小便小僧タウン・羽生
最後に紹介するのは埼玉県羽生(はにゅう)市の小便小僧だ。羽生市は、元祖小便小僧の国・ベルギーのデュルビュイという街と姉妹都市提携を結んでいるらしい。オフィシャル感が高い小便小僧ということになる。
デュルビュイ市との友好の証として立てられたとパネルに書いてあるこの小僧。特徴的なのは、背中を向き合わせて2体が立っているということ。
おそらく同じ型から作られたと思われるこの2体。比較しながら見てみよう。
表情も少し違って見える。駅側の小僧は小便を放ち続けることにただ虚ろに打ちひしがれているようであるのに対して、道側の小僧は自分の運命を苦悩するような表情が読み取れる。
一線を越えたのが駅側、まだ人間的な苦しみがあるのが道側といったところだろうか。
そして羽生はさすが姉妹都市ということなのか、駅から少々東側に進んだところにもう一体の小僧がいる。
先に登場した浜町公園の小僧と同じく、道に面したタイプ。しかし、浜町公園のはちゃんと放水機能があったのに対して、こちらはポーズのみで機能なし。
放水することなき小便小僧。それは、ただの小僧なのかもしれない。どんな表情で道行く人を見つめているのだろうか。
光の具合でうまく撮れなかったのでフラッシュを焚いたところ、見えてきたのはこれまでになく恐ろしい小僧。一体小僧に何があったのだろうか。
風雨によるものなのか、はっきりとはわからなかったが、愛らしさを脱ぎ捨てた叫びがそこにある。
全裸で小水を放ち続ける像、小便小僧。同じ状況の大人の像があったら、それが公共の場に受け入れられることはないだろう。子供という免罪符を手に、彼らは小さな滝を放ち続ける。
基本的には愛らしいでいいと思う。ただ、よくよく観察といろんなものを背負っているように見えて、趣深いものがありました。