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ちしきの金曜日
 
刀研ぎ師の仕事場を訪ねてきた

まずは砥石で刀をリセットする

仕事は、マンションのベランダを仕事場に改造したこのスペースで行われる。



藤代:研ぐときには、刀は分解されていて、握り手である「柄(つか)」がついていません。こういう短い刀を研ぐときは、研ぎやすいようにこの「研ぎ柄」をはめて研ぎはじめます。



加藤:つけるとかっこよくなりますね
藤代:これは撮影用に長いのを用意しました(笑)
研いでいる間に錆びないように、水にはこの洗濯用ソーダ(重曹)を溶かし、アルカリ性にして使います。昔はわら灰を溶かして使っていたらしいですが、ホコリっぽくて体に悪そうだし、僕は使いません。


重曹を溶かした水を……
指でちょんちょん、と刃につけて……

研ぐ!!


藤代:研ぐと黒い研ぎ汁が出てきます。この作業は、前に研いだときの刃文などを落とす、いわば「化粧落とし」の作業です。
加藤:あ、ほんとだ、研いだ部分全体が白くなってる。一度リセットするんですね。



藤代:このあと、二種類の砥石を和紙に貼ったものを用いて、磨きに入っていきます。
加藤:和紙??

 

新弟子を苦しめる砥石づくり



藤代:これは裏張りといって、薄く割った砥石に和紙を貼ってさらに薄く磨いたものです。
加藤:え! これめちゃくちゃ薄いじゃないですか。作るの大変じゃないですか!?
藤代:そうですね、ものすごく大変です。でも弟子入りしてすぐは、ずっとこれをやらされます。もう、始めて一日で指紋もいっしょに削れて無くなります。そして続けるうち皮も削れて、肉が露出してきます。
加藤:ひーーーー!
藤代:もう、そうなると血がいつまでも止まらないんですよね、肉、出ちゃってるから。風呂なんか痛くて入れないですよ。
加藤:もういいです、もういいです! 弟子入りってやっぱり、厳しいんですね……。

藤代:そうですね、弟子入りして半年くらいはこの作業です。それで音をあげる子はやめていきます。

 

そして研ぎは進む


砥石つき和紙はカッターで指サイズに切られ……
ハサミの刃の反りを利用して割れ目を入れる。

こんな感じ。刃艶用の「内曇砥」と、地艶用の「鳴滝砥」の二つがある。

そして指に和紙を当て、地道に研ぐ。

加藤:すごく地味な作業になるんですね、研ぎって。このあと、ずっとこの小さいので研いでいくんですか。
藤代:そうですね、このあと全体をくまなくこれで研いでいきます。
加藤:いったい1本完成させるのにどれぐらいかかるんですか? 
藤代:モノによりますが最低1ヶ月はかかりますね。これまで研いだ中で一番大きかったのは全長185cmの大太刀で、半年くらいかかりました。でも、父は240cmの大太刀を研いだことがあるそうです。そういう刀は、神社のご神体になっていたりするんですが、中には実戦に使ったという銘が入っているものもあったりして、これは刀の面白いところです。

今回は取材用で特別に、ダイジェストで紹介してもらっているが、実際の研ぎはもっと地道にゆっくりと進んでいく作業のようである。
とはいえ藤代さんも、友達に頼まれて外国人に研ぎの過程のあらましを説明する、なんてこともあるらしく、わりと手際よくダイジェストを説明してくれた。
そして研ぎはいよいよ最終工程に入り、藤代家秘伝の粉などが登場する!


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