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土曜ワイド工場
 
甘いあんこの入ったラーメン


最近のラーメンはいろいろとバリエーションに富んでいるが、餡の入ったラーメンが千葉市にあると聞いた。
餡というのは、あんこの「あん」であり、あんかけの「あん」ではない。
大福や饅頭などの中に入っている、あのアズキを甘く煮つめた「餡」だ。

どうしてラーメンにあんこを入れてしまったのだろう。

工藤 考浩



千葉へ

あんこ入りラーメンを出すのは京成千葉線の千葉中央駅の近くにある「増田家」というお店だという。
JR千葉駅からも徒歩圏内なので、僕は千葉駅からてくてくと歩いて向かった。


千葉中央駅

調べておいた住所に到着すると、チカチカと電球で装飾された「増田家」という看板が見えた。
僕はあまり詳しくないのだけれど、いわゆる「家系」というジャンルのラーメン屋さんのようだ。


増田家に到着

あんこ入り

店内は至って普通のラーメン店だ。
壁にあるメニュー表にも「あんこ入り」というメニューはない。
このお店では「つけ麺」を注文するとあんこが付いてくるらしいのだ。


ごく普通のラーメン店
つけ麺並を注文

念のため店員さんに「あんこが入っているのはつけ麺ですか?」と確認したところ、「はい、そうですよ」とごく当たり前のように答えた。
もっとドラマティックに「あんこいりだぜ!」とアピールしているのかと思ったが、ずいぶんと自然体である。


麺を茹でてくれてます
調味料は一般的なラインナップ

あ、あんこだ

数分後「つけ麺お待ち」とやってきたどんぶりの、端っこのほうにちょこんとあんこが添えられている。
正真正銘の和菓子に入っているのと同じ見た目のあんこだ。
知ってて注文したのではあるけれど、目の前にやってくるとインパクトがある。


あんこが添えられていますです

つけ汁に溶いて

どんぶりの縁に盛られたあんこに、割り箸をちょいとさして味見をしてみたが、甘い。
砂糖の入っていないあんこではないかと思ったが、甘い。


しっかりとあんこだ
遠慮しながらスープに溶く

はてさて、このあんこをスープに溶くといったいどんな味になるのか。
おそるおそる少しずつあんこをスープに溶かしてみた。


不安と期待が高まる

お、うまい

盛られていたあんこの三分の一くらいをスープに溶かしたところでまずは味見をした。
ほんのりと甘みが付いている気がするくらいで甘さに関してほとんど影響はないが、アズキの風味が少し感じられる。
残りのあんこ全部を入れて食べたところ、これがうまい。
甘さは確かに感じるが、不快な甘さではなく、味が「甘い」の方向へさっと広がったような感じだ。
そしてアズキの風味がいいのだ。
あんこもそもそも豆だから当たり前といえば当たり前だが、インド料理屋にある豆のカレーみたいな風味を感じた。
そしてずうっと向こうに「みそ」のような気配も感じる。
これはなかなかおいしい。


恥ずかしいからと後ろを向く店長さん

本当はラーメンを食べて欲しいんですけどね

店長の五十嵐さんにお話をうかがったところ、このあんこ入りつけ麺は4年ほど前からメニューに加えたとのこと。
お客さんをびっくりさせたいのでオーナーが考案したそうだが、たしかにびっくりする。
「あんこ」にまずびっくりして、おいしいのにびっくりの二度びっくりだ。
でも、店長としては普通のラーメンもぜひ食べて欲しいんです、おいしいですから、と言っていた。
このお店には二回行かなきゃいけませんな。


思いがけない味

食べる前はもっと突飛な味がするのかと思ったけど、脂っこさは増やさずにコクが増える、みたいな不思議な味になっていた。
平日は明け方の5時まで営業しているそうなので、千葉で夜遊びする時は必ず食べに行こうと思う。
あ、そうだ。麺を食べ終わる頃にサッとスープ割を持ってきてくれたのはうれしかった。
お店で「すいませーん」と声を出すのはなかなか億劫ですよね。


横浜ラーメン 増田家
千葉市中央区富士見2-22-5 海気館ビル1階



 
 

 

 
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