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ロマンの木曜日
 
街の看板になってみる


大変申し訳ありませんが、あの看板になりたいのです。

大きな街に行くとタレントが巨大にプリントされた広告がでーんとある。 僕は芸能人に疎いのでモデル自体に興味はあまりないけれど、 単なる一人の小市民としては、おらもいつかああなりてぇという思いは少なからずあったりなかったり。

いやハッキリ言うと大いにある。街中を自分の巨大な看板で埋め尽くしてみたい。 埋め尽くして「どうだ!」て言いたい。なにがどうだなのかは知らないけれど、 ちっちゃい人間としてでっかい人間になりたいのだ。物理的に。

でも現実には絶対ムリだし実現したらしたで指を差されて笑われるだけだから、 IT技術でなんとかしようと思います。

小柳 健次郎



実にちっぽけな自分

地方から上京して来た誰しもがそうであるように、 僕も東京の人口密度と街の大きさには縮み上がった。


日常的な渋谷の風景。
故郷の全人口が写ってると思う。

よく山とか高いところに登った人が「人間なんてちっぽけな存在だ」みたいなことを言うけど、 渋谷のようなところに行っても同じ感想は出る。

違うのは登った人は人類全体を指して言ってるのに対し、 ここでは自分だけを指して言ってることだ。 所詮この人混みの中の一人、砂粒の粒でしかないことを否応なしに実感してしまう。


そんな自分を撮ろうとしても被りすぎて写らない。

ようやく写ったとしても左腕のみ。

人混みに飲まれる惨めな自分を撮ろうにも、人波に飲まれて写ることさえままならない。


近づいて撮影したら後ろの外人が同じ高さ。あの外人はビッグな人だ。

輝きを放つビッグな人ならバッチリ写るかもしれないが、近づいて撮ってもこの淀み具合である。 後ろの人混みより視認しにくい。

これから言い出すことが分不相応すぎるため出来るだけへりくだろうと思ったら、 暗くなってしまったのでそろそろ本題いきます。

 

巨大広告になりたい

さてそんなちっぽけな存在として街の真ん中で呆然とビルを見上げてると、 視界に入ってくるものがある。主にタレントがどーんと写ってるどでかい広告だ。


ビッグ!(物理的に)
これまた物理的にビッグ!

こういった看板は割とどこにでもあるから、上京前なら気にとめることなんてなかっただろう。

しかし人混みに飲まれこれ以上ないくらい萎縮していた自分にとって、 物理的に、たぶん人間的にも大きなその存在は憧れるには充分だった。

自分もああなりたい。

でもありえない。

どうする?


答え:こうする。

自分の写真を撮り、それを実際に広告があるところに合成して あたかも自分がポスターになったかのように見せる策だ。

策だ。なんてってそんなことする時点でより小者になってんじゃないかとは思うが、 広告のモデルになりたいとか言った時点でそんなこと気にする立場でもないのです。

ちなみにスーツ姿なのは、公的な場にはキチンとした格好でという誠意です。 あとブルーバックなのは背景を合成させるためというより、 後ろが汚いので隠してる、というのが6割。

そして最新技術を駆使して合成したものがこちらです。


実にダメ。

 

広告に似せる

かなり予期していたことだが、ただ撮った写真をそのまま貼り付けてもそれっぽくは見えない。 やはりそれなりに広告のフォーマットに合わせる必要がありそう。

なので作りました。

お察しの通り、自分の写真で広告、それもドラマのを作るとものすごく恥ずかしいものが出来ます。 それはもう、小さくしないと載せられない代物が。

でもなじみ具合は良くなったと思う。


夢が、いま。

あ、楽しい。

確かにやってることはかなり痛々しくて自分でもしばらく正視できなかった。 でもそういったこと全て飲み込んだ上で頭の中を空っぽにしてから視線を移すと、 自分自身も騙せる瞬間がある。

でもすぐ現実に戻ってキャーッてなるので、さっきからそれ繰り返してます。

 

動画にするとさらにそれっぽく

ここでさらに最新技術を駆使して、動画で合成したものも作ってみた。


 

おお、動画のほうが本物らしく見える。静止画の合成はもう見慣れたとこあるけど、 動画だとまだそれほど耐性がないからだろうか。

ただ本物の広告に近くなったことで、モデルのありえなさが際だってもきてる。 でかい広告になったところで、どんより感は一切消えてない。というかサイズ分増幅してる。


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