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はっけんの水曜日
 
カラの石油タンクの中に入れた!

数十年の層が雪の大谷のごとくあり

言葉が出ない。内径80mの、未知のグラウンド。


階段の急勾配がこれでおわかりだろう。中央の平たい円盤状のものは、なんと“浮き袋”なのです(「ポンツーン(空気室)」)。

四十数年にわたって、油が成してきた層。

白い鉄の蓋が雪原のように広がった周囲を、まるで立山の「雪の大谷」のように高い壁が取り囲む。どこかの遺跡に降り立ったようにも思えてならない。一種異様な風景である。現実の極地のようでいて、対極のようでもある。


この溝にタンク壁面の頂上から泡を落として溜めて蓋をし、揮発物質が逃げないようにするのだという。
上を見上げると、確かに泡の噴出口が!(四角い物体。これが円周上に点々とある)。あそこからピンポイントで落ちてくるのか、泡。

薄い鉄板が歩くたびにベコベコとしなってヒヤッとする。鉄板はなんと4.5mmの薄さ!
つっかい棒(じゃなくて浮屋根支柱)が点々と。1本1本細いように見えるが、多数の支柱で力を分散しているので大丈夫。「よく眠れるマットレス」みたいなものか(養生のため袋をかぶせてある)。

おさらい。暗記するといいぞ!いずれ役に立つ日が来ないとも限らない。

私が大巨人なら、蓋をつまんで上下させて、この階段の動きをしげしげ眺めて楽しむに違いない。

ほら、このレールに車輪を這わせて、だ。
よく見れば、蓋の高さによって踏み段の角度が変わる仕組み。当然なのだろうが、よくできてるなあ。

呆然。

社員の方もめったに入ることのない、原油貯蔵タンクの内部。製油所の皆さんにはお仕事中にもかかわらず案内いただき、本当にありがとうございました。

落とし蓋を始めとして、思ったよりも単純な構造だったと思う。だが一方で、これだけデカい構造物を四十数年も使い続けられるという、考えられた仕組みがあった。

私はただただ、見上げるしかなかった。


おまけ:高解像度の写真がダウンロードできます。
壁紙などにお使いください。(1280×960)


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