ポケットがないならタグと同じようにつけてしまえばいい。そうすることで、どんなに裏返しにみえる服でも「ポケットがついてるんだからアレが表でいいんだな」と納得してもらうことができる。


 

企画を通してファッションへの意識が高まっていたぼくは(なにしろ途中で眼鏡も変えた)、トラックの幌を再利用してつくったバッグなどのブランド・FREITAG(フライターグ)のやり方を参考に、新聞広告の紙を再利用してポケットを作成することにした。

マテリアルとなるチラシの選択は重要だ。なにしろチョイスを適当にしてしまうと、かなり作業が進んだ段階で、


弟のほう

に出くわして面喰らうといった事態になりかねない。
使う広告を決めてデザインを考え、ボタンを配置しポケットらしさを整えていく。今回の目的はあくまで機能ではなく見た目のポケット感だ。その結果、なかなかいいアクセサリーが完成した。


光の加減であたかも上質の皮のような質感に

ポイントはもちろん手描きの縫い目

このポケットさえあれば、


裏返し感まるだしの服も

あ、フライターグのポケットが ついているんだから表ですよね! という具合に

あ、前になんかポケットの裏地みたいなのが ベロベロしてるけどお尻にフライターグの ポケットがあるから表なんですよね! という具合に

フライターグは寛大なブランドだと聞いています。

 

買い物にいこう

さて、リバーシブルの問題点を解決できたところで近所に買い物にでかけよう。なにしろ近所の本屋から、「『竹光侍』の7巻が入りました」と、頼んだ憶えもない電話がかかってきたところだったのだ。


じゃあいきましょう

裏返しのシャツにジーンズ、パーカーといういでたちで外にでる。もちろん胸にはポケセサリー(ポケットのアクセサリー)、ジーンズにはタグセサリーの両アタッチメントをつけることでリバーシブル仕様になっている。


「今日こそエロ本を買う!」と決めて 本屋にやってきた中三のとき以来の緊張感

ちなみにそのときの結果は「小学生がこんなもん買うんじゃない!」とエロ本で頭を叩かれて帰る。というものだった。背が小さかったぼくは中三なのに小学生と間違えられてエロ本を売ってもらえなかったのである。果たしてあのとき、「中学生だから売ってくれ」といったら売ってもらえたのだろうか。

いや、そんな話はどうでもいい。服だ、服。
果たして何もいわれず無事に本を買うことができるだろうか。


まいどどうも〜

幸いにも先客はいない。ここは落ち着いて行動だ。


まずは立ち読みでカラダを慣らす

後ろポケットがないことを忘れて ついお尻に財布をしまおうとする

意を決してレジに

店主をまえに、つい胸のポケット(正確にはヤマダ電機のチラシ)をかばうような腕の動きになってしまう。なにしろこれについて触れられるのはキツい。


レジ作業は淡々と進む

店主は気づいていないのか。気づいているのになにも訊かないのか。
いや、訊けないのか。不憫で訊けずにいるのか。
「にこちゃんカード(住んでいる町のポイントカード)ありますか?」」以外に、もっと言うべきことがあるだろう! そう思いつつ、ぼくは本の支払いを何事もなく済ませたのだった。 

「自己表現のための自己犠牲。それがファッションの根底にある原理だ」
こんな言葉がある。たぶんご存知ないだろう。なにしろさっきぼくが考えた。
今後ぼくはふつうの服を裏返して着ることはないだろう。だが、
「リバーシブルかどうかは俺が決める」
この思いは、記事を書き終えた現在もなんら変わってはいない。
ぼくが服を裏返して着ないのは、決して誰かの押しつけでそうしているのではなく、ぼく自身の判断として、それを選択したということなのだ。

ローソンは無理でしたよ

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