たゆたうオフィス

報道陣が次々に試乗フロアへ移動し、数台のU3-Xに列をなし始める。私も焦る気持ちを抑えながら、あくまで冷静に（しかし他人を追い抜く勢いで）順番待ちのボードに名前を書き込んでもらう。

周囲はざわついているが、試乗中のU3-Xからはほとんど音が聞こえて来ず、実に静か。その静けさが、いっそうの期待感を抱かせるのである。

ついに名前を呼ばれ、フロアに。おお、私の相手はキミかね。

自立している！と驚くが、それはそうなのだ。人間が乗っても倒れないのは、人間の重心移動を感知して、素早いバランス制御をU3-Xが常に行っているわけで、人間抜きでも同じように作動しているのだから当然なのだ。でも電源を切れば自立はできない。今は電源入っているから自立できてる･･･と、考えるだに不思議な光景ではある。

と考えたのは後の話で、このときは乗るのに精一杯であった。わくわく、ビクビク。

これは・・・なんとも不思議な感じ。そう「不思議な感じ」というのが第一の感想。床の上をピッタリと走っているのに、空中を浮遊しているような感覚である。夢の中で、こういう感覚に陥ることがある。

あるいは「スケートを椅子に座りながらしている」ような。あるいは「ハンモックにゆられている」ような。乗りこなすと気持ちいいだろうなー。

ハンモック、というのは、自分には真横への移動が割と簡単だったので、そんな印象。「ふわーっと、目をつぶりながら乗って瞑想でもしたいですねー」と試乗担当の方に繰り返し語ってた記憶があるが、もっと違うこと言えばよかったような気もする。何だ瞑想って。

このときは頭の中が真っ白になり、つい早々に降りてしまったが、もっと粘って乗っておけばよかった！静かにテンパってしまってたのかもしれない。

ここで取り出すという勇気もある

試乗は終えた。私の持ってきた大荷物に、皆さんの視線がだんだんと刺さってきた気がするので、やったるぜという気持ち半分、大変なことになってるぞという気持ち半分で、準備にかかる。

ここで言っておきたいのだが、前回制作の様子を記事にしたときと比べて「偽足」がダルンダルンなのは、前日にチューンナップを失敗してたことに気づかず持ってきたからである。私には本物を開発するなど２００億年経っても無理ですな。

この機会に、ぜひ本物と比較してみたい。下写真、どちらが本物か、わかるかなー？

畏れ多くも、このU3-X開発責任者である小橋さんと、並んで撮影するという恩恵にあずかれることに！いや、大変恐縮です。でもお受けいただいてありがとうございます。

しかも開発チームの方が「乗りたい」とおっしゃってきた！社内テレビにうっかり取材もされてしまった！