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はっけんの水曜日
 
自分で料理できる居酒屋


こんな図ですが居酒屋レポートです。

「自分で料理できる店がある。」この頃、そんな噂が耳に入ってくるようになった。

店に用意してある好きな食材を買って、厨房で自分で料理を作ることのできる居酒屋らしい。

そんなシステムきいたことない。一体どんな店なのか。料理好き達とともに行ってきた。

ほそいあや



中野「清貧」

店の名は「清貧(せいひん)」といい、地下鉄の新中野駅から徒歩5分にある。
駅前といっても、目立つところに居酒屋は見当たらないこの場所で、唯一目に付くのがこの店だった。


通りがかって入った人は、ここで急に料理をすることになる。
…と思っていたら本当に「ここどういう店なんですか?え、自分で料理するんですか?」というお客さんが来ていた。

店内は「清貧」という名のイメージよりおしゃれで広々していた。

広い。

 

清貧のおやじ

初めての人はまず店主の話をよく聞くことから始まる。

そして、店主の事は「おやじ」と呼ぶのが第一のルール。


店のシステムを説明するおやじ。

 

酒がやすい

びっくりするのがお酒の安さ。厨房の人経費を減らすことでこの価格が実現するらしい。


中ジョッキ199円、超特大ジョッキ(1リットル)499円。
缶ビールもコンビニで買うのと大差ない。
サワーは焼酎と割りものを別で買うシステム。「ビールだと高くつくからこっちがオススメ」とのこと。

ウィルキンソンのジンジャーエールが90円とは驚きだった。お客自身で料理する事にでそんなに安くなっちゃっていいんだろうかと心配になるくらいだ。

珍しい日本酒や焼酎も揃っていて、こちらはわりとふつうの値段です。
学校のように集まって説明をきいてから、一人ずつおやじにお酒を出してもらう。
ビール1リットル、デカンタの眞露(10杯分)。割りものでは変わったところでガラナもあった(ガラナ割りは結構いけました)。
缶詰めやレトルト食品も揃っているので面倒くさい人はすぐ飲めます。
一人一枚このカードを渡されるので、ラジオ体操のように首から下げる。
そこに、買ったお酒や食材についている値札を貼っていく。

店内には既製品のつまみや乾きものも沢山売っている。

料理はしたくないけれど作ったものが食べたいという人にはおやじが作ってくれる。ただ、「普通の店とおなじくらいの値段になるからおすすめはしない」との事だった。

そんなおやじに少し話をきいてみた。

 

おやじインタビュー

--なかなかないスタイルのお店ですが、始めたきっかけは何ですか?

「50になったらキャンプ場をやろうと思ってて、そういう方向性の店にしようと思ったんだよね。」

--たしかにキャンプ場みたいですね。そういう目的があるとしても、こんなに斬新なお店を始めるっていうのはなかなかない発想だと思うんですが。

「僕は料理人ではないから他の店にはかなわないので、料理人でなくてもできる店って何だろうと考えたらこうなった。『自分でつくること』でお客さんが楽しめて、遊び場になってくれれば一石二鳥だと思って。」

--お酒、安いですよね。あとずいぶんレアなお酒も揃ってますが。

「僕はお酒やめたんだ。若いときに飲んでたけど、あんまイミないと思って…。お酒が安いのはね、他の店高いなーと思って。レアな酒は、面白そうだから置いてるよ。」


「みんなが最低限のお金を使って、遊び場的な存在になればいいよ」
ボトルキープならぬカセットボンベのキープ。

なるほど。話を聞くとおやじの遊び心の都合で作られている店のようだが、それがお客さんへの還元になっているのだ。
確かにお客さんが勝手に料理してくれれば楽だ。そしてお客側とすれば、「料理のできる店」という解釈で面白がるわけだ(もちろんお店はそれなりの工夫や注意が必要になってくるけど)。


料理をしよう

おやじの説明をきき、お酒も注文し、いよいよ厨房に入る。ライター数人で厨房に入ると、一気にキャンプ場っぽい雰囲気になった。


調理実習を思い出すなあ。

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