デイリーポータルZロゴ
このサイトについて



コラボ企画
 
めんつゆは北へ行くほどでかくなる?〜めんつゆのプロにインタビュー〜

暑いと人は火を使わなくなるという落とし穴

山下:暑すぎると、今度は火を使う料理をしなくなっちゃうんですね。めんをゆでる火を沸かさなくなっちゃうんです。

暑すぎず、かといって冷夏までいかれると困るという。去年、2009年の夏は寒かったのでやや苦戦しました。

ニュースなんかだと、夏の天気とビールの売れ行きを関連付けた報道がよく流れるが(そういえばニュースは妙にビール業界の動向の報道に熱心だ、とは林さん)、ビールの裏でめんつゆだって大変なことになっていたのだ。


夏にビールのニュースを見たら、ぜひ めんつゆのことも思い出してください(写真は本文とあまり関係ありません)

めん以外のレシピが充実したワケ

私などはすでにめんつゆは「めん」の「つゆ」というより万能調味料という思いでいるので、めんつゆの売り上げが、まさかそうめんに大きく左右されているとは意外だった。

めん以外の料理に使っている人というのはまだ少ないのだろうか?

−−めんつゆを麺以外に使う流れってユーザサイドもメーカーサイドもすごく活発な感じがしているのですが

山下:調査結果では45%が麺に、55%がそれ以外の用途に使っていると出ているんです。やっぱり麺以外の料理での利用は延びていますね。

鈴木:メーカーとしても、レシピの提案でめんつゆの需要を底上げしたいという思いは大きいです。

山下:めんの需要が伸びていれば問題ないですが、これからはさらに人口も減少して、全体の胃袋がどんどん小さくなっていきますよね。

たくさんの方に使っていただくことはもちろんですが、一人の方にいろんな方法で使ってもらえればいいなと思っています。

全体の胃袋! 物事を世の中の胃袋の大きさで見るってちょっとなかった視点だ。

その視点がめんつゆレシピの拡大につながっていたのか。


社会の胃袋の大きさを視野にレシピを拡大!


みんなもらったほうがいい、レシピ集

冒頭でも大騒ぎしたが、ヤマキのホームページにはたくさんのめんつゆを使った料理レシピが掲載されている。

−−このレシピはすごいぞ、という改心の一撃みたいなのはありますか。

山下:最近だと“きのこたっぷりすき焼き”というのがすごかったですね。ちなみに、2009年度秋冬のCMメニューです! でも、どれも美味しいんですよ。

と、ここで山下さん、ホームページにもレシピを載せていますが、こんなのもあります。と、小さな冊子を見せてくれた。

こ、これは!


これでもほんの一部! 中とじ冊子のものと、このようにじゃばら折りになってるものとあったぞ

年に10回前後出すというレシピの冊子だ! スーパーの陳列棚の前などに置いているという。そういえば目にしたことはあるけど、そんなに頻繁に出しているものとは。

写真はどれもババーンと料理に寄ったシズル全開のものが多く、私も林さんもこれには一気にボルテージが上がった。うおお。

特にわれわれの目をひいたのが“チョイがけ”のレシピ。全部の写真が一様に「かけ途中」でなんともグルービーだ。


いろいろなメニューに“チョイがけ”

全部の写真が“かけ途中”

山下:この手、私も出演してるんですよ。タイミングを合わせるのが大変でした。

計量などむつかしいことなしで、ちょちょっとかけてもらえるようになればとアピールしたかったんです。

確かに、私自身も醤油の代わりにめんつゆという選択肢を持つようになってめんつゆとの距離が一気に縮まった気がしていた。納豆にかけたりすると美味しいんですよ!

一方の、鈴木さんと新木さんは、自宅でよく作るというめんつゆ料理がやけに日常感満載であった。

鈴木:私は自宅では丼ものによく使っていますよ。親子丼とか、カツ丼とか
新木:わたしは炒め物に使うことが多いですね。野菜と肉をいためるだけで美味しくなります

きっと、スーパーで冊子を手にとって作ってみた人たちも、それをきっかけに日常の料理に自然に取り込むようになっていくんだろうな(あ、もろに私だ)。


鈴木さんは丼派、新木さんは炒め物派


ポイントは“液量”

−レシピの開発で気をつけていること、何かありますか?

山下:正直なところですが、液量をたくさん使っていただけるといいなというのはもちろんあります。

お、ちょっと業界用語という感じの言葉が出た。“液量”である。

それならあれだ。注ぎ口を大きくするというのはどうだろう。味の素の振り出し口を大きくしたら一気に儲かったって伝説みたいな話は聞いたことがある。

−−注ぎ口を大きくするってのはどうでしょう!

鈴木:うーん(笑)。でもそうすると、料理がしょっぱくなっちゃうかな……。あっ、でも、検討しますねっ!!

しまった、もしかしてこの話は食品メーカーにとっては定番過ぎるほどの定番ジョークだったのだろうか。みなさん、もう何万回も聞いたよ、その話みたいに思ったかもしれない。

この流れでさらに何だが、めんつゆレシピといえば、今回どうしても聞きたい質問があったのだ。ちょっと恥ずかしい質問なのでどうしようか迷っていたが、この流れにのって聞いてみた。


残ったつゆについてです

聞きたかった恥ずかしい質問

ざるそばを、ざるうどんを、そうめんを、食べ終わったあとのめんつゆを、みなさんはどうしているだろうか。

そば屋であればそば湯で割って飲んだりもするが、自宅だと基本的には捨てるものだと思う。あまりにももったいなく、1人暮らしの時分には煮物に再利用していたりもした。

プロのみなさんが工夫して使っている方法があれば知りたいと思ったのだ。

−−あのう、つけつゆの残りをうまく活用するようなレシピってないものでしょうか

 

会場に一瞬沈黙のときが流れた。


この空気は……


鈴木:す、すみません……。私は捨てちゃっていました……。

もったいないですよね、でもやっぱり、美味しさの面でも、煮物に使う場合は新しく使ったほうがいいと思いますよ。

山下:ほら、古賀さんにもぜひたくさんめんつゆ使ってもらいたいですし!

しまった、なんだかなぐさめられる形である。

きちんと美味しいものを食べてもらおうという作り手側の心理を考えると、もったいなくても再利用というのはお勧めできないことですよね。答えづらいことを聞いてしまった。

これで私も、めんつゆの残りつゆへの未練が断たれました。これからは最初から使い切るくらいのぎりぎりの量を作ることにしよう(結局発想は貧しい)。

料理の世界の流行に乗れ

ややトーンダウンしてしまった私だったが、ここで林さんがナイスパスをあげてくれた。料理の流行についてだ。

ここのところ、毎年鍋料理が流行しているように感じる。鍋といえば、めんつゆはチャンスだろう。例の“液量”も鍋なら必要だ。

−−液量を多く使うということだと、鍋料理どきはチャンスですね。流行の料理って意識していますか。

山下:鍋市場は延びてますね。流行の料理にめんつゆが使えると「来たな」という手ごたえはやっぱりありますよ。

ここ最近だと、蒸し料理がしばらく流行していてこれもチャンスといえばチャンスでしょうか。タジン鍋も広まっていますし、ルクエ社のスチームケースという調理器具も話題のようですね。


タジン鍋なら知ってるぞ! こういうのですよね。と描いてみたはいいが、UFOだろうかこれは


< もどる めんつゆも、できたてはおいしい? >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.