何回なるほどと言ったことだろうか
しかしこの寺、本当に内部が広い。普通の寺ならガラーンと、悠々と2階分使っているのに対し、こちらはその中に4階分、部屋数23、階段29個が、詰まっているのだ。
こんな古いお寺(建ってから360年以上!)に、そんな構造で大丈夫なのだろうか。
この梁には、元々曲がった木を利用している。北陸の冬は屋根に雪が重く積もるが、真っ直ぐな梁だと折れてしまう。そのため、建物がつぶれないように曲がった木で重みを分散しているのだ。寺が建ってから360年、びくともしない。ちなみにこの造りは、五箇山や白川郷の合掌造りでも見られるそうだ。
このあたりの説明をテープ起こしで再度聞いていると、私がしきりに感心しているのがわかる。「はっあー・・・ほあー」くらいしか言ってなくてお恥ずかしい。
ではまた、探検に戻りましょう。
最初の賽銭箱に続き、これも落とし穴である。板をめくると階段が現れ、これが下男部屋に続いている。
当時は写真のような明かりは当然なく、暗いこの場所は落とし穴として使えた。出入り口から近いところに落とし穴を設け、「もうこの先何があるかわからない…」という、心理的効果を狙ったものだという。こ、怖い…。
しかも、落ちてもたいした高さではないのだが、下では下男たちが槍を持って待っている…と、いうことは…こ、こ、怖い…。
怖いのでお茶室でも眺めて、風流を感じていただこう。
最後にまた本領発揮
締めはやはり忍者寺らしい部屋をお見せしたい。
階段の中途から、柵に厳重に囲われた部屋を首を伸ばして覗くと、窓のない圧迫感あふれた部屋が目に入る。「この部屋には4枚の畳。4=死、ということで、ある意味を持つ部屋です…。」
ここは人呼んで「切腹の間」。一度入ると中からは開かない仕組みで、戦いに敗れた武士が切腹して火を放つための部屋ではないかと言われている、そうだ。
ほら、中から開いた扉も、しっくいか何かの剥がれた跡が生々しく、中に閉じこもった不運な人々がかきむしった跡のように見えてくるだろう・・・。
だが安心して欲しい、実際にはここで切腹した者はいないのだ。しっくいの剥がれた跡は、単に剥がれ落ちたものなのだ。
「忍者寺」と聞いて、アトラクション尽くしの施設を何となくイメージしていたが、いい意味で裏切られた格好だ。こんな面白い場所だったとは、本当に来てよかった。地元の人は意外と来てないらしいが勿体ないですぞ。
しかし行楽シーズン、修学旅行シーズンはどどどっと混むようだ。ハイシーズンは数時間待ちだという。よって行くときは以下の事項にご注意を!
■拝観は要予約 ・9:00〜16:30(冬季は16:00)の30分毎 ・法要日はお休み ・拝観所要時間は40分 ■幼児・未就学児は拝観不可です ■駐車場はないので、近くの極楽寺に(有料)
正久山 妙立寺 https://www.myouryuji.or.jp/