亀の子タワシは、ココナッツヤシというヤシの木の繊維を利用して作られているのだが、この繊維はタワシになってもまだ生きている、というのを知っているだろうか。 今回はぼくが、この生きているヤシの繊維から、ヤシの木を育てる方法を紹介したい。
(加藤まさゆき)
タワシの繊維は生きている
再生のコツは何か
とはいえ、タワシを水場で使っていて、「芽が出てきました」という話は聞かない。発芽させるにはコツがあるのだ。 1点目は塩水につけること。海水と同じ3%食塩水がいい。 もう一つは、そこにサンゴ砂を敷くこと。 南国の白い砂浜は、サンゴの死骸が砕けたものだが、このカルシウム分がヤシの発芽に必要なのだ。要は、ヤシが野生で生まれ育つ環境を丁寧に準備してやれば、タワシは自然と発芽する。 さあ、やってみよう。
これで仕込みはOK。あとは日当たりの居場所に置いておく。10日ぐらいすると、きれいに芽が生えてくる。
どうですか、この驚くばかりの生命力! このあと丁寧に水換えをしながら育てると、まずは大きく葉が茂ってくる。
ここまで来たら間引きを行い、1つのタワシから1本の木だけが育つようにする。この頃には根も張り始めているので、もう土に植え替えても大丈夫だ。あとは放っておいてもぐんぐん大きくなる。 参考までに、去年の夏頃から僕が育てているヤシの木タワシの姿を見せたいと思う。
スーパーのウズラや、生け花の金の枝など、いろんな非生物から育つ生物を見つけ出してきた僕だが、また新たに隠された命の息吹を見つけ出すことができた。何でも聞く話によれば、育て方次第で亀の子に育つこともあるらしいので、次はその育て方を研究していきたい。