一見ユートピア、隅田川
続いては隅田川。下町だからかどうかわからないが、上野公園でも見られたような各世代の同世代グループに加え、親子三代で来ているような来客も多かった。
こちらは歩きながら桜を見るタイプのスポット
座っての宴会ができないぶん、人の密集度が低く、心に余裕を持って花を眺めることができる。
天気も薄曇りだったのがだいぶ晴れてきました
桜と一緒にスカイツリーも見える
花を見る心にも余裕が生まれる。見上げれば桜、見下ろせば小さな花たち、という具合に、両者うまい具合に共演しているように思えた。
前ページにも登場したムラサキハナナ。ここでは生き生きしています
おなじみオオイヌノフグリ
ナズナも手を大きく広げてのびのび生えてます
そんな小さな花たちにも、ちゃんと目を向けてくれる人がいる
なんともハートウォーミングな光景だ。花見とは、本来こうあるべきではないか。
花があり、そしてうまいものもある
しかし、全ての花たちがこの平和な光景を満喫できていたわけではない。上の写真の出店、これが曲者だったのだ。
花の角度も、なんとなくうつむいているように見える
お花見の光と陰
ツバキ(ツバキ科 ツバキ属)
不遇の花は、テントの裏側にいた。5本ほど植えられていた、ツバキたちだ。
うららかな午後の日差しを、出店のテントが容赦なく遮る。残されたのは薄暗く、冷たい世界。
ふだんは陽あたりもよく、川の向こう岸が見渡せるいいロケーションなのだろう。しかし今日に限っては、そんな風景は見る影もない。楽しいお花見の、負の一面を見た。
何本かしか植えられていないのに、その全てをテントが覆ってしまっている
ついには力尽きる者も…
ツバキ視点で。完全に封鎖されている
公園 〜迫り来る危機〜
隅田川沿いをしばらく歩いてみたが、不遇の目に遭っているのはツバキだけだった。満点とは言えないが、そこそこ平和なスポットだといえる。
そのまま川沿いにある隅田公園に移動。こちらは歩いて桜を楽しむだけでなく、芝生に座って過ごす人も多い。
みんな思い思いにすごしている
うららかな陽気にお昼寝中の人も
…って、あぶない!
斜めなのは写真が歪んでるのではなくタンポポが倒れているんです
タンポポさん安らかに
カントウタンポポ(キク科タンポポ属)
「あぶない!」どころの話ではなく、地面にはたくさんのタンポポがすでに踏まれていた。
タンポポといえば、花の中では雑草の代表格のようなイメージもあり、踏まれている光景はそれほど珍しくない。
ただ、これだけ多くの花を見てきて、今日の僕は完全に花サイドの人間なのだ。踏まれたタンポポをひとつ見るたびに、心臓がキュンと締め付けられた。
それ以上うしろにうごかないで!
R.I.P.
桜のない場所のタンポポはこんなに綺麗なのに…
一見平和に見える隅田川にも、やはり暗部はあったのだ。