デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ちしきの金曜日
 
カッパのキャラを民俗学的に鑑賞する

まとめ



大島「カッパは時代が下るにつれてどんどんキャラクター化していっていますよね。例えば、古いカッパに付いてはまだなんとなく一緒に話をしたり、コミュニケーションがとれそうな雰囲気がしませんか?多少は人間っぽいというか」


今回検討した「古いカッパ」の一例。たしかに、今にも日本語を喋りだしそうな雰囲気がある

大島「だけれども、新しいカッパはちょっと話が通じそうにない。生活感がないというか、ミッキーやドナルドダックみたいに、完全に別世界のキャラになっている。デザイン的にも、どんどん人間とカッパの距離が離れて行っているように思えますね」


そしてこちらは「新しいカッパ」。確かに人間からは遠くなってる

大島「ただ、それは良いとか悪いじゃなくて、カッパのリアリティを個人個人がどう感じるか、ですから」

「良いも悪いもない」とは言うが、昔からの妖怪を研究している立場の大島さんとしては、ちょっと寂しいんじゃないのだろうか。率直にそんなことを聞いてみた。

大島「いや。そんなことはないですよ。今回はわかりやすくカッパを知ってもらうために、時系列でお話ししましたが、個人的な好みとしては『新しい・古い』にこだわりはないです。さっき『カッパがどんどんキャラクター化している』とは言いましたが、実はそもそも妖怪全般が昔からキャラ文化なんです。なので、キャラとしての完成度が高ければ、僕はそれでオッケーですね。」

みんなカッパが大好きだ

街中には、江戸時代のカッパと、現代のカッパが混在して、共存していた。大島さんによると「カッパはかなり現代でも生き残っている(みんなが認識できる)方。例えばこれが『どうもこうも』なんていう妖怪だと誰もまったくわからない」
そうだ。

人々からカッパの距離感は遠くなっているかもしれないが、それでもみんな、まだまだカッパが大好きだということだろう。そんな風に感じられました。


取材協力・大島清昭
既刊『現代幽霊論ー妖怪・幽霊・地縛霊』(岩田書院)

今夏、『Jホラーの幽霊研究』(秋山書店)を刊行予定。

< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.