ひょんなことから、「晩白柚(ばんぺいゆ)」という巨大な柑橘類をいただいた。 熊本の名産で、果実はもちろん皮までおいしく食べられるらしい。
しかしその皮を食べるには、二日がかりの作業を経る長い道のりが待っていたのだった。
(ほそいあや)
調べてみると、晩白柚は大正時代にベトナムから日本へ持ち込まれたとのこと。すいかが厳密には野菜ということを考えると、間違いなく日本では一番大きい果物だと言える。
「晩白柚」で画像サーチすると、これよりもっと大きいものがたくさん出てくるのでぜひ試してみてください。
一通りダンベルみたいにあげたり下ろしたりして大きさを堪能したので、そろそろ食べてみることにする。
実を傷つけないように慎重にナイフを入れ、中身を取り出す。ワタの部分がふかふかしていて布団みたいだ。
でかいので皮も大量。食べきれるのか。
添えられた説明書の方法通りにやってみよう。 小さじ一杯のミョウバンをいれ、煮る。 その間、二回ほど水を取り替える。 それででき上がるのか、と思いきや、その後24時間水に浸してアクを抜き、その間も水を二回取り替えるのだ。
ミカンの皮食べるのにこんな時間かけるものなのか?ほかの柑橘類の皮でこんなに手間ひまかけられているものを私は知らない。明らかに果実より身分が上だ。
噛んだ瞬間、プチプチプチーと口の中で破裂した。甘さと酸っぱさのバランスがとてもいい。ツブが弾ける音が周りに聞こえるくらいのみずみずしさだった。プチプチ爆弾だ、これは。 グレープフルーツもおいしいけれど、それよりパンチのきいたおいしさなのだ。大きいからといって大味ではなく、うまさも一緒にでかくなっている。