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はっけんの水曜日
 
日本にもあった、ピラミッド

奈良県奈良市のピラミッド

というワケで、奈良にまでやってきた。目的のピラミッドは、春日大社の南側に位置している。生憎の天気で残念だが、気を取り直して春日大社まで歩いて行く。


私が写真を撮り始めたら、鹿は離れた
相変わらずでかい五重塔の、興福寺を通り抜ける

春日大社を横切って、南へ
また花とか撮ってるし

春日大社の鳥居を通り過ぎて南下していくと、昔ながらの建物が密集する味のあるエリアに出る。今回の目的地、ピラミッド状遺跡の「頭塔(ずとう)」は、その一角にある。


古い家屋が立ち並ぶ道を行くと
このような門がある。これが頭塔の入口

堺の土塔は公園として整備されており、誰でも自由に見学することができたが、こちらの頭塔は「史跡頭塔保存顕彰会」によって管理されており、入るには拝観料200円を支払って鍵を開けてもらう必要がある。


この鍵がまたレトロで雰囲気を盛り上げる
そして今、開かれる扉

石段を登っていったその丘の上が頭塔

扉をくぐると目の前には石段が。それを上り詰めたところに、奈良のピラミッドは鎮座している。こんもりと木々が茂った丘の裏側に回り込むと、いよいよその威容が姿を現す。


段状に石が積まれた、奈良の頭塔

おぉ、これはなかなかピラミッドっぽい。規模は一辺が約30メートルと堺の土塔より小さいものの、高さは10メートルと土塔より高い。土塔は傾斜が緩やか過ぎるがこちらはバランス良く、よりピラミッドらしさが出ていると思う。

石積みというのも、より遺跡っぽい。こちらも土塔と同じように、発掘調査の結果に基いて復元されたものであるが、南面は遺構の損傷が激しかった為か、残念ながら土のままだ。南面からも石積みが発見されていれば、全面が復元できて完全なピラミッド状の遺跡になったのだろうに。


七段の石積と、そこに配置された石仏が発掘されている
発掘時はこんな感じだったらしい

この頭塔が作られたのも、堺の土塔と同じ奈良時代。東大寺の実忠(じっちゅう)という僧侶が作ったものであると伝わる。

その用途も土塔と同じ。土と石で作られた、七重塔というわけだ。さらにこちらの頭塔からは、規則正しく配置された石仏が多数発見されており、土塔よりも仏教の遺跡ということがはっきり分かる。


瓦の庇がある部分に石仏がはめられている
そして、天辺には五輪塔(仏塔の一種)も見える

石仏は薄いものも多いが、肉眼ではっきり見えるものも
発見された石仏のうち、22基が重要文化財に指定されている

瓦で覆われた土塔も面白いが、石が積まれ石仏が配されたこちらの頭塔もまた面白い。

土塔と頭塔、その建造目的も同じで、年代もさほど変わらず、地理的にもそれほど離れていないというのに、随分と形が異なっている。そんな所も興味深い。

さぁ、最後は奈良から一気に飛んで岡山県。ピラミッド状遺跡を探して山へと入ります。


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