デイリーポータルZロゴ
このサイトについて
イッツコムロゴ

ひらめきの月曜日
 
「ヤンキーピラフ」を食べに茨城へ

落ち着いた、雰囲気のいい喫茶店でした

ランチタイムを過ぎていたため店内は空いていた。ヤンキー風の客の姿もとくに見当たらない。

しかしまだ油断はできない。店内を入念にプロファイリングしてヤンキーへの手がかりを探した。


木漏れ日が射す心地よい店内

店内には漫画も置かれている
漫画のセレクトがヤンキーっぽいのは気のせいか

極道系の漫画が置かれていること以外、これといってヤンキーを想起させる要素は店内に見当たらない。
それどころか、光と緑に溢れたとても心地よい雰囲気の喫茶店である。こんな店が近所にあったら毎日でも通いたい。

さらに、ご主人はとても人当たりが良く、柔和な顔をされている。この人が元ヤンキーだとはとても思えない。
いったいどういうことなんだろうか?


元ヤン?

 

「ヤンキーピラフ」はかなりおいしいピラフだった

ともあれ「ヤンキーピラフ」についてお伺いしたい旨を伝えると、「まずは食べてみるかい」とご主人。


すぐできるからちょっと待ってなよ

そういって厨房に消えたご主人は10分後、熱々の鉄板を持って再び現れた。一瞬「ヤキを入れられる」と思ったが違った。
鉄板の上にはおいしそうなピラフが乗っていたのだ。

これが山茶郷の「ヤンキーピラフ」680円

「ヤンキーピラフ」は鉄板の上に乗ったまま提供されるピラフだった。子どものころ漫画で見た「鍋から直に食べるラーメン」に憧れていたが、あれを彷彿とさせるものがある。

ほんとにおいしかったんです、このピラフ

焼き豚とにんじん、ピーマン、玉ねぎ。具はいたってシンプルだ。野菜はシャキシャキ、豚はカリカリに焼かれている。にんにくの効いたピリ辛の味付けは食が進む。奇をてらうでもなく、普通においしいピラフなのだ「ヤンキーピラフ」は。
かなりのボリュームがあったが一気に完食してしまった。

しかし、これのどこがヤンキーなのか? 謎は深まるばかりだ。ご主人にうかがってみた。

― ― なぜ「ヤンキーピラフ」なんですか?

「昭和50年に店をオープンするとき、近所の住人を集めてメニューの試食会をやったんです。そのときに地元のヤンキーのお兄ちゃんたちも15人くらい来てくれました。彼らに何かインパクトのあるメニューをと思って、鉄板のままピラフを出してみたんです。そしたら気にいってくれてね。そのうちのひとりが「これ、ヤンキーピラフにしようぜ」って。だから名付け親は私じゃなくて、そのヤンキーの子なんですよ」

なんと「ヤンキーピラフ」の命名者はヤンキー自身だったのだ。「ヤンキーピラフ」は開店当初から看板メニューとなり、ヤンキーはもちろん、女性から子どもまで人気を博したとか。

ちなみにご主人は元ヤンキーではないらしい。

「わたし? よくそういわれるんですけどわたしはヤンキーじゃないですよ。ヤンキーの子たちは好きですけどね。昔も今もこの辺りはヤンキーが多い。ちょっとガラ悪いけどみんないい子ですよ。ヤンキーを卒業したあとも、この店に通ってくれる子も多いですからね」

ちなみにその名付け親の青年は更生し、現在は市役所に勤めている。この店で現在の奥さんと知り合い、結婚してからも度々店を訪れていたという。子どもを連れてくるようになっても頼むのはやはり「ヤンキーピラフ」だったそうだ。

「ヤンキーピラフ」にこんな微笑ましいエピソードが隠されているとは思いもよらなかった。


ふたりが愛を育んだであろうテーブル

昔に比べ数は減ったが、今でも店には現役のヤンキーが訪れるという。
さらに、2年前「ヤンキーピラフ」の看板を店外に掲げてからは評判が広まり、地方のヤンキーも遠征してくるようになったとか。「ヤンキーピラフ」が掛け橋となってヤンキー同士の交流が生まれているのだ。

じつは今回ヤンキーピラフの取材に来たとはいえ、おもしろがってヤンキーのことばかり聞くと怒られるかもしれないと、内心ドキドキしていた。しかし、ご主人は失礼な質問にも笑顔で答えてくれる度量の大きい人物だったのだ。ご主人はヤンキーではないが、ヤンキーにとってのオヤジなのかもしれない。


帰りはご主人が勝田駅まで送ってくれた

ヤンキーに限らず多くの地元客に愛されている「山茶郷」。近くにはひたち海浜公園や阿字ヶ浦海水浴場があって、レジャー帰りに立ち寄るのも便利だ。

ヤンキーピラフは普通盛りでもボリュームがあるのだが、大盛りは2倍の量になるという。ヤンキーだけでなく柔道部などにも食べてほしいメニューである。

山茶郷
住所:茨城県ひたちなか市部田野3705-3
営業時間:10:00〜20:00
休業日:月曜
アクセス:ひたちなか海浜鉄道湊線「中根駅」から徒歩30分、東水戸道路ひたちなかICからすぐ


< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
©its communications Inc. All rights reserved.