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フェティッシュの火曜日
 
人んちの歯ブラシコップが見てみたい


こういうやつです

「歯ブラシコップ」とは歯磨きをした後に口を濯ぐためのコップだ。大体どの家庭にも一つはあると思う。

その歯ブラシコップ、使用頻度が高い割には地味な存在だ。普段から歯ブラシコップのことを考えているやつなんていないだろう。こいつに注目してたみたら、持ち主も意識していないようなこだわりが見えるんじゃないだろうか。

斎藤 充博



歯ブラシコップを見せてもらうには

人んちの歯ブラシコップを見せてもらうにはどうしたら良いか。歯ブラシコップはふつう洗面所においてある。撮影させてもらうには、個人の自宅の洗面所まで入るほどの信頼関係が必要だ。これが難しい。

実は、この企画を思いついてから半年くらい経っている。いろんな人に「歯ブラシコップを撮影させて欲しい」と言っては見たものの、断られるケースが大半だった。

結局のところ、こういう手段をとった。「歯ブラシコップの写真を先方に撮影してもらう」→「送ってもらった画像を見ながら電話で話を聴く」これでなんとか、8人分の歯ブラシコップが集った。このあたりの距離感のとり方にはだいぶ苦労したので、書き留めておく。もしも歯ブラシコップの写真を集めてみたい!という方がいたら、参考にしてくれれば良いと思う(いないと思うけれど)。

それでは、そんな苦労の中集めてきた歯ブラシコップの写真が出てきます。どうぞ。

 

Yさん(女性/26歳/主婦)


あまりみないステンレスタイプ

・買ったところ:わからない
・どのくらい使っているか:3年くらい


Yさんは、僕の記事「経理職の裏話を聴いてきました」に出てきたYさんの奥さんだ。デイリーに対して二人とも協力的に接してくれて、まったく僕にとっては理想の夫婦だ。この人も、写真を送ってもらって、電話で話を聴いたパターンだ。

---この歯ブラシコップはいつから使っていますか?
「3年ぐらい前から使ってます。結婚する時に、私の実家で余っていたものを持ってきました」

---この歯ブラシコップについてどう思いますか?
「過不足なしですね」
電話越しに「カブソクナシデスネ」と言われて一瞬なんのことかわからなくなる。それは正に僕自身も、歯ブラシコップに「過不足」を考えたことがないからだろう。

---それってとくに何とも思っていないってこと?
「…そういうわけじゃないですけれど…」
「…もっとかわいいのが欲しい気もしますね…」
「…このコップ、金属製で固くて、男性的という気もしますね…」
「…マッチョ!マッチョなんじゃないでしょうか。歯ブラシコップ界の中では!」


マッチョ?

マッチョとは一体なんだろう?
僕も電話をしているときは「ああ、なるほど」と相づちを打ったのだが、改めて考えるとよくわからない。ちょっと無理にしゃべらせてしまったのかもしれない。歯ブラシコップは、なかなか他のものに例えがたい素材である。


引きで見ると、より一層マッチョに見えない

 

Iさん(男性/28歳/営業)


またずいぶんと真っ白けな写真になってしまった

・買ったところ:忘れた
・どのくらい使っているか:5年くらい


Iさんは生命保険の会社で営業をしている。毎日かなりの激務で疲れているようだ。Iさん宅には実際にお邪魔してもらって、撮影したのだが、終始言葉少なだった。

---この歯ブラシコップはどこで買いましたか?
「忘れた」

---この歯ブラシコップは気に入っていますか?
「そういうことは考えたことがないね」

なんというか、洗面所の色合いに合わせて、Iさんの反応も「真っ白」だ。「歯ブラシコップを赤とかに変えてみたら元気が出るかもしれませんよ」なんて言ってみれば良かったかな、と原稿を書いている今思っている。


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