いつのまにか体の一部に切り傷をつけられるという現象、「鎌鼬(かまいたち)」。自然現象とも言われているし、妖怪伝説が残っている地方も多いようだ。
とは言っても、実際にそんな目に遭った人はごく少数ではないだろうか。ゆえに実態もはっきり解明されていないというのが現実だろう。しかし今回、かまいたちの目撃情報が集まる場所の情報を入手した。
早速現地に赴いて、その実態を調査した。意外な事実が発覚したのでレポートをお届けしよう。
(小野法師丸)
かまいたちは実在するのか?
かまいたちを目撃した人が続出しているのは、某県某所の川べり。しかし、取材当日はあくまで穏やかな春の日。かまいたちが起きるような気配はまるでない。
よく見ると、茶色い物体がもぞもぞしているのがわかる。大きさは人の背丈と同じくらいだろうか。ちょっと恐いが、近寄っていってみよう。
…しまった、気付かれたらしい!向こうから近づいてくるぞ!
全体的に茶色で、よどんだたたずまい。攻撃されるかと警戒していたが、こちらに気がつくとフレンドリーに手を挙げながらやってきた。もしかしたらこれが鋭く人を傷つける「かまいたち」なのだろうか。だとしたら油断はならない。
──もしかして、かまいたちさんですか? かま「そうだけど。」
あっさりと登場したかまいたち。質問に答えたことからしても、単なる自然現象ではなく、実体があるもののようだ。
──妖怪とか自然現象とか言われていますが、実際のところ、なんなんですか? かま「見ての通り、普通に動物だよ。」
実は動物だったかまいたち。それにしても、もっと鋭くて獰猛なイメージがあるのだが、見た目としてはどうにももっさりしている感が否めない。
──かまいたちと言うと、もっと恐そうなイメージがあったんですが…。 かま「まあ、若い頃は野菜盗んだりもしたけどね。最近はまったりしてることが多いよ。シュークリーム、一緒に食べない?」
そう言ってシュークリームを勧めてくれたかまいたちさん。こちらを攻撃してくるようなそぶりは全く見せない。安心していいのだろうか。
かま「魚ばっかりじゃ、さすがに飽きちゃって。そこの店のシュークリームがうまくってさあ。だからバイトして時々買いに行くんだよ。」 ──どんなバイトしてるんですか? かま「まあ、草刈りとかが多いよね。植木の剪定もできるよ。」
──何かひとつ、かまいたちらしい技を見せてもらえませんか? かま「それが、今日はうっかり鎌を忘れてきちゃって…。これじゃただのイタチだね、わっはっは!」
──泳ぎは得意? かま「いや。魚取るとき以外は普通に橋渡ってる。」 ──好きなタイプは? かま「優香ちゃんだね。」
どんな質問にもフランクに答えてくれたかまいたちさん。人間に危害を加えていたのはおじいちゃんの代までで、今いるかまいたちはみんな穏やかとのこと。もし見かけることがあったら、気軽に話しかけてもよさそうだ。
これまで謎に包まれていたかまいたち。今回明らかになったことをきっかけに、「これからはメディアにも積極的に露出していきたい」と意気込みを話してくれた。
「電車の中でしっぽを踏まないで」とのことも話していたかまいたちさん。人間と野生動物たちとの共存の鍵は、そんなところにもありそうだ。