デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ちしきの金曜日
 
カッパのキャラを民俗学的に鑑賞する

東京都民の日記念バッジ



続いて見てみるのは、「東京都民の日」を記念して作られたカッパのバッジだ。「隅田川にはカッパの巣がたくさんあった」という伝承にちなんで、1956年〜1997年まで作られていたという。

ちなみに、当時、都民の日にこのバッヂをつけていると、バスや都営の公共施設がタダになったらしい(マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』にそういうことが描いてあった)。

大島「これは甲羅が身体に密着して、やわらかそうですよね。これも江戸時代のカッパですよ。」
「それから、このカッパ、髪の毛をとかしている。カッパが人間の流行にかぶれて、髪型を気にしたりする様子が、江戸時代の黄表紙の中にあるんですよ」

「黄表紙」というのは、江戸時代に出版されていた、大人向けのマンガのような本のことだ。つまり、このバッヂの「カッパが髪の毛をとかす仕草」は「江戸のマンガのキャラクターとしてのカッパ」の性格を忠実に継承している、ということらしい。

大島「このカッパ、口元の処理が素晴らしいですよね。これ、スッポンの口ですよ。口がスッポンになっているのも江戸時代のカッパの特徴です」

ちなみに、左下の画像がスッポンの口だ。正面からは捉えられなかったが、なんとなくの雰囲気は伝わるだろうか。


口元がちょっと解りにくいが、スッポン。たしかに尖っている
比較のためにカメも。たしかにスッポンほど口は尖っていないですね

大島「ノスタルジックでかわいくて、すごくいいんですけれどね。ただし、現代人から見ると、江戸時代のカッパはちょっとパンチが足りないかもしれませんね」

結局のところ、カッパも時代につれてよりキャッチーに進化せざるを得ない、ということのようだ。そう考えると、こうした古いカッパのデザインが現代に残っていることに素朴な魅力を感じる。


頭…窪みと髪の毛 体表…つるつる 口…スッポン 甲羅…スッポン
甲羅と口がスッポンタイプで統一感が。カッパ寿司のカッパより古いか

< もどる ▽この記事のトップへ つぎへ >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.