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ひらめきの月曜日
 
キュウスケケーキって何だ
キュウスケ? ケーキ?

いつものスーパーが改装した。かなりお菓子売り場が広くなり、それまで見かけなかった商品がいろいろと入荷している。

そこで見つけたのが「キュウスケケーキ」だった。

なんだこれ?

(text by 古賀及子



棒状のスポンジケーキ詰め合わせ

正直、かなり異質だ。

周りは派手にきれいにプリントされた袋に詰まったお菓子ばかり。商品名もばーんと書いてあって分かりやすい。

そんな中で、いかにも袋詰めっぱなしという風情で置いてあるのだ。

棒状のスポンジケーキのようなものが詰まっている。中には棒が半分のものも入っていたり、目方だけあわせて詰めたぜ! というザックリした感じ。


右の方が多いような? (と思ったが、よく見たらだいたい同じくらい入ってた)

そもそものスポンジケーキ自体も、1本がかなり大きくて、ちょっと見たことがない形だ。

あとで知人友人に話したところ、わりと「見たことがある」という人も多かったので、実はそんなに珍しいものではないようなのだが、私には新鮮だった。

さらに、名前だ。

裏を見ると、原材料名や発売元などと一緒に品名も書いてあった。


キュウスケ ケーキ」キュウスケ部分がやや太字で大きいフォントなのもイカす

「キュウスケ、ケーキ」

思わず声に出して読んだがいたしかたあるまい。声に出して読みたい日本語だ。

スポンジケーキに対して「キュウスケ」とはどういうことだろう。

だって、「キュウスケ」と聞いて私が思い浮かべたのはカッパのキャラクターがキュウリをくわえて意気揚々と歩く姿だぞ。

みなさんは何を思い浮かべたでしょう。少なくともおいしそうなスポンジケーキの姿は思い浮かべなかったと思う。

重ね重ね魅力的だ

・まるで質素なパッケージ
・スポンジケーキがざっくばらんに詰め合わせ
・形もふぞろい
・なぞの名前、しかも「キュウスケ」
・やけに安い(248円)

この日、お菓子を買う予定はなかったのだが、ずらっとならぶこの要素はどれも魅力的じゃないか。値段の安さも手伝って、迷わず買った。

訳アリ品というのが流行って久しいが、パッケージの雰囲気からしてやはりこれもそういう品なんだろうか。

スーパーに並ぶほかのお菓子はどれも正規商品だったので浮いていたが、「割れせんべい」みたいなものだと思えば合点もいく。

果たして、その予想は当たっていたのでした。


改めて大きさを携帯電話と松ぼっくりでご確認ください ブロックのように大量に積んである感じ

キュウスケは“久助”

調べると、「キュウスケ」の意味はすぐに判明した。

いわゆる訳アリ品のことを主に米菓業界で“久助(キュウスケ)”と呼ぶそうなのだ。ウィキペディアには諸説あるという語源も書いてあった。おお。

このお菓子はつまり、スポンジケーキの切れ端だよ、ということなのだろう。

それにしても、業界用語であろう「キュウスケ」をそのまま商品名に持ってくるという適当さがまたすばらしく心をつかむじゃないか。


一見カステラのようだが しっとりさはまったくない、ポジティブなパサパサ感

和菓子屋さんの洋菓子みたいな味です

食べてみると、味もまた独特だった。

カステラみたいな感じかな? と思っていたのだが、しっとりとはもろに逆をいったパサパサ感で、じゃあスポンジケーキかというと、フンワリともまったく違うバフっとした食感なのだ。

でも、これはこれでおいしい! じんわり甘くて、ちょっとシナモンのかおりがする。

そうだ、ブッセの皮の部分に似てる。和菓子屋さんが焼いたスポンジケーキという感じだろうか。


こうするとチーズケーキみたいだけど、味は独特

何の切れ端なんだろう?

こうなると、気になるのは果たして何の切れ端か、といことだ。味や食感はブッセの皮の部分のようだが、こんなに大きな切れ端が出るブッセってそうないだろう。

思い切って製造メーカーである愛知県のほてい製菓さんの窓口に電話してみた。すると。

「もともとは、スポンジケーキをチョココーティングして売っていたお菓子の、スポンジ部分の切れ端だったんですよ」

というお答えだった。なるほど! コーティングして売るはずのスポンジだったのか。


服を着せられるはずが全裸で出荷された感じか

ただこれも発売当初がそうだっただけであって、現在は違う商品の切れ端だとか。何かというと、「できれば企業秘密に…」ということであった。

おお、これぞキュウスケ(訳あり品)。仕方ない。

以前は“キュウスケカステラ”でした

商品自体はかなり昔から扱っているそうで、もしかしたら見たことのある方もいるかもしれない。メーカーさんによると

「以前は“キュウスケカステラ”として販売していたので、そちらの名前をご存知の方もいるかもしれませんね」

とのことだった。食感がカステラとはちょっと違うため、名前を“キュウスケケーキ”に変更したということだった。お答え、ありがとうございました。

“キュウスケケーキ”にせよ“キュウスケカステラ”にせよ、語感のアンバランスさは相変わらずでステキですな。


ケーキというからにはショートケーキにしてみた(生クリームをうっかり買い忘れたため、ヨーグルトクリームで)

まさかここまでいかにもケーキになるとは思わず 朝の6時に作ってしまったた。ボワボワの頭とはれぼったい目で静かに食べました

開放されたスポンジケーキだ

いっぱい入っていたので、その後トーストしてみたり(外がカリッとなかはモサっとしてまたおいしい。シナモンのかおりはやや飛んだ)、水を振ってラップしてレンジにかけたり(しっとりのスポンジケーキになった!)いろいろと楽しんだ。

そういえば、こんなに自由に好きにスポンジケーキをアレンジして食べたことって今までなかった。たいてい、ケーキだとかカステラだとか、完成された状態で食べていた。

甘いものがすきな人には、自分で自由にアレンジできるこのケーキはたまらないかもしれないです。

ほてい製菓さんによると、大手スーパーなどに卸しているそうです。ただ、お店で「キュウスケケーキありますか?」って聞いたら、店員さんはきっとキュウリとか河童を思い浮かべると思うなあ。

水を含ませてレンチン。見た目もしっとりした!

アイスかけたり! もうやりたい放題だ

 
 

 

 
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