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フェティッシュの火曜日
 
人肌で食べる


スイーツ親方曰く「バームクーヘンは600Wレンジで90秒」。親方の言う量がわからないので結局時間は勘で。

スイーツ親方として有名な芝田山親方が「バームクーヘンはレンジで温めて食べると焼きたての味になる」と最近テレビで言っていた。

試してみるとなるほどうまい。たまごの匂いが立ち上がって甘さも力強くなった。おもしろい。味覚は温度によってもこれほど変わるのか、と驚いた。

もう少し試してみたい。意外に食べない温度として「人肌」があるが、これはどうだろう?冷たい/熱いではない「人肌」温度で食べてみたら一体どんな味になるのか?

大北 栄人



人肌コーラ

コップを湯煎して温めた

ベタなものから

コーラといえば冷たいのが一番だけども、ホットコーラというものがあることをナニワ金融道の人のマンガで知った。

ホットコーラは注文すると「鍋が焦げ付くから断れゆうたやろ」と厨房で悪態つかれるような飲み物であるらしい。

よし、今後の人生で飲むことは自重しよう、と青木雄二に学んだ高校生の僕は今になって人肌のコーラを飲むことになる。


基本的に笑いが止まらない味だということがわかった

コーラは実はすっぱい

わはは、やさしー!と、口に入れた瞬間に笑いがとまらなかった。すごい、人肌おそるべし。コーラがもつ「スカッとさわやか」部分がまるでない。

言いかえれば角のとれたコーラだ。おじいちゃんでも飲めるコーラ、戦中派コーラの誕生だ。

温めるときにシュワシュワしてたので、やはりと思ったが炭酸がほぼゼロに。炭酸のなくなったコーラから出てきたのは酸味。「す、すっぱい!!」とコーラの意外な本質に気付かされた。

人肌コーラ ★★★(おもしろ★3つ)


人肌オレンジジュース

ジュースといえばオレンジジュース、となったのはいつどこからだろう?

「人肌=すっぱい」ではない、というが

コーラがすっぱいという意外な事実。もしかしてこれも人肌によるもの?原稿を書いてる今、温度と味覚の関係を検索してみると、「すっぱさは温度に関係なく不変」なんだそうだ。

ならばオレンジジュースはどうだ?


毛のモジャモジャ部分が食レポに不向きだということに気づいたので帽子に入れることにした

わきで絞ったオレンジジュース

わー、すっぱい。なんでやー、となってまた笑ってしまった。人肌は基本おもしろい。口当たりがやさしすぎる、というのがまず笑ってしまうベースにある。

冷たい方を飲んでみるとたしかにすっぱいのだけど、「冷たい」という刺激にかくれて姿をけしている。対して甘みは増してる気がする。人肌は味が全面に出るのだ。

ところでこの「人肌」という言葉にとらわれすぎると「おすもうさんがわきで絞ったオレンジジュース」というイメージがわいてしまったりする。それは大変なジュースだ。

人肌オレンジジュース ★★(おもしろ★2つ)


人肌牛乳

鉄板でうまいでしょ。人肌牛乳であって、牛肌牛乳ではないのが残念。

なんと甘みは人肌が一番なんだそうだ!

先程の検索で知った事実、甘みを一番感じるのは「人の体温」で、熱かったり冷たかったり、そこからはなれると甘みは薄れていくんだそうだ。

そんなわけでオレンジジュースも甘かった。そして、牛乳ももちろん…


ね、ねむい!

眠い!なんて味ははじめて

うわー、あんまーっ。と叫ぶほど甘い。糖分のような甘みでなくて、色んな角がとれてって甘くなった丸い甘さだった。

次に感じたのはねむさ。ホットミルクは安眠効果がある、との情報もあってか、ねむいのだ。角のとれた甘さでいい気分になってねむくてねむくて仕方ない。

舌の上で牛乳をころがしていると、みるみる幼児退行していってとてもはずかしい。

例えばバーで「アイスミルク」と注文するのは意外性のあるハードボイルドとして成立するが、「ミルク、人肌で」はもう一線超えている。言ってみれば変態の味だ。

人肌牛乳 ★★★★★(おもしろ★5つ)


人肌ポカリスウェット

スウェットは英語で「汗」というのは有名な話

人肌ポカリはもう汗なんじゃないか!?

体への浸透率がもっとも高い、というイメージのあるポカリスウェット。たしかにしょっぱめの味がみょうに汗っぽく感じる。

あのポカリが人肌だったら、もう汗なんじゃないか?そう思ってためしてみたが、結果は…?


手にのせてなめてみるとより汗味に

どっこいグレープフルーツ味

おお、汗だ。いや、汗か?第一汗をコップに集めて飲んだことがないのでわからない。ためしに手の上にたらしてみて、なめてみると…おお、甘い汗、しかしこれはグレープフルーツ!

たしかに汗っぽくもあるが、ポカリってグレープフルーツ味に近いのだ、とみょうに感心した。(これ体感の味なので元の味つけがちがってたらすいません)

ポカリって機能をもとめて飲むものだと思っていたが、人肌で味が強くなって「つい味わっちゃった」というのが不本意でいい。

人肌ポカリ ★★★★(おもしろ★4つ)


人肌ドロリッチ

コーヒーゼリーをストローでじゅるじゅる吸うのがドロリッチ

食感がたのしい飲み物は?

コーヒーゼリーをでゅるでゅる吸うのがドロリッチ。素の状態ですでにおもしろい飲みものが、人肌でどう変わるのか?

もちろん甘みは増し増しだったが、肝心の食感はどうか。


ぬ、ぬるりっち!

ぬるりっち、ゆるりっち、さらりっち

ゆる〜、さら〜、ですわ。デュルデュルデュルデュル〜が、するするするする〜ですわ。

とにかくゼリー分がゆるくなって、全然ドロドロしてない。かたいのは噛めないからイヤ!という禁固形物ハードコアのおじいちゃんにはぜひこのゆるりっちを。

若者全ブーイング、おじいちゃん大喝采のコロンブスの卵的飲みもに誕生。台なし、であるがゆえのパラダイムシフトにうっかり何か発明しそうです。竹の繊維でできた電球とか。普通にいいものを。

人肌ドロリッチ ★★★★(おもしろ★4つ)

 


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