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ひらめきの月曜日
 
ブッシュパイロットの仕留めたエゾシカの味

そもそもブッシュパイロットって何?

アラスカに渡った湯口さんはブッシュパイロットとして各地を飛ぶことになります。そもそもブッシュパイロットとは何をやる人なのでしょう。


エゾシカを食べる会は湯口さんの活動報告会でもありました。所有している飛行機や、飛行したルートなどをスライドで説明してくれました。


湯口さんの著書の記述によると、ブッシュパイロットに関しては厳密な定義はないそうです。比較的整備された砂利の滑走路に定期便を飛ばしているパイロットを指したり、飛行機しかたどり着けない荒野に着陸して登山やハンティングを楽しむ人を指したり、プライベートの飛行機でブッシュランディング(飛行場では無い場所への着陸)を楽しむ人を指したりもする。


こんな所に着陸する。一応これでも飛行場なのだとか。ただの原っぱにしか見えない。(写真提供:湯口公)


湯口さんはこの中ならば後の2つ。最初は物資を運んで収入を得るような話しもあったのだとか。しかし、それでは自衛隊の延長線にしかならない。アラスカ各地をレンタルセスナで飛んでいるうちに、食べるため、仕事として飛ぶのは止めよう。職業パイロットよりも冒険パイロットなろうと思ったそうです。


そう思ってそうなれるものでも無いと思うが。しかし、こんな所で酒でものんだらさぞ楽しいだろう。(写真提供:湯口公)


ところが、レンタルのセスナでは着陸できる場所に制限があって自由には飛べない。自由に飛ぶ為には自分の飛行機を入手しなくてはならないと、湯口さんは中古の飛行機を購入しました。それがこちら。


アビアット社製ハスキーA-1。定員2名。その大きなタイヤでどんな場所にも着陸可能。中古といえども値段は高級外車並みかそれ以上。それでも中古としてはかなり安いほうだとか。(Photo by Jean Nakashima)

 

景色も人も素晴らしい

飛行機を手に入れた湯口さんはアラスカ中を飛びまわります。アンカレッジから北極海までを往復縦断(約2500km)を単独飛行したり、ネイティブの村々を100以上飛び回ったり。


北極海に突き出すポイントバローと呼ばれる砂嘴(さし)。往復縦断の北極海側目的地。(写真提供:湯口公)

アラスカは蛇行した川が多いそうです。(写真提供:湯口公)


馬場「アラスカに来て良かったことは何でしたか?」
湯口「やはりアラスカ景色の綺麗さ。戦闘機から見る景色とはまた違う。氷河がとにかく綺麗で、海も、ツンドラも、川もある。写真なんかやっていなかったのにやり始めましたね。」


アラスカの村。道が繋がってなく、滑走路しかないところも多いらしい。(写真提供:湯口公)

村の子供たち。アメリカ人でも訪れる事が少ないそうで、日本人はかなり珍しいのかも。(写真提供:湯口公)


湯口「エスキモーとの交流が楽しかった。アメリカ人でも村に趣味で降りたりすることは少ないです。村ではよくしてくれるし、エスキモーはとてもフレンドリー。家の中を見せてくれたり、猟に連れて行ってくれたりすることもあります。」


白夜でなかなか沈まぬ太陽。飛行機からオーロラを見ることも出来るそうです。アラスカならでは。(写真提供:湯口公)


実際のところ、飛行機を飛ばすには燃料代も保険代も高くつくし、冬はとにかく寒い。氷河の近づく危険や、着陸に失敗して荒野に取り残されるリスクなども多大にあるそうです。しかし、それもまとめて楽しさのうちと湯口さんは言っていました。

夢を実行に移すと、その進む道は何もかもが平坦ではありません。その荒い道に不平不満を言う人か。それとも乗り越えていくことに楽しさを感じる人か。湯口さんは確実に後者。夢を叶える重要な要素でしょう。

続いては、湯口さんの最近の活動と、今後について聞いてみたいと思います。


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