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フェティッシュの火曜日
 
ほんとうに「サルも木から落ちる」のか

3日目は見事に晴れた

サル、落ちろ

サルを見始めてから3日目になる。早く木に上っているサルを見たい。そして、できれば落ちて欲しい。

今回のテーマは「ほんとうにサルが木から落ちるのか」だ。落ちなくてもそれはそれで一つの意外な事実が明らかになった、ということになる。しかし、僕の気持は完全に「サル、落ちろ」の方向に動いていた。

多分この記事を読んでいる読者の方々も、「できれば落ちているところを見たいなぁ」と思っているんじゃないでしょうか。これが、人として自然な感情の流れだと思う。

天気がいいので、木の上で大いに活動するサルたち。落ちろ、落ちろ

 

サルが木から落ちた!


来ました

サルを見始めて1時間あまり。それは意外と早く来た。

いや、もう3日目なわけだから、充分な時間を要した、と言うべきか。

落ちた!

こいつもこの後、落ちた
ついに待ちわびた瞬間が

やった。3日費やした意味がここにあった。このあと、1時間で3回サルが落ちているところを見れた(写真に撮れたのは上の2回だけだけれど)「サルも木から落ちる」どころの話じゃない。「サルは木からよく落ちる」のだ。

ことわざの意味もこう書き変わる。「すごく上手な人でも、じっと監視していれば、けっこう失敗している」だ。サルは木から落ちてたあとも、しれっとしているのでわかりにくいが、決定的な瞬間をものにできた。

 

動画撮影係の登場

ただ、この写真だけでは、全国のことわざ事典が書きかわるのには、ちょっと弱いだろう。動画でサルが落ちる様をくっきり捉えてやりたい。しかし、僕はビデオカメラを持っていない。どうするか。

実はこんなこともあろうかと、映像の専門学校に通っている、ライターの小柳君に撮影係をお願いしていた。しばらくしたら来るはずだ。


ほどなくして来てくれた小柳君。頼もしい
頼もしいビデオカメラ

サルが落ちた場所を指し示すが、小柳君は半信半疑といった面持ち

 

落ちなくなる


惜しいシーンはいくつかあった

しかし、動画の撮影をし始めてからは、さっぱり木からサルが落ちない。たまたまタイミングよく僕が落ちることを見れた、という話なのか。それともサルがこの監視の視線に気づいたか。


動画撮影を開始して、約2時間が経っただろうか。でも落ちない。ふと小柳君を見ると、彼は発情期のサルがいちゃついているところを撮影していた。


「つい目がいっちゃいますよね」たしかに僕もつい見てしまっていたので、文句は言えない
そんなことをやっている間にタイムアップ

結局のところ、「サルが木から落ちる」動画は撮れず。後日、送られてきた動画を見ると、その時の気まずい会話だけが鮮度を保ったまま記録されていたのだった。


一応上げますが、特段観る必要のない動画です

1時間に3回サルが落ちるのを見たときは「サルは木からよく落ちる」なんて思ってしまったが、やはり珍しいことのようだ。

なので結局のところ、従来通り「サルも木から落ちる」という言い方はまったく正しい。

きっと、昔の人も僕たちのように、サルをずっと見ていたに違いない。そう思うと味わい深い。本当に体験した物でないとわからないワビサビをこのことわざに感じるようになりました。

尾崎放哉の自由律句ぽいな、とちょっと思った。「咳をしても一人」「墓の裏に廻る」「サルも木から落ちる」

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