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ちしきの金曜日
 
「普通の写真」の撮り方


普通のことしか書いてません。

今回は、“きわめて普通な写真”を撮るための構図の基本みたいな話をしたいと思う。

T・斎藤



フレーミングの超基本

撮りたいのは、芸術写真とか人に感銘を与える写真とかではなく、ごくごく普通の写真。なので、特にテクニックなんか不要で、ただシャッターボタンを押しさえすればいい。

…と思っていたのだが、どうもそうでもないようだ。

基本的なセオリーがあって、それを知らないと、なんとなく不自然な写真になってしまう場合がある。(個人差アリ)

図1を見て頂きたい。
写真として、どこか不自然さを覚えるだろう。


図1   (画像クリックでポイントを表示)

これが不自然に見える理由は、

・人物の頭に無駄な空間がある。
・足先だけ中途半端に見切れている。

この2点を修正すると以下のようになる。(図2)


図2

バッチリ、普通になったと思う。


ポイント1
・全身がフレーム内に納まっているか?(変なところで見切れてないか)
・無駄なスペースが入ってないか?

図1を見て、
「いやいや、こんな撮り方する人なんていないよ!」
と思われたかたもいるかもしれない。
が、実際はこれよりさらに
・ナナメになってたり
・手ブレが加わったりして、
より酷くなることすらあるくらいなのだ。(図3)


図3 (こんな感じの写真って、けっこう見覚えないだろうか?)

構図がおかしくなる理由

さて、ではどうしてこのようなおかしなフレーミングの写真ができてしまうのか?

理由は人間の目の特徴として、自分が注目した部分だけに意識を集中し、それ以外の部分をマスキングしてしまう(目に入ってるんだけど見なかったことにしてしまう)という能力があるからだ。

そういう場合、撮影者の目にはカメラのファインダー(もしくは液晶画面)が以下のように見えている。(図4)


図4 (自分の注目してる箇所以外、目に入ってない)

これでは、頭の上に無駄なスペースがあるとか、足先が見切れてないかといったことを意識できない。その結果、図1のような写真が撮れてしまうというワケである。


ポイント2
・ファインダー(液晶画面)の真ん中だけを見ず、画面全体を見る。

斜めになってしまう理由

図3で斜めになってしまう例を挙げたが、
これを防ぐのは簡単なようで、意外と難しい。

というのも、撮影中のファインダー(液晶画面)には常にまっすぐ物が見えていて、斜めになっているのは外枠の方だからだ。(図5)


図5 (カメラが斜めになってる状態。撮影中はこう見える)

地球が傾いてるのではなく、あくまで斜めになってるのはカメラ(撮影者)なのだから、当然である。

なので、ますますファインダー(画面)全体を意識しないと、ナナメになっていることに気づかないまま撮ってしまう。


図6 (視野が狭まってる状態だと、カメラの傾きに気づくのはなお難しい)

ちなみに、途中までまっすぐ見ていても、シャッターボタンを押す瞬間にカメラの右側を下げてしまうということはよくある。手ブレについても、シャッターを押す瞬間に発生してることが多い。

カメラを動かさないように静かに押すのがセオリーである。


ポイント3
・シャッターボタンは静かに押す。

中途半端なところで切る

さきほどポイント1で
・全身がフレーム内に納まっているか?(変なところで見切れてないか)
と書いた。が、全身を入れない場合のセオリーもある。

図5を見てみよう。


図5

この写真だと、足先だけが切れている。
これはやや変だ。
意図的に足を写せない理由でもあるかのような印象を与えかねない。

切る場合は、ズドンと切った方が自然である。(図6)


図6

図6みたいなのを、腰から上が写っているので「ウエストショット」と言う。他に、胸から上のバストショット、膝から上のニーショットなど、聞いたことがあるようなところで切ればだいたい違和感なく普通に見える。

一方、足首、手首、首など区切りのいいところで切ってしまうと違和感が出る場合がある。


図7 首ショット。(これは不自然)

ポイント4
・切れのいいところで切れてるとかえって不自然な場合も。

 

顔アップのセオリー

顔をアップで撮る場合、髪の毛を切ってアゴは残すのがセオリー。逆は不自然。


図8 顔のアップ

図9 (ちょっと不自然)

図10 (何か考えてそう)

こんなふうに頭の上を開けると、何か考え事でもしてるかのように見える。(そういう場面なら使える)


ポイント5
・顔のアップは、髪を切る。

視線が向いてる方を空ける

視線が向いてる方に空間を作る、というセオリーもある。
下の図11は特に違和感のない普通の写真かと思う。


図11

一方、視線が向いてる方とは反対側に空間を作ると窮屈な感じとなり、また
「背後に何かあるのかな?」
みたいなことを邪推させてしまう。


図12

ポイント6
・視線が向いてる方をちょっと空ける。

立ち位置を変えて撮る

写真を撮っていると、
「Aを撮りたいけど手前にあるBが邪魔だなー」
とか
「AとBを一緒に撮りたいけどうまく納まらないなー。」
ということはよくある。

その時、たいていの場合はカメラマンが前に出たり後ろに下がったり、横に動くなど、立ち位置を変えることでなんとかなる場合が多い。


図13 「どうぞ撮りたまえ」

上の写真で言えば、
・手前の女の子とクリスマスツリーを一緒に写すことも
・女の子が入らないようにクリスマスツリーだけを写すことも
どちらも、カメラマンが動くことでできる。

が、ツリーの前に立っているサンタクロースの中身みたいな男を入れないでツリーだけを写すのは、いくらカメラの立ち位置を変えても不可能なので、そればかりは男が立ち去るのを静かに待つほかない。


ポイント7
・自分が動いてアングルを調整。

一番まずいのは「撮ってない」

基本的なフレーミングについてあれこれ述べたが、こういうのを意識しすぎて撮れなくなってしまっては本末転倒なので、まず撮る。撮ってない、タイミングを逃すは一番まずい。

1枚撮って1枚失敗してるのと、100枚撮って99枚失敗してるのとでは、成功写真を1枚残している点で後者の方が圧倒的に正解なので、とりあえず1枚撮って、それから考えるのがいい。


ポイント8
・とりあえず撮っとけ。

おわりに

私は写真を撮るのが好きなので、よくカメラを持ち歩きあれこれ撮っている。が、そうするとたいてい自分の姿は写ってないので、家族の思い出的な写真に私だけ写ってない。それは寂しいので、たまに「撮って」と言ってかみさんにカメラを渡すのだが、そうして撮ってもらった写真がどことなく変だった。

理由は、カメラを買ってしばらくいじってればいつの間にか覚えているような基本みたいなことができてないからだった。

そこで、「こういうの読んでみたらいいよ」と、参考になりそうなサイトを1つ2つ教えようと思ったが、「黄金比」 「写真は引き算」といった話は出てきても、今回の内容くらい初歩的なことを書いてるものはなかなか見つからなかった。そこで、じゃあ自分で書いてみるか、というのが今回の記事を書くに至った経緯である。

が、試しにかみさんに読ませてみたところ
「なにこれ?こんなの撮ったの?」
「いつ撮ったの?」
といったセリフを連発。
何ひとつ中身は伝わらなかったようだ。

オーレ!

 
 

 

 
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