紅葉は鮮やかか
都内近郊の山ということで、やってきたのは高尾山だ。ここでまず確かめたいのは
「鮮やかな紅葉の候となり」
である。山は本当に鮮やかに紅葉しているだろうか。
駅から徒歩10分ほどでケーブルカーとリフトの乗り場に着くと、山を登らずしてすでにそれは始まっていた。
おりしも、高尾山ではもみじ祭の開催中。わざわざ来なくてもネットの画像検索でよかったのでは。そう思うくらいの、絵に描いたような紅葉ぶりだ。
疑ってごめん、という気持ちを込めて
2009年版 正しい11月の時候のあいさつ
○ 鮮やかな紅葉の候となり
正しい時候のあいさつ、認定します。
赤とんぼは飛び回っているか
見事な紅葉に登山口の時点で半分くらい満足してしまった感があるが、せっかく来たのだし、もうちょっと上の方にも行ってみよう。
高尾山のリフトは傾斜が最大31度、日本一の勾配なのだという。切符は片道と往復があったが、「特に下りはスリル満点です!」と書いてあったので、迷わず登りの片道切符を買った。
リフトの上から、至るところで真っ赤に染まったモミジが見えた。ところどころでまだ緑色をした木もあったけど、全体の盛り上がりとしては、まもなくピーク、くらいのところにきていたと思う。
ところで赤いといえば、紅葉の他にもう一つ気になっていることがあった。赤くて肉食でギョロ目のアイツ、いったいどうしているんだろうか。
「肌寒い空を赤とんぼの群れが飛び回る頃」。
実は街中でも赤とんぼを探していたのだが、見つからず、山に持ち越したのだ。
しかしここでも赤とんぼの姿を見つけることはできなかった。もう少し早い時期からいるような気がするので、もう赤とんぼの時期は終わったのかもしれない。かわりに見つけたヘリコプターをもって、時候のあいさつと変えさせていただきます。
× 肌寒い空を赤とんぼの群れが飛び回る頃 ○ 肌寒い空をヘリコプターが飛び回る頃
落ち葉は降り積もっているか
上空にはヘリが待っていたが、足下にも時候のあいさつは潜んでいる。
「落ち葉の降り積もる頃」。
八百万(やおよろず)に神が宿るといわれるように、時候のあいさつもあらゆるものに潜んでいるのかもしれない。
落ち葉に手を差し込むと、前日に落ちた濡れた葉と、今日落ちた乾いた葉の二層構造になっていた。積もっているし、今日まだ降っていることの証でもある。つまり、「降り積も」っている。
○ 落ち葉の降り積もる頃