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ひらめきの月曜日
 
荒ぶる男と待つ女の火祭り、お燈祭り


この山の頂上から駆け下りる。

和歌山県は新宮市で毎年2月6日に行われる、お燈祭り。
白装束を着て、荒縄巻いた男達が松明片手に山を駆け下りる、女人禁制のお祭りだ。そんな祭りに参加してきた。

尾張 由晃



実は地元の祭り

祭りといっても縁日は出ないし楽しい出し物もない。僕のイメージでは物々しい雰囲気の中、酔っ払いや暴れたい奴らが暴れる祭り。参加したことないのでこういう風に思っていた。 

なので、男だったらお燈に上れ(祭りに参加すること)。と言われても全く興味が沸かなかった。


分かりづらい写真で申し訳ない。鳥居の下を松明持った男が走り抜けています。


それが最近何かで写真を見て驚いた。凄い。

駆け抜ける上り子(参加者のこと、のぼりこと読む)の松明が連なって炎が一つの流れに見える。あれ、こんなに凄い祭りだったのか?よし、いっちょ参加してみようと思ったわけだ。

 

厳粛な祭りらしい


当日のご飯。餅にしらすにヨーグルト。


実家の母親にお願いして白装束を用意してもらった。その時に色々聞いてくれた事によると。

1.白い物しか食べちゃ駄目。
2.女性に触れちゃ駄目。
3.もちろん身につける物も白い物だけ。

結構厳粛なお祭りのようだ。地元だけど全く知らなかった。1と2は大丈夫だけど、問題は3だ。白いカメラなんて持ってない。これじゃ取材出来ないぞ。


せめて、てるてる坊主に見えて下さい。


どうにかしないと。カメラを白いタオルでくるんで縫って、肩掛け用に靴紐を通す。そして写真が撮れるように穴を開けた。よし、黒いカメラが白くなった!

って、これ盗撮の道具ぽくないか。妙な事になりそうだけれど背に腹は変えられない。

 

着替え完了


自分じゃ巻けないのでお店で巻いて貰う。
男結び。まだまだ元気な20代。

白装束を着込み、荒縄を腹にあてがい、ぎゅっときつく巻き込んでグイッと上に結びあげる。男結び完成じゃ!ウヘヘ。とおっさんが言っていたので意味を聞いたらそういう意味だった。


こんな感じ。


着せつけて貰って店の人に写真を撮って貰ったが、小さなカメラ も持ってきてよかったと本当に思った。白いカメラで撮って下さいと 言ったなら、始まる前から終わりそうだ。


完全装備したらこんな感じ。カメラが色々やばい。位置とか。


更に頭巾をかぶってカメラを装備してみた。この格好で祭りに参加して大丈夫だろうか。

 

上り子同士の一体感

着替えが終わっても、さぁ祭りだ。とはならない。山に登る前に辺りの神社にお参りしなければならないのだ。


同じ格好の人見つけて安心したよ。
すでに泥酔して倒れてる人も。

神社に向かっていると上り子達がどんどん合流し、増えてくる。 大きな声を出して騒いでいる人やすでに酔いつぶれて倒れている 人もいる。やっぱりガラ悪いなぁと思っていた。


頼むでぇと大声で。


上り子を少し避けながら歩いて行くとすでにお参りを済ませて次に向かう上り子とすれ違う。前を歩いていた人がすれ違いざまに松明をガッと打合わせて「頼むでぇ!」と声を掛け合っている。

知り合いかと思ったがすれ違う人みんなとやっている。そして僕も「頼むでぇ!」と声を掛けられ、松明を差し出される。 松明を打ち付け、すこし照れながら「頼むでぇ!」と返した。


僕も頼まれた。


これが上り子同士の挨拶のようだ。見知らぬ人でも同じ上り子、祭を盛り上げようという気持ちを表し、松明を打ち合わせる事で相手の力や意志を確認する。

見知らぬ人でも頼むと言われ、期待されると応えたい。この挨拶を繰り返す内に一歩引いて見ていた上り子達を仲間と思え、祭を盛り上げたいという気持ちが生まれてきた。

 

町を挙げての祭り


阿須賀(あすか)神社

その後も頼むでぇ!と繰り返しながら神社に到着。祭の成功と無事を祈る。


上り子が通った後はこんな感じ。
挨拶してたら紙がドンドンちぎれていく。

一件目のお参りを済ませて次へ向かう。道は知らなくても落ちた紙で分かる。民家の前も紙でいっぱい、迷惑だと思うが住人は頑張ってと笑顔で声を掛けてくれる。上り子はみんなに期待される。


世界遺産、速玉大社


二件目の速玉大社でもお参りし、ついに祭の舞台である神倉山に向かう。


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